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つくることにしました。そのことで子どもたちに夢を育んでもらう活動が活発になり、元気で明るい子どもをつくっていくことにつながるのではないかと思っています。▽米田絵本の読み聞かせのポイントを教えてください。▼永田オーバーな表現は物語性を損なうので、大切なのは聞き取りやすい、はっきりとした発音です。また、本の素晴らしさを子どもたちに伝えたいという気持ちがなければ良い読み聞かせにはならないので、その本が好きでなければ駄目です。まずは絵本を理解することが第一歩のような気がします。生後7カ月ぐらいの赤ちゃんだけを集めた読み聞かせの会に行ったことがあるのですが、驚いたことに、みんなちゃんと分かるんです。子どもは美しい色彩や「ぱぴぷぺぽ」のような弾ける音、「あらあら」といった繰り返しの言葉が大好きで、本当に好きな絵本には赤ちゃんでもはいはいして近づき、自分で開いたりもします。子どもの目はごまかせません。▼知事やっぱり本物はすごく印象づけるんですね。私の経験でも、中学1年生の時に初めて能を見る機会があり、内容は分からないながらも強く印象に残りました。芸術文化は、体験することが重要なのではと考えています。そこで、わくわくオーケストラ教室として、県内の中学1年生全員に、県立芸術文化センターで専属のオーケストラによる演奏を鑑賞してもらうことにしました。「中学1年生の時にあそこに出掛けたな」と後で振り返るだけでもいいと私は思います。気持ちを奮い立たせる芸術文化の力▽米田永田さんは絵本や芸術文化が持つ力について、阪神・淡路大震災の時に実感されたそうですね。▼永田はい。私はあの時、半年近く絵を描く気になれませんでした。大変な状況の中、こんなメルヘンチックな絵なんか描いていて何の役に立つんだろうと、無力感に襲われまして。そんな時に私を励ましてくださったのは、被災されたファンの方でした。頂いたお手紙によると、その方も当初は絶望の中にいたのですが、何かの機会に私の絵をあらためて見て、元気と勇気が湧いてきましたと。心がずっと飢えていたことに気付き、心が満たされるというのはこういうことかと初めて思いましたと書かれていました。▼知事これもエピソードの一つですが、避難所で避難生活をしていた女性が、「口紅一本ですごく元気になった。明日への希望が湧いてきた」とおっしゃったことがあります。▼永田心が弾むんですよね。それは大切なことです。▼知事そのファンの方も、永田さんの絵に癒やし効果を得られたのでしょうね、きっと。▼永田そうですね。あらためて自分の役割を教えていただいた気がしました。居るべき場所で自分の本分を尽くすことで、皆さんのお役に立つ方法があるということを確信できたので、東日本大震災の被災地には、私なりの方法でいろいろな形の支援活動を今も続けさせていただいています。▼知事肉体的に回復したとしても、心に訴える活動がない限り、人はなかなか前に進めません。その点、芸術文化は気持ちを前に向かせる後押しをしてくれる存在だと思います。実際、震災から立ち上がろうとわれわれの気持ちを奮い立たせてくれたのが、芸術文化の力でした。被災直後から、多くの芸術家の方に演奏会や美術展などを通じて励ましていただきました。その経験を考えると、東日本大震災の被災地の皆さんも芸術文化の力を借りることが大事だろうということで、県では「がんばろう東日本!アート支援助成事業」として、コンサートや演劇などいろいろなジャンルの方々を被災地に派遣しています。また、昨年11月の第2回神戸マラソンの時には、岩手県立高田高校の音楽部の皆さんをお招きし、神戸高校と葺合高校の合唱団と一緒に「しあわせ運べるように」を歌っていただき、私も参加しました。子どもたちの健やかな成長のために▽米田昨年はいじめや自殺の問題など、子どもたちをめぐる痛ましい事件が起きた年でした。▼永田いじめる側も、いじめられる側の子も、何かの拍子に簡単に立場が逆転してしまうという現象が最近多いですよね。双方ともに、もろさが引き起こすことだと思います。傷つけられる側の人に言いたいのは、その時が永遠に続くわけではないということ。想像力を働かせて、逆境の中から立ち上がった人たちから学んでほしいです。また、危害を与えている側の人には、そういう行為をしている自分を見つめる第三者的な目を持ってもらいたいですね。▼知事いじめ問題の背景には社会の同質性があり、他の人と違っていると異分子として排除しようとする傾向があるのではと思います。そこで今、県が力を入れているのが、違っているものを認め、思いやることを自らの体験を通じて学ぶ体験教育です。▼永田外での体験は、教室の中仮設住宅の集会所でミニコンサートを開催。12