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更新日:2017年2月13日

兵庫の森林と活用(平成29年2月)

兵庫の森林と活用

山と海

「山は海の恋人」という言葉をご存じでしょう。海はある意味で、豊穣の海といわれるように、全てを受け止める母のような存在であるとも言えるが、それだけに、山をはじめとする海までの環境変化に大きく影響を受ける。特に水源地を含む山の管理の状況、山の状態が海の有機塩類の状態に大きな影響を与える。山が従来の広葉樹林帯であれば、秋に紅葉し冬には葉が落ち、その葉の絨毯のもとに昆虫等の住家となり、その住家が有機物の生産工場となり、これらの有機物が小川から川へ流れ出て、最終的には海に至る。そして海の漁業環境としての生息空間における有機塩類を確保する。このような山から海までの循環を端的に表現したのが、冒頭の言葉である。

山の荒れ その1国産材の低迷

近年、山は荒れ続けている。一つは、国産材の価格低迷による山の管理の不徹底にある。つまり、山の施業管理が十分でない。山の管理は、下草刈り、枝打ち、間伐が適切に年単位の期間ごとに行われるのが通常である。特に、人工林である杉、桧などはこのようなサイクル管理が不可欠であるが、国産材の価格の低迷から管理サイクルが働かなくなってしまった。このため、木々が密集し、下草が生えなくなり、木々の根元が裸地化し、雨が降れば土砂が流出し、倒木すれば根元に水がたまり、さらに雨が降り続くと土砂流に倒木が一体となって流れ出す。谷川から川に入ると流木が水流に乗り、流木が衝立となって、堤防を破壊する、橋の欄干を壊すなど大きな被害を与える。この典型が平成16年の台風23号被害だった。したがって、県民の皆様の協力を得て、県民緑税を設けてこれを財源に「災害に強い森づくり」を行っている。傾斜度の高い山面について間伐材を木々の間に横渡しして土石流防止の柵をつくる、あるいは広葉樹と針葉樹の混交林化、里山利用の促進など体系的に実施している。

木材利用の低迷

二つは、木材利用の低迷だ。本来、燃料革命前には、人々は山に入って間伐を行い、これを燃料として活用していたから、自然と、山の適正管理と燃料供給の適切な循環が行われていたが、化石燃料の利用に転換され、燃料革命によって山は放置される事態になり、管理が行き届かなくなってしまっていた。しかし、最近では、ペレットという固形燃料が活用されることもある。これは、木材を細かく刻んでこれを小さな粒に加工することにより、ペレットストーブで液体ストーブに近い状態でストーブの効果が期待できるものである。すでにペレット工場をつくり、学校などでペレットストーブが利用されている。さらなる普及を期待したいものだ。

バイオマス発電

もう一つ、大いなる期待は、バイオマス発電である。間伐材のうち枝などの製材用として利用できない少し曲がったり、しなったりしている材をチップ化して、これを発電所の燃料として活用していくものだ。すでに、本県内には、丹波市山南町で約2万kWの発電が行われていたが、ここ数年赤穂市や朝来市生野で開始され、また山南町の増設が計画されている。これからの兵庫の木材の用途先の柱としては、従来からの住宅用木材の分野の生産と、もう一つはこのバイオマス発電用のチップ材料の生産との二大用途を前提とした生産、加工、流通の体系化を図っていくことになる。

森林の活用

さて、もともと本県の面積に占める森林面積は、県土の約67%を占め、大きな地域資源であるだけに、森林資源のさらなる活用は、地産地消の観点からも、数少ない自給資源であることからも、また、山林の多面的機能の発揮、特に防災治水力の保持の観点からも、大切なポイントである。この場合、木造住宅がなぜ2階建て止まりなのか、もっと高層建物に利用できないのか、強度を増加させる仕様や工夫がないのかなどの課題に対応できねばならなかった。2つの技法を紹介したい。

但馬テイポス

一つは、高強度梁仕口TajimaTAPOS(但馬テイポス)の開発だ。もともと木造住宅の梁や桁(大体、住宅1棟当たりの木材使用量の約3割を占める)において、スギ材は軟らかく、接合強度が弱いとのイメージがあり、鉄材やコンクリートなど他が使われることが多かった。本県森林林業技術センターが、仕口の強度を飛躍的に高める技術開発を行い、県産スギ材の活用が可能となった。従来のプレカットでは繊維直交方向の底面のみで耐力を受けていたのに対して、仕口形状をテーパー(V字状)にすることにより、繊維方向に耐力を分散し、高強度を実現した。すでに住宅や木の柔らかさを印象づける社会福祉施設などに利用され始めている。

CLT

もう一つは、CLTだ。CLTはクロス・ラミネイティド・ティンバーの略で、直交集成板といわれる。ひき板を並べた層を、板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大判のパネル。直交積層することにより欠点が分散されるので、節等の多い比較的低質材でも利用できる。分厚い材料で強度が高く、断熱性、遮音性、耐火性、耐震性が高い。現場での加工手間が少なく、施工しやすく、シンプルで工期が短いとされる。オーストリアを中心に発展し、オーストラリア、アメリカ、カナダでもCLTの20階建て程度の大型プロジェクトが進行中と聞いている。現時点で国内でも40件程、兵庫でもCLT休憩所、カフェの2件がある。
来年度は、新しい林業会館の整備にCLT建築が行われ、5階建ての会館の整備が予定されている。このCLTが普及すると(1)これまで県産木材が活用されていなかった中高層建築物への利用拡大など木造建築物の新たな可能性の創出につながる(2)循環型資源の木材が使用されるので環境負荷の低減につながる(3)豊富な森林資源の有効活用(4)新たな地域振興、雇用の拡大、につながると考えられる。CLTがさらに活用されるように、兵庫県産木材CLT実用化を目指していく。

今後の兵庫の森林

兵庫の森林の今後の利用の二本柱、まず県産木材の住宅等への利用拡大と二つのバイオマス発電用木材チップの生産、この二本柱に兵庫の森林資源を供給していき、林業の振興と森林の適正管理を目指していきたい。

音声による知事メッセー

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【全文版】約10分(MP3:8,285KB)

【要約版】約4分(MP3:4,095KB)


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