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んですよね。これが、みんなの思い入れが強まったきっかけだったと考えています。○佐渡ベルリン・フィルでの指揮が発表になった時、阪急西宮北口の駅前広場は工事中だったのですが、そのフェンスに「佐渡監督、ベルリン・フィルの夢の指揮台決定おめでとうございます」というような看板が出ていて、本当にうれしかったですね。○井戸地域の人にとって、芸文センターはそれだけ思い入れがあるということですよ。○佐渡自転車で来られる方や、親子三代で来られる方もいらっしゃいます。大きな感動が身近なところにあるという雰囲気はつくることができているような気がしますね。○井戸500円で良質な音楽を聞けるワンコイン・コンサートなどは、入門編としては非常に素晴らしい企画ですね。○佐渡はい。○井戸ダンスや落語、能なども上演できる万能な阪急中ホールにもっと足を運んでいただくために、「阪急チューホールはおもしろいぞ大作戦」も展開しています。※各ホールとも、ネーミングライツ(命名権)により愛称を使用しています▽米田芸文センターでは毎年、佐渡さんプロデュースによるオペラが上演されています。どのような思いで取り組まれていますか。○佐渡ここのオペラはある種の看板商品で、劇場の全スタッフで取り組む大事な企画です。昨年公演した「こうもり」は、がははっと笑ってもらえる、関西でしかつくれないようなオペレッタの世界でした。今年は「トスカ」という、まさにオペラの醍だいごみ醐味を味わってもらえる作品を持ってくる予定です。○井戸今までも「蝶々夫人」など本格的なオペラをやってきましたよね。○佐渡はい。まず、プッチーニというイタリアの作曲家の正統派オペラを上演しました。「何でこんなに美しい世界があるの」と思っていただけるようなものを最初につくることができたのは大きかったですね。○井戸初めてオペラを鑑賞するというお客さんにも随分入っていただきました。これは、佐渡さんに「敷居は低いから来てください」と言ってもらったことも大きいのですが、その人たちが今、オペラファンになってリピーターになっています。芸文センターはそのような人たちに支えられています。▽米田兵庫芸術文化センター管弦楽団(愛称PACオケ)という専属オーケストラを持っていますが、こういう劇場は全国的にも珍しいそうですね。○佐渡はい。劇場とオーケストラが一体的にやっているのはここだけと言ってもいいのではないでしょうか。劇場内で定期演奏会を行い、オペラなども自分たちで演奏しています。○井戸いいホールには座付きのいいオーケストラが要ります。最初にこの芸文センターを構想した時から「専属のオーケストラを」というのは私の思いでもありました。佐渡さんから、20代、30代の若手演奏家を国内外から集めてフレッシュな音を鳴らし、経験を積んでそれぞれが世界へと巣立ち、また戻ってくれるようなオケにならないかというコンセプトをいただいて。現に、PACオケはそのようなオーケストラに育ちつつあります。○佐渡思っていた以上にかなり多くのメンバーが、卒業後、主要なオーケストラでポジションを得ています。欧州や米国など世界的に巣立ったメンバーもおり、芸文センターでの3年間は非常に大事なものだったと思ってくれています。○井戸PACオケには外国人も半分ほどおり、宝塚に防音室付きの宿舎を用意しています。自分たちで演奏会を開いて自治会の人たちと交流を図るなど、住民生活を味わってもらっています。それがまた、新しい日本の音をつくってくれるんだと思います。○佐渡本当に、そうですね。芸文センターでの仕事は僕自身にとっても勉強の場であり、音楽を演奏したり舞台をつくったりすることは、何かを一方的に届けるということではなく、2千人のお客さんと何かを感じ合っていくことだと思うようになりました。このホールでお客さんと共に生き、共振する中で、「ああ、われわれの昭和36(1961)年、京都府生まれ。京都市立芸術大学を卒業後、レナード・バーンスタイン、小澤征爾に師事する。平成元(1989)年にブザンソン国際指揮者コンクール優勝。11年から、毎年12月に大阪で開催される「1万人の第九コンサート」を総指揮。14年4月に県立芸術文化センターの芸術監督に就任し、昨年5月、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で指揮台に立ち、小学生のころからの夢を果たした。佐渡裕(さど・ゆたか)さん4層バルコニー形式のKOBELCO大ホール。喜歌劇「こうもり」では8公演で1万5,000人を動員。C飯島隆美しいオペラの世界を味わってもらいたい音楽とは観客と一体になってつくるもの