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更新日:2019年5月28日

がん総合対策(令和元年6月)

がん総合対策

はじめに

がんを取り巻く環境には、大きな変化が生じてきた。特に、がんは死に至る病として認識されてきたからこそ、これの告知なども難しい問題とされてきていた。しかし、近年でももちろん、がんは死亡原因1位であることに違いはないが、不治の病ではなく治せる病気、あるいは共に長く付き合っていける病となりつつある。例えば、ステージⅣの肺がんであれば以前は手の施し様がなかったが、最近ではオプジーボなど免疫チェックポイント阻害剤により生存率の向上が期待される。

ちなみに、がんの部位別の死亡状況を見ると、兵庫県では、男性で肺がん、胃がん、大腸がん、女性で乳がん、大腸がん、肺がんとなっている。

早期発見

あらゆる病に共通する原理は、早期発見、早期治療である。そのために、がん検診を定期的に受けることが大切である。私も、毎年4月に、胃と大腸のカメラ受診をしている。先日も、良性ではあったが、大腸から2つのポリープを取った。

しかし、兵庫県は、がん検診受診率が全国に比して低い実情にある。例えば、胃がんで36%であり、だいたい、部位別で4~6ポイント低い。このため、がん検診受診率の向上対策を行っている。

まず、重点市町の指定や市町の取り組み促進。受診率の向上のため積極的な取り組みが必要な市町を指定して、受診率の目標設定、受診機会の拡充等の取り組みを促している。平成30年度は、加古川市・相生市・播磨町だった。また、各市町の受診率向上対策を促進するため、国民健康保険調整交付金を交付している。

二つは、企業など職域との連携だ。企業の従業員は定期的に健康診断を受けることが義務付けられているが、課題はその家族であり、特定健診などのときに、がん検診を行うセット検診などの普及を進めている。

三つは、受診しやすい環境づくり。健康づくりチャレンジ企業や100人規模以下の中小企業の従業員の胃・肺・大腸・乳・子宮頸がん検診の費用の一部を助成している。また、検診医療機関は従来同一市町域であったが、今年度(2019)から市町域外の検診も対象としていく。

がん予防

それよりも、何よりも、食生活、運動、休養など健康な生活習慣を確立することにより、がんになりにくい体力をつくることが肝要だ。このうち、まずは禁煙と受動喫煙の防止に取り組む必要がある。基本的に100平方メートル以下の店を除き、禁煙を原則とされている。今回、兵庫県の条例では、6年前の施行以来紙巻きたばこと加熱式たばこを区別せず規制してきた。さらに、家庭内や車内での受動喫煙防止、通学時間中の通学路なども規制対象とした。

また、肝がんについては、B型、C型肝炎から進行するので、この感染病対策もかかせない。脂肪肝も危険要因であり、アルコールの飲み過ぎには注意しなければならない。

がん治療の進化

折がんは、大きさや転移の有無により、病期がⅠ期からⅣ期に分類される。がんの進行度で見ると、おおむねⅠ期、Ⅱ期は転移なし、Ⅲ期はリンパ節に転移、Ⅳ期になると他臓器に転移していることが標準とされ、Ⅲ期以後の場合は、治療の中心が放射線治療や薬物治療となる。外科手術はⅠ・Ⅱ期患者に施すことが多い。このうち、内視鏡を使った治療や鏡視下手術、ロボット支援手術などの低侵襲手術も活用されている。

放射線治療では、リニアックによる治療が一般的である。しかし、兵庫県は、粒子線治療施設を持ち、陽子線、炭素線双方の線種が使用できる。一般的に、この両線は、がん患部を直接たたき、他の正常細胞を傷つけることなく照射できる。特に手術が難しい小児がん患者にも対応できる優れものである。薬物療法は、薬物による化学療法であり、手術後、放射線治療後に併用されることが多い。また、外来対応も増加してきている。

免疫療法は、免疫本来の働きを回復させてがんを治療する方法であり、現在、有効性が認められるものと、そうでないものとが混在している。通常、免疫細胞が正常細胞を誤って攻撃しないようにブレーキをかける分子(PD-1)が働いているが、これを解除することにより効果的ながん免疫反応を誘導できる。PD-1遮断抗体による治療効果がある事例が多く報告されている。

がんゲノム医療は、がん種に応じた薬剤を投与する治療に際し、がん種が同じでも遺伝子変異の型が異なることが判明し、臓器別の薬剤選択から遺伝子変異に基づく薬剤選択が行われることとなった。県立がんセンターは、この先進医療施設として承認されて、外来診療もはじめている。

がん患者の療育生活の質の向上

まず、緩和ケアの普及。がん患者のQOLの向上のためには、がん患者と診断された時から緩和ケアが必要となる。がん治療に伴うつらさを和らげるケアをいうが、各病院や在宅でも取り扱っている。我慢しないで相談することが大事である。専門の相談員も配置した相談支援センターが患者やその家族の立場に立った対応を行っている。

二つは、就労支援。がんが不治の病から長く付き合う病気に変化してから、その療養中であっても、治療と就労との両立が図られるように、がん患者やその看護者の就労について、必要な支援を行っていく必要がある。企業においても、休暇や代替職員の確保などの配慮が必要である。

三つは、ピアサポート。相談支援に十分な経験を有するピアサポーターによる実体験を生かした相談体制の充実を図り、がん患者のこころの問題や、生活の在り方の相談などによるサポートを行う。

がん対策推進条例

兵庫県は、がんが昭和53年に県民の死亡原因第1位となり、その後も食生活など生活習慣の変化や高齢化の進展などにより、がん患者が増加するなかで、昭和62年に、全国に先駆けて「ひょうご対がん戦略」を定め、総合的な対策を進めてきた。さらに、平成23年には、健康づくり推進条例を策定し、その第一の生活習慣病対策として、取り組んできた。

しかし、がんについての医療技術の進歩により、不治の病から長く付き合う病気に変化し、治療と仕事の両立などその療養の生活の質の向上が課題となっている。また、疫学的調査体制が全国的に展開され、がんに対する調査研究が、がん医療の向上やがん予防などに期待されるようになってきた。

このような状況を踏まえて、この2月議会にがん対策推進条例を上程し、議決をいただき、施行されたものである。

この条例では、がん対策は、予防、早期発見、がん医療の充実を総合的に進めること、研究調査の活用、治療と社会生活との両立、ライフステージに応じた適切な対応、がんに罹患しても安心して暮らせる環境の整備などを盛り込んでいる。

今後の取り組み

県は、がん対策の基本方針を定めて、進めること、市町は、県の方針のもと対策を協力して進めること、医療関係者は、各市町に協力し、企業等は早期発見と治療と就労との両立に配慮を、県民は、がんの予防・がん検診の受診など行うことにより、がん対策は、総合的に関係者協力のもと、推進していかねばならない。

がんに負けない兵庫県を県民の皆様とともに構築していきたいものだ。

音声による知事メッセージ

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