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決めてスタートしたことが、迷いなく進むことができた要因かと思います。▽米田そして、絵の方向性を決定づけたのが、絵本作家でもあり漫画家でもあるやなせたかしさんだったと。▼永田はい。私が駆け出しのころに、やなせ先生から雑誌のレギュラー画家になってほしいという手紙を頂いたのが最初です。あの「アンパンマン」の作者です。折に触れて「子どものために誠実に絵を描く絵描きになれ」と言われ、私にとっては遠くから照らしてくださる灯台のような方です。人生観をも左右する絵本の果たす役割▽米田良い絵本の条件とは。▼永田限られたページの中で物語を展開させる絵本には、無駄を省いて研ぎ澄まされた本質が詰まっています。まずは文章が優れていて、絵が美しいこと。そして、双方がそれぞれの役割を果たし、良いコンビネーションで成り立っていることだと思います。人は優れた絵本に人生で3、4回出合うといわれています。最初は赤ちゃんの時に読み聞かせで、次は小学校に入ったころに自分で読むという形。3回目は子どもが生まれた時、4回目は人生を振り返る時。人生観の本質が、幼い時に読んだ絵本の中に既に隠されていたということもあります。▼知事私が子ども時代に印象に残っている物語は、山川惣治さんの「少年ケニヤ」です。外の世界と、自分とをつないでくれる思いがしました。私より少し年長のお兄さんが大活躍するので、自分にだってできないことはないんじゃないかという意味での憧れと、目標を持たせてもらったと思います。また、親になってからは、子どもが寝る前にいつも絵本を読んで聞かせていました。ピクシーという小さな絵本です。だんだん慣れてくると、絵だけ見せると、読むんですね。子どもと一緒に本に親しむことができたのは、大切な思い出です。▼永田お優しいパパだったんですね。絵本の読み聞かせの最大の役割は、親子のコミュニケーションの思い出になることですから。▽米田こちらに絵本の国内ベストセラー上位3冊があります。それぞれ、魅力はどこにありますか。▼永田「いないいないばあ」は、動物がたくさん出てくる絵がいいです。それと、文章がリズミカルで、読み聞かせるときの声によく合います。「ぐりとぐら」は、先ほど「少年ケニヤ」で知事がおっしゃったのと同じで、主人公になりきり、物語の中に入ることができるのが魅力ですね。そして、「はらぺこあおむし」は、色彩がすごく美しく、食べ物がたくさん出てきますので、赤ちゃんから大人まで大人気の絵本です。絵本の魅力を伝える人材を養成▽米田絵本の素晴らしさを広めるため、県では平成22年度から本年度まで、絵本の伝承師養成講座を開いてきました。▼永田私も講師の一人でしたが、総合プロデューサー的な仕事をさせていただきました。当初1年で終わる予定のところ、とても人気が高くて2年、3年と続きました。▼知事豪華な講師陣となったのは、永田さんのおかげです。絵本の読み聞かせを通じて親子のコミュニケーションを育むことが目的で、それを地域の中で復活させようと始めたプロジェクトでした。読み聞かせをするには技術が必要ですから、永田さんにお願いをして、絵本の伝承師という専門家を養成する講座をつくりました。実践活動も含めて6回の授業があります。全講義を受けた人には認定証を差し上げることにしており、現在、554人の伝承師がいます。認定書には、永田さんのイラストがかわいく描かれています。▼永田受講生のほとんどが全講座に出られて、すごい熱意でした。▼知事認定を受けた方々には、地域の子どもたちに読み聞かせをしたり、お父さんお母さんを指導したりと力を発揮してほしいわけです。ただ、個人だとなかなか難しいようなので、活動の機会を用意したり、情報を提供したりして活動を支える登録制度を永田さんの講義風景。永田萠(ながた・もえ)さん加西市生まれ。グラフィックデザイナーとして勤務した後、昭和50(1975)年にイラストレーターとして独立。豊かな色彩感覚で描く、花と妖精をテーマにした作風が特徴で、手掛けた絵本や画集などの出版物は140冊を超える。「花待月に」でボローニャ国際児童図書展青少年部門グラフィック賞を受賞。淡路花博のマスコット「ユメハッチ」や県民運動のシンボルマーク「ココロン」等のデザインを手掛けたほか、兵庫県教育委員会委員長も務めた。11