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ロールケーキの販売は自立への第一歩神戸市長田区の六間道商店街の一角で、日曜のみ販売されるロールケーキがある。福島県から神戸に避難してきた母親たちでつくるグループ「べこっこMaMa」が、神戸の人気ケーキショップ「美侑」と一緒に開発したもので、会津地方の郷土玩具「赤べこ」をイメージしたという赤いスポンジが特徴だ。限定1?本ということもあり、ほとんどが予約で売り切れる。「売り上げ金は今のところグループの活動資金になっていますが、これを自立への足掛かりにしたい」と話すのはメンバーの一人、志賀明菜さん。自宅は東京電力福島第一原子力発電所の近くだという。子どもの安全を考えて神戸に避難してきたが、夫と離れて暮らしていることもあり、最初は心細く不安な日が続いた。そんな時、避難者支援イベントで、同じ境遇の母親たちと知り合う。「すぐに仲良くなり、そのうち支援を受けるだけでなく、少しでも自立するために、みんなで何かしようということになったのです」昨年7月に0歳から8歳までの子どもを持つ7人でグループを結成し、故郷の言葉から命名。8月には、避難者支援を行う「神戸ぽけっとnet」.の計らいにより、JR新長田駅前の広場で東北の物産を販売した。本格的な活動として最初に取り組んだのが、神戸と東北のコラボレーションとなるケーキの開発。赤い色を出すためにラズベリーをふんだんに使い、子どもでも食べやすい味と食感にこだわった。製造を担当する「美侑」のオーナーパティシエも、阪神・淡路大震災の経験者。被災者のつらい気持ちが分かるからこそ、快く協力してくれたという。活動中は嫌なことを忘れ前向きになれる「一人でいると、みんなどうしても考え込んでしまいます。べこっこの活動をしている時は楽しいし、充実感が味わえるのです」と志賀さん。「神戸ぽけっとnet」.の西森由美子さんも「人生の予定が立たない不安定な状況の中でも、皆さん今を一生懸命生きています。やる気を奮い起こして前を向いていってほし新たな場所で懸命に生きるオリジナルケーキはその名も「べこっこロール」。べこっこMaMaは、「1・17ひょうご安全の日のつどい」で交流ひろば(HAT神戸なぎさ公園)に出店する。「頑張っている姿を見せたい」六間道商店街恒例のフリーマーケットに出店。東日本大震災の発生から9カ月が過ぎた今も、故郷を離れて暮らす被災者は多い。被災地から兵庫県内に避難している人は438世帯、1068人(平成23年11月25日現在の登録数)。避難者たちは、寂しさややりきれなさを抱えながらも、新たな居場所を見つけようと前向きに生きていた。東日本大震災特集?べこっこMaMa(神戸市)支援を受けるだけでなく自分たちの足で歩きたい18