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更新日:2010年6月9日

E-ディフェンス(平成22年6月)

E-ディフェンス

E-ディフェンス

 皆様E-ディフェンスをご存知でしょうか。三木総合防災公園の一画に設置され、2005年から年5~7回程度の実物模型を破壊してその破壊のデータを世界中に提供して、建物施設の安全度対策に寄与している巨大な実験装置である。実大三次元震動台といわれるが、縦波と横波だけでなく、縦横が組み合わされた立体波が生み出され、実際の地震波を生み出すことができる。例えば、阪神・淡路大震災の三宮の地震波を再現することもできるし、想定される東南海・南海地震のポイントの地震波を現出できる。20m×15mの厚さ6mの震動台の上に700tもの建物施設を乗せて実際に揺らして地震波の与える影響を実験し、最後は壊れるまで行う。震動台から天井まで40m、7階建のビルが建てられる。震動台の下は20m程あり、継手付きの震動装置が縦、横に設置され、この継手のために三次元の動きが生み出されることになる。


震動台誕生の契機

 この震動台が生まれた契機は、まさしく阪神・淡路大震災であった。1995年1月17日午前5時46分震度7の大地の揺れが大きな被害をもたらしたが、その中で大変ショックであったのが、高速道路の700mにも連続しての倒壊である。というのもその1年前、1994年1月17日にアメリカ西海岸のノースリッジで大地震が起こったが、テレビの画面に放送されたのが、高速道路の倒壊の姿だった。日本の専門家は「日本では耐震基準に基づき建設されているので、このように壊れることはない」と豪語されていたのだが、現実は悲惨なものとなった。やはり、どのような想定、シミュレーションをしていても、想定を超える現象が生じうることが実証されてしまったからだ。まさしく、実大の破壊実験で検証することの必要性が認識され、世界で唯一の巨大装置が誕生したのだ。


実大実験の意義

 なぜ実物の建物や施設を破壊しなければならないのか。縮尺模型ではダメなのか。例えばコンクリートの支柱の中には鉄筋が組み込まれているが、この鉄筋、コンクリートとなじみ合体するように表面はシワシワになっているのが普通だが、1/10などにしてしまうと針金状にしかならず、シワシワ効果の確認ができない。コンクリートに入っている土砂の粒子をそのままの形状で縮尺できないなどから、やはり実物でなければならない。


木造家屋の実験

 これまでの実験の代表例のいくつかを紹介しよう。一つは、築30年ほどの木造2階建ての二棟を並べての実験である。一棟には筋かいや補強材で耐震補強をしたもの、もう一棟は移築してきたままのもの。これを阪神・淡路大震災の震度7で揺らしてみると、耐震補強したものは外見上ほとんど壊れることがなかった一方、そのままのものは1階部分が崩れるようにペシャンコになり、2階が1階にのしかかって壊れてしまった。実に対照的であり、耐震補強の成果が実証された。しかも建物の改築費に対して1/10程度で耐震補強できる。さらに今は耐震調査20万円まで、補強工事60万円、さらに震災復興基金等からの上積み助成20万円の合計100万円の補助制度がある。ぜひ活用して欲しいものだ。


高層建物の実験

 もう一つは、最近の事務所ビルやマンションの高層化対応である。現在100mを超える超高層ビルが続々と建築され、事務所や住宅として活用されている。一方で、東南海・南海地震は、2030年以降の発生確率は70%を超えており、しかも直下型と違ってプレート型地震であるため、つまりフィリピンプレートがユーラシアプレートに日本列島南部で沈み込むため約100年ごとの間隔ではね返りが生じ、地震が起こる。前回は1944年と1946年に起きている。このときは東海地震が動かなかったので、東海地震はいつ起きてもおかしくないといわれている。次の地震は安政の大地震1854年と同じく3地震がいっしょに起こるのではないかと懸念されてもいるのだ。

 この地震の特色は、直下型地震と違って、横揺れが激しく長く続くということ、すると、超高層の上階部分にどんな影響が生じるのだろう。例えば、30階のマンションの部屋を部分建てして想定される30階のビルの揺れを現出し、日常生活が営まれている家具などを配置して影響をみたものだ。実験結果は予想を上回る。さすがに机やピアノが窓を破って飛び出ることはなかったが、冷蔵庫、洗濯機、テレビなど電気製品、机やテーブル、イス、タンスなどの家具が動き回り、飛んでいくなど凶器と化すことが明らかとなった。本当に激しく動き回るのである。もし中に人が生活していたら、ケガをすることは間違いないだろう。


家具固定の大切さ

 どう備えたらいいのか。電気製品や家具などを固定することの大切さである。動き回らないようにするための事前の備えである。昨年8月静岡県駿河湾で地震が起こったが、震度のわりに被害が小さかった。これは、静岡県民が東海地震対策として家具の固定化に努めていた、60%程度の家庭で実施されていることが良かったと評価されている。静岡では、各家庭の平面図に家具などの配置図を書いて、固定の有無をチェックすることが防災対策の一つとして県民に呼びかけている。本県も取り組みたい。あわせて、部屋の構造も止め金が付けられるように、家具や電気製品も止め易いようにデザインするなどの検討工夫がされなくてはなるまい。


免震構造とは

 さて、最近免震構造だから耐震性があって大丈夫という声が聞かれる。これは全くの誤解である。免震構造は、建物自体が破壊されることはないと考えられているが、揺れないということではない。逆に揺れる時間や揺れ幅が拡大するのでまさに要注意である。しかも超高層階は電気が切れるとエレベーターが止まる。自家発電があってもこれには寿命がある。30階にもなったら陸の孤島になる可能性もある。エレベーターが地震後点検なしで動かすことができるかという問題もある。これらへの事前の備えも必要なのだ。


防災・減災対策

 防災・減災対策は従来の危険だけでなく、知られていなかった危険や世の中の変化に伴って生じる危険など新たな対策が次々と必要になる。

 E-ディフェンスのような高度な実験結果など最新の知見を活用する科学的態度も不可欠である。何としても、迫りくる東南海・南海地震に対しては、十分に用意をして臨まなければならない。やり抜きましょう。


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