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更新日:2016年6月9日

熊本地震(平成28年6月)

熊本地震

熊本地震

熊本地震が発生してからすでに1月半経過した。何よりも震度7の前震と本震が続いて生じ、その後の余震も1600回近く、しかも震度4以上の余震も100回を超える特異な現象を示している。被災者にとっては、余震が終わらないと不安が続き、復旧復興の本格化に向かえないし、精神的なダメージは想像を絶する。

避難所生活

第一は、避難所生活が長引くことにより、心身ともに課題が出てきている。一つは、栄養不足やバランスを欠く食事による健康面での懸念だ。特に免疫力の減退や健康対策を行う必要がある。もう一つは、心のケアだ。1月半にわたり不安の中で生活されてきた被災者だけに、精神的な苦痛は蓄積されているに違いない。保健師や看護師、心のケアスタッフなどの支援が必要である。

仮設住宅

第二は、この避難所を早く解消するために仮設住宅の整備を急ぐ必要がある。しかし、最低1ヶ月はかかるので、まだ避難所生活が続くことにならざるを得ない。

罹災証明

第三は、罹災(りさい)証明の発行だ。この罹災証明は、義援金の支給、生活再建支援金の支給、その他制度の適用の基礎資料となる。この交付が差し迫っている。このためには、住宅の被災概況調査が前提となる。被災度合が5割以上が全壊、4割以上5割未満が大規模半壊、2割以上4割未満が半壊、2割未満が一部損壊と評価され、これに基づいて罹災証明がつくられる。もう1回目の調査は終わっているものの、再調査申請が3割程度あるのでこれを急ぐ必要がある。本県も関西広域連合もこのための要員を派遣し続けている。

倒壊家屋

第四に、倒壊家屋の撤去だ。全壊半壊家屋の公費解体が決定したこと、がれき処理が本格化したことなど軌道に乗りつつある。一部損壊については、家の中のがれきの搬出が必要なのでボランティアの協力が欠かせない。

 

兵庫県のボランティアによる倒壊したブロック塀や瓦の片付け(熊本県益城町)

ボランティア

第五に、ボランティアとの連携だ。社会福祉協議会がボランティアセンターを設置しており、すでにボランティアの割り振りや指導にあたるコーディネーターを指導する統括コーディネーターを派遣している。また、ひょうごボランタリープラザからはボランティアバスで往復車中泊をしながら活動してもらっている。

関西広域連合

この熊本地震に際しては、兵庫県をはじめとする関西広域連合は、4月14日の前震直後に先遣隊を派遣し、その後激甚地の益城町、大津町、菊陽町に現地連絡所を設け、統括、ロジ、教育、ボランティアコーディネート、避難所運営、保健医療福祉要員、保健師、栄養士、がれき処理、仮設住宅支援などほぼ一週間単位で支援チームを派遣し続けている。現在も100人近い関西広域連合内の府県、市町の職員が支援活動を展開中である。1日も早い復旧復興をお祈りしたい。

今後の課題

しかし、私たちは、大災害のたびに同じような混乱を引き起こしているのではないか。また、今後の対策として見えてきた課題もあるのではないか。

配送

例えば、一つに、プッシュ型支援により支援物資は全国から寄せられ集積場に集められたが、避難所までの輸送が当初十分には機能しなかった。関西広域連合は配送業者と研究会を開き、配送業者の支援を受けることを協定しているが、このような宅配業者の活用などの仕組みが熊本県にはなかった。

福祉避難所

二つに、障害者など要支援者対策である。避難所への要支援者の収容に当たっては、一般避難者と同一にはできないので福祉避難所の設置とこれへの避難が必要である。熊本地震の場合も不意打ちだっただけに十分とはいえなかった。あらかじめ特別養護老人ホームなど福祉避難所を指定し、これへの一人一人の避難を計画したマイプランとその地域全体としての地域プランを策定し、これを実行できるように実践的な事前訓練が必要であることをあらためて痛感した。

トイレ

三つは、トイレの問題だ。仮設トイレの絶対量はそれなりに確保されたものの、避難場所から遠かったり、その汚れが目立ったりなどが避難者の悩みとなっていた。私たちは、避難所に井戸を設置することを進めている。飲み水は確保されるものの、生活用水や清掃用水の確保は特に被災直後は難しい。井戸水があればこれに対応できるはずではないか。避難所に井戸を確保したい。

食事

四つには、避難所での食事の提供である。災害救助法では食事は1日1110円と単価が決められているが、これでは3食の提供に苦労することになるし、栄養バランスも取りにくい。このため、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際も特別基準の適用を国の承認のもとに行ってきた。熊本の場合、当初この適用を行わなかったが、特別基準の適用権限を大災害被災地の知事にすれば、もっと機動的弾力的に実情に即した対応になるはずである。権限委譲を期待したい。

広域避難

五つには、広域避難だ。余震が1月半も続く地震だっただけに、今回は車中避難がかなりの数に上り、かつ、長期間となった。一部損壊や普通の住宅でも、再度被災の住宅への影響が予測できないことからの不安からであった。私たちは、このような状況だからこそ、早速に県営住宅100戸の提供を申し出たのであったが、やはり、少数の方の応募に限られた。広域避難は難しい課題だ。

心のケア

六つは、心のケアが不可欠であることだ。学校の再開も1カ月程経過してからだったから、児童生徒にはきっと耐え難い傷跡が残ったはず。心のケアの見守りを続けて欲しい。スクールカウンセラーの配置などに留意が必要となる。お年寄りも同様だろう。看護師や保健師の見守りを含めた心のケア、健康診断などの活動に期待したい。

文化財

七つは、文化財の復元だ。熊本城に象徴される文化財が悲惨な目にあってしまった。すでに予備調査も行われ、対策が検討されている中、早急な復元を期待したい。

産業

八つは、農業をはじめとする産業の復興はこれからだろう。情報や自動車などの部品メーカーは再開しているが、被害からの立ち上がりはこれからだろう。生活復興とあわせて産業復興が欠かせない。

震災復興基金

九つは、震災復興基金の活用だ。これから復旧復興が本格化する。特に、高齢者を含む生活復興と中小企業などの産業復興が進んでいくだろう。その際、既存の制度や枠組みでは解決できない課題が続出するはずである。阪神・淡路大震災や東日本大震災の復旧復興過程で制度的充実が図られたとしても、どうしても現場のニーズは多面的である。この実情にきめ細かな対応には、現場の県や市町村は実情に即した対応を期待するしかない。このため制度や仕組みを補完して実情に即した対策を地域の創意工夫で立ち上げられる震災復興基金の裏付けが不可欠となる。今は、金利が低いので、10年程度の期間は実施できる取崩基金を前もって造成して欲しい。阪神・淡路大震災の復旧復興過程では120に近い事業が実践された。

住宅再建支援

最後に住宅再建支援である。国の生活再建支援法による支援は、全壊で住宅再建した場合300万円支給される。しかし、これでは住宅の再建はできない。地震保険もあるが、これは火災保険の付加保険であり、料率も厳しい。熊本では20%を超える加入率だったらしいが、やはり兵庫県が制度化している住宅再建共済制度のような住宅再建支援が必要ではないか。兵庫の場合、まだ加入率が10%程度であるが、全壊で住宅を再建した場合、600万円の共済金が支給される相互扶助制度で、掛金は原則年5000円にすぎない。公助である生活再建支援金にあわせて共助であるこの共済制度が全国制度化されることを願いたい。

防災庁

それにしても、これからも地震列島である日本である。地震への科学的現象を捉えた予知への取り組み、観測データの分析、災害に対するパターン別の対策ノウハウからの集積とこれの活用ガイドラインの提供、災害ノウハウの蓄積と活用など事前に取り組むべき課題は多い。したがって、これら災害に事前に対応する行政機関が必要なのではないか。私たちは、防災庁の設置を求めている。しかも首都直下型地震のことを考えれば、その機能をバックアップする機関を関西に置くことが防災のリダンダンシーの確保からも必要ではないか。

減災文化社会

自然災害を免れることはできないが、これに事前に対峙(たいじ)し、これに備え、被害を最小化し、早急の復旧復興につなぐことは可能である。減災社会の確立、災害文化の樹立を目指していきたい。

音声による知事メッセージ

音声でも知事メッセージを聞くことができます。

【全文版】約10分(MP3:9,949KB)

【要約版】約4分(MP3:3,907KB)

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