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県立歴史博物館ネットミュージアムひょうご歴史ステーション「ひょうご伝説紀行‐妖怪・自然の世界‐」を基に作成江戸時代の姫路城。今夜も殿様のおそばに仕える若い小姓たちが、交代で寝ずの番に就いていると、話題は天守閣に住むという主の話になりました。「天守閣の最上階におさかべ姫という主がいて、年に一度だけ殿様が一人きりで対面する」と、子どものころから皆聞かされていたのです。「どれ、どんなやつなのか、俺が見てきてやろうじゃないか」17、18歳の小姓たちの中でもひときわ元気の良い森田図書が、ちょうちんを手に天守閣へと向かっていきました。気の強い図書ですが心の中ではいろいろな想像が渦を巻いています。「主は、老婆の姿をしているのだろうか。狐の化身という話も聞いたことがある。取り殺そうと襲い掛かってくるだろうか」ついに最上階にたどり着くと、誰もいないはずの戸のすき間からぼんやりと明かりが漏れていました。一息深呼吸をしてから、静かにその戸を開けました。「誰じゃ」。一言、厳しい声が響き渡り、図書は思わず、「ははーっ」とひれ伏しました。やがて声の主が図書の方へ向き直る着物の音がします。「そこにいるのは何者か」。今度は、まだあどけなく刀も差していない図書を見て、安心したような声でした。図書も少しほっとして名前を名乗ると、ここまで登ってきたわけを正直に話しました。そっと相手の姿を見ると、30代半ばの美しい女性が十二単を着て座っていました。「そうか。それは勇気のあることじゃ。ならばここまで来た証拠に、これを持ち帰るがよい」図書は目の前に置かれたかぶとのシコロ(首回りの部分)をありがたく頂き、一礼して部屋を出ていきました。翌日、殿様へもこの話が伝わり、図書が持ち帰ったシコロを差し出すと、殿様の顔が青ざめました。すぐに蔵の中から家宝のかぶとを取り出してみると、シコロが引きちぎられていました。殿様が会う時は主はいつも老婆の姿なので、図書の話を疑っていたものの、これを見て納得した、ということです。おさかべ姫の正体には諸説あり、その一つが、姫路城が立つ姫山の地主神「長壁神」。姫路城大天守最上層、播磨総社境内、立町の市内3カ所にある長壁神社に祭られています。おさかべ姫?姫路城天守閣の主?ひょうごの民話もりたずしょきつねににうにけのて気守書巻るこるいが静図し姫路城15