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水産業の復興のために主要漁港から元気を発信塩釜漁港のにぎわいと課題三陸沖の豊かな漁場に恵まれ、水産業が盛んな宮城県。水産業が主要な産業となっている地域も多く、速やかな復旧・復興が求められています。同県を代表し日本有数の漁港の一つでもある塩釜漁港では、水揚げが震災前を上回るなど、にぎわいを見せています。しかし、これには、東日本大震災の津波で多くの漁港が壊滅的な被害を受ける中、大きな被害を免れた同漁港に水揚げが集中しているという事情があります。それでも、実際に現地に立ってみると震災の爪痕が至る所に残っています。兵庫県では水産業の復旧・復興を支援するため、一昨年6月から継続的に同漁港を管理する宮城県仙台地方振興事務所に技術職員を派遣しています。昨年5月から派遣されている松岡裕治さんは、「施設が完全に壊れて使えない所はそんなに多くはないので水揚げなどはできていますが、地盤が沈下してしまっていることが大きな課題となっています」と言います。防波堤も大きな波を防ぐには十分な高さがなくなり、道路なども潮位が高いときは海水に浸ってしまうことがあるなど、漁港を支えるさまざまな施設に影響が出ています。そのため、復旧工事は「ほとんど全体を造り直すようなもの」にならざるを得ず、松岡さん自身も、質・量とも兵庫県では経験したことがないような業務を担当しています。復旧工事が本格化するとさらに業務量は増えるとのことで、継続的な技術職員の派遣が求められています。復興への強い決意を持って塩釜漁港の一角に塩釜仲卸市場があります。同市場は一般市民でも魚を購入することができ、新鮮で安いと親しまれています。その市場で店を構える渡邉勝之さん。津波で同市場に店を出す仲間にも亡くなった人がおり、また、取引先の料理店の中には店を閉めた所もあるといいますが、人の温かさ、物のありがたさを教えてもらったと振り返ります。震災では、幸いにも市場の建物は大きな被害を受けませんでした。そのため、震災後10日ほどでかまぼこなどの練り物の店が再開、新鮮な魚介類も仙台中央市場から仕入れるなど、少しでも早く再開し市場に活気を取り戻そうと取り組んだとのこと。「宮城の水産業が復興するためには、この塩釜が引っ張っていかないと。塩釜から元気を発信していきたい」と力強く語りました。日本有数の漁港、塩釜。にぎわう塩釜仲卸市場で名産のホタテを手にする渡邉さん。(上)地盤沈下し冠水した護岸(復旧工事着工前)。(下)復旧工事現場で沈下幅を説明する松岡さん。20