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更新日:2018年4月20日

六甲山の復活を(平成30年5月)

六甲山の復活を

自然再生の山

私は、六甲山ほどいろいろな顔を持つ山はないと思っている。まず、六甲山の緑が人の手による自然再生の結果であることだ。今年は明治維新150周年、神戸港開港150周年、兵庫県設立150周年であるが、そのころの神戸港から眺めた写真に見える六甲山は一本の木もないはげ山であった。江戸時代を通しての薪炭用材として六甲山の木々が利用されたため、丸坊主になってしまったのだ。しかも、風化花こう岩の真砂土で成っているので、当時六甲山からの土砂流出で神戸港の浚渫に悩まされたため、明治30年代に植林が始まったといわれる。その植林の積み重ねが、現在の六甲山の植栽をもたらした。これこそ、人間が破壊した自然を人間が再生した典型例となっている。今では、これが繁茂しすぎて間伐など六甲山の樹木の管理が課題となっている。

自然災害

次に、六甲山は風雨や地震など自然災害に弱いことだ。すでに触れたが、風化花こう岩から成る真砂土で形成されているためだが、過去幾多の災害を被っている。最近では、平成26年の8月豪雨で、芦有道路をはじめ六甲山系の道路で土砂崩壊を生じて通行止めになった。水害では、あの「細雪」にも描写されている昭和13年の阪神大水害だ。この時は、神戸市内が濁流で満たされただけでなく、大きな土石が街中にゴロゴロ転がっていた大惨状であった。その後、六甲山の周りを十重二十重と砂防ダムと治山ダムが整備されたため、昭和42年の神戸大水害では、街が水害に襲われたが、街中が大きな土石に覆われることはなかったと知られる。つまり、土石流を砂防ダム等が防いでくれたのだ。しかし、あの阪神・淡路大震災では、六甲断層が揺れたために、山腹が崩壊する箇所が多く、大きな被害が生じたので、現在も続いているが、山裾にグリーンベルトを施して、安全確保の緩衝地帯を整備している。順次六甲山の南側の東西を中心に進めている。

都市山

第三に、神戸をはじめ大都市に近郊する「都市山」であることだ。私は、よくハイキングをするが、六甲山系に都市部から30分も歩けばまさに深山幽谷の雰囲気を味わうことができる。神戸のような、前が海、背後に山、その間が大都市であるような地域は、日本の中では殆ど見たことがない。海外では、香港、シドニー、サンフランシスコ、シアトルなどに見られるが、素晴らしい大都市の三条件ではないかと思う。だからこそ、これからのインバウンドの関心を考えると、トレッキングやウォーキングなどのコースを整備して、楽しんでもらうことが必要だ。朝起会が今も盛んであるが、これもそれだけ近くに山があることが前提だろう。六甲全山縦走もぜひ参加してほしい。56キロと距離が長いし、アップダウンがきついし、一日がかりとなるが、この達成感は何事にも得がたい。高倉山、菊水山、鍋蓋山、摩耶山などの頂上にたどり着いた時の感動、六甲山山頂から宝塚のゴールまできつい下りを降りきってゴールに着いたときの喜び、自分の体力の限界に挑んだという思いが、疲れた身体を何か誇らしくしてくれるから不思議だ。ぜひ、一度は体験してほしい。

眺望

第四は、神戸から大阪まで阪神間のみならず大阪湾全体を望む眺望だ。春霞みのかかった大阪湾と遠くに望む関西空港や神戸空港、夏のまぶしい日差し輝く波間、秋の紅葉と澄んだ景色など春夏秋冬のメッセージをくれる。夜は、いうまでもない、1000万ドルの夜景といわれる景観だ。神戸、阪神間、大阪、そして堺や泉南など光のページェントが広がる。この夜景は、香港のビクトリアピークやリオデジャネイロのコルコバードの丘などからの夜景に全然負けないどころか、上回っているといえる。この六甲山のポテンシャルを活かしていこう。ケーブルカーやゴンドラもよい。できればこれらにバスなどのアクセスがネットワーク化してほしい。そうすれば、もっともっと市民や観光客に愛される山となるだろう。

六甲山の紅葉

楽しみ空間

第五は、六甲山は保養とレクリエーションの空間だ。以前から六甲山には著名なホテルやレストラン、別荘や保養所、レジャー、観光施設などが整備され、多彩な六甲山が楽しみ空間として活用されてきた。しかし、ホテルの撤退、保養所の閉鎖、老朽化などが進行し、楽しみ空間としての機能が衰えてきている。別荘もあまり利用されていない。私も反省しているが、あの阪神・淡路大震災からの復旧復興にあたって、生活復興を重点としたため、六甲山は復興から取り残されてしまった。ようやく、国立公園の六甲山ビジョンの策定作業のテーマも(街とつながり人が集う賑わいの山、都市山・六甲)とされている。六甲山の再生・活性化のためには規制の緩和や振興策が必要であり、検討されている。国立公園を所管する環境省も、県も市も、民間も、六甲山の再生と活性化が必要との共通認識のもと、積極的な動きが出てきた。3月末には六甲山再生委員会が関係者が集い開催された。今から1年検討を加え、提言がまとめられる予定である。大いに期待したい。

豊富な植生

第六は、六甲山の豊富な植生や動植物だ。ただ、イノシシには困ったものだが、鹿の侵入は絶対に防がねばならない。六甲山の自然植生の標本は、ブナの木だ。私もハイキング途中で、大きなブナの木の元で何か拾ってられる方をお見受けして尋ねたところ、六甲山の植生の自然を保つために、六甲山のブナの実を拾い、これを実生から育てて、再生していくのだとの説明を受けたことがある。六甲山の自然を学ぼう会やブナを植える会などのボランティアの人々の活動が展開している。そのような活動の拠点でもあり、六甲山への入込客への情報センターとして、県立六甲山自然保護センターが設置されてきたが、今春ビジターセンターとして名称を変更するとともに、施設の整備がなされる。民間事業者や地域活動団体との連携を強めるとともに、登山や環境学習の休憩、研修の場として活用したい。

六甲山の復活

最後に、六甲山に思い出をお持ちの方は多いのではないか。私もケーブルに乗って摩耶山天上寺まで、子どもの頃おばさんに連れて行ってもらったことがある。上るたびに変化する景色に驚いたものだ。六甲山が子どもから大人や高齢者まで親しまれる山として、ぜひ再開発したい。また、海外からの観光客には、体験型観光のモデルとして、また、素晴らしい景観を楽しんでもらいたい。もともと居留地在住の外国人が開発した六甲山なのだから。

兵庫県設立150周年だからこそ、これまでの先人の努力、神戸で生活された外国人の先達も含めての努力を活かして、六甲山のポテンシャルを活かそうではないか。

音声による知事メッセージ

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