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更新日:2018年11月21日

インフルエンザに負けない(平成30年12月)

インフルエンザに負けない

エルニーニョ現象

今年の冬は暖冬らしい。もちろん暖冬といっても厳しい寒さの日もあるが、総じて平均すればの話である。この原因が、エルニーニョ現象にあるといわれる。エルニーニョは、赤道中央から東部のペルー沖にかけた熱帯太平洋域の海面水温が上昇する現象をいう。今年は、地球全体にわたり、大気の温度が高い上に、インドネシア東海上の海面水温が平年より高く、積乱雲が発生しやすいと予想されている。多層の積乱雲による上昇気流で上空に運ばれた空気が、その北側の気圧を高めて、日本上空の偏西風を北に押し上げ、日本付近への北からの寒気の流れが弱くなる。したがって、暖冬になるという予想なのだ。

太平洋東部の熱帯域では東風が常に吹いている。太平洋を帆船で航行することが多かった時代から貿易風と呼ばれる。この風により海面の暖かい海水が太平洋の西側に吹き寄せられる。ところが、エルニーニョ現象の時は、この東風が平常時より弱くなり、インドネシア付近にたまっていた暖かい海水が東方太平洋へ広がりやすくなり、南米沖の冷水の湧き上がりが弱まるのだ。このため、太平洋の中部や東部における海面温度が平常時より高まり、積乱雲が盛んに発生する海域が東へ移動するのだ。気象と海水との関係は複雑なものだといえる。

神戸コレクション

このような海が大気に及ぼす影響をモデルにシミュレーションして気象予報が行われる。この時、重要なのが気象観測データだ。特に、海の観測データが重要である。1961年から世界気象機関(WMO)により世界的に統一した方法による観測データが収集・保存されるシステムとなったし、コンピューターで扱えるデータとなっている。しかし、この1960年以前のデータが問題なのだ。古来、船舶等は、安全航行のために気象観測を行い、記録してきたものの、この資料が残されていることは少なく、戦争や災害にも保存が妨げられてきている。

しかし、日本は、明治7(1874)年に太政官通達を出し、日本の船は気象や海の観測を行い、気象機関に報告することが義務付けられた。このデータが大正9(1920)年神戸に設置された海洋気象台(現在の神戸地方気象台)に集中され、収集保管されてきた。この結果、関東大震災(大正12年)を免れ、第2次世界大戦の神戸空襲(昭和20年)でもデータを疎開させていたので焼失を免れた。このデータは、「神戸コレクション」と呼ばれ、日本船舶等の海上気象観測データ約680万件が残っている。このようなデータがあるが故に、気象変動や地球温暖化のモデル化が進み、シミュレーションモデルがつくられ、気象予測が行われているといえる。気象庁では、エルニーニョ予測モデルをつくり、熱帯域の大気と海洋の将来の状態を予測している。
(この項は、饒村曜(にょうむらよう・気象予報士)のYahooニュースを参考)

インフルエンザ

暖冬となると、心配になるのが、インフルエンザの流行ではないか。今年は、夏以来風疹が大流行して、子どもの頃風疹にかかるなど身体に免疫がある人以外の人について、予防接種の呼びかけが行われていたが、インフルエンザはこのように一度免疫があれば大丈夫というわけにはいかない。

ただ、各種分析によると、インフルエンザの流行と気温との関係はあまりなく、湿度との関係が強い。湿度とは、空気中の水蒸気の量をいう。飽和状態に対する比率を相対湿度といい、一般的に%が用いられているが、絶対湿度は、湿り空気に含まれる水蒸気の質量を指し、g/立方メートルで示される。この絶対湿度との相関が強いといわれている。

さて、そもそもインフルエンザと普通の風邪とはどう違うのだろう。風邪は、ウイルス等により起こるが、その多くはのどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳など症状があるものの、全身症状は見られない。一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスによる病気で、38度以上の発熱、頭痛、関節痛などすぐに全身に現れることが特徴だ。

インフルエンザウイルスは、A、B、C型に分類される。A型は、ヒトだけでなく、鳥類、豚、馬などの家畜などに発症するが、B、C型はヒトに多い。A型は、ウイルスの表面にあるタンパク質であるHA(赤血球凝集素)とNA(ノイラミニダーゼ)の種類によって分類される。例えば、平成21年に発生した新型インフルエンザはH1N1ウイルスとされている。

インフルエンザには、流行の状況によって、季節性または新型として認識される。季節性のA型によるインフルエンザは、ウイルスの抗原性が小さく変化しながら毎年流行している。新型インフルエンザは、抗原性が大きく異なり、ヒトが免疫をほとんど持たないことから急速に広がる。この発生は予測不可能で、発生すると大量発生により国民の健康だけでなく国民生活や経済に大きな影響を与える。スペイン風邪、香港風邪などが有名だが、平成21(2009)年の新型インフルエンザは、第1号が神戸で発生し、流行の発端となっただけに耳目に新しい。兵庫では、このインフルエンザを学校や保育所、銀行や飲食店などの協力を得て、社会的規制まで行うことにより、約2週間で封じ込めることができたということで、世界的にも一つのモデルとなっている。ただ、このインフルエンザは、その後何度も発生したので、既に季節性インフルエンザとして取り扱われている。

インフルエンザの予防

さて、今年はどうだろうか。流行の程度は分からないとしても、例年12月から3月にかけてシーズンを迎える。インフルエンザにかからないためには、どうすればよいのか。

まず、流行前のワクチン接種。インフルエンザワクチンは、麻疹や風疹のように高い予防効果は期待できないものの、60%以上の発症予防効果があり、発症後の重症化や死亡予防にも効果があるとされている。ぜひ、接種を。子ども以外は1回で済む。

第二は、外出後の手洗い等。流水や石鹸による手洗いは、手や指に付いたウイルスを除去できる。接触や飛沫感染などの感染症対策の基本となる。アルコール製剤による手指洗浄もよい。
第三は、適度な湿度の保持。空気の乾燥により、気道粘膜の防御機能が低下するので、適切な湿度(50~60%)を保つことが効果があるとされる。
第四は、休養と栄養。体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスの取れた栄養摂取を心がける。
第五は、人混みを避ける。流行してきたら、飛沫感染等を防ぐために、人混みの中への外出を控えることが必要だ。マスクも一つの防御策になる。

特に、兵庫県では、インフルエンザ情報センターを設置して、インフルエンザに関する情報を県民に提供している。一つは、兵庫県学校サーベイランスシステムだ。これは、平成21年の新型インフルエンザの流行を機に開設したものだが、各学校の児童生徒の欠席情報等をリアルタイムに関係機関(学校、教育委員会、保健所等)が把握し、地域における流行拡大を阻止するための情報システムとして運用している。

二つは、医療機関情報システムで、病院、診療所等の医療機関、薬局などの情報を提供している。三つは、広域災害・救急医療情報システムで、救急医療機関や休日夜間急患センターなどの情報を提供しているので、活用してほしい。

事前の備え

備えあれば憂いなし。これは何も災害対策だけの心構えではない。今年の冬を迎えるに当たって、まずは予想されるインフルエンザの流行に備えることは、個々人の健康保持の問題だけでなく、社会全体の活力を維持することにも通ずる社会的問題といえる。

冬の寒さに負けず、しっかり活動を行うためにも、予想される危機に適切に対応して、元気で冬を乗り越えよう。

音声による知事メッセージ

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