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井戸敏三兵庫県知事■人口減少社会本格的な人口減少時代を迎えた。兵庫県も30年後の2040年には、90万人減少して470万人程度となると見込まれている。470万人というと今から40年前の1970(昭和45)年だから40年かかって560万人となった県人口が30年で元に戻ることになる。人口が減ることは、県にとって基礎的体力がスリム化することだから、活力が失われるのではないかと随分心配されている。しかし、私は、将来社会のあり方次第なのではないかと考えている。■生産年齢人口その1は、人口構成の変化に応じた社会構造がつくられるかどうかにかかっている。生産年齢人口の減少が、ボディーブローのように効いてくるとよくいわれる。しかし、この生産年齢人口の定義が15歳~65歳となっているが、これを20歳~70歳と5年延ばすだけで減少の傾向は変わらないとしても、減少度合は緩やかとなり、社会全体としての対応力が生まれ、1人あたりが効率化するとみられる。■高齢者の消費の量・質の変化もう1つは、社会的にみて、消費構造も変わっていくはず。高齢者の1人あたり支出は、従前は預金が主で、あとは孫の小遣い程度だといわれてきたが、高齢者率が30%を超える社会になると、消費の中心が高齢者になるし、しかも自分のためへの支出が飛躍的に増加するはずだからである。ファッションというと「若者」とみられているが、これからは高齢者向けのファッションや流行が大きな潮流をつくるのではないか。東京銀座のテイラーが60歳以上の人々にジーンズの仕立てを始めたら、相当高額でも人気を博しているという事例も生じてきている。■持続人口=定住人口+交流人口その2は、人口が減ることの意味を考えてみると、要はそこに住んでいる人の数が減る、つまり、定住人口が減るのであって、そのまちを訪れたり、働いたり、学んだりする交流人口が減るわけではない。交流人口を増加させれば、まち全体の活力は失われないはずである。この定住人口+交流人口を合わせた人口、持続人口こそが維持されねばならない。このためにも、交流人口を増加させるための対策がポイントとなる。仕事の場、学びの場、生活の場、観光レジャーの場、文化やスポーツの場など人々が集い、楽しみ、満足できる空間とすることが、大きな方向付けとなる。■二地域居住その3は、人口減少と同時進行している地域格差の是正の問題である。広い県土に人々が均等に住んでいるわけではなく、阪神間のような人口がしばらくは上昇して20年後から減少に転ずる地域がある一方、すでに毎年1%ずつ減少している但馬・丹波・西播磨・淡路などの地域もある。この地域差を埋める対策は本当に難しい。交流人口を増やすことはこの対策の1つでもある。私は、二地域居住を提案している。都市に住んでいる人は、週末を田園地域で暮らす。田園地域に住んでいる人は、週末を都市部で過ごす。都市部の住民からみれば、自然環境に恵まれ、交流できる。家庭菜園なども楽しめる。田園部の住民からみれば、都市部の文化的環境などを楽しめる。週末にレストランや音楽会に出かけることができる。生活の本拠は1つさエやセわッかー