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更新日:2010年7月2日

人づくりと体験環境(ニューひょうご平成22年7・8月号)

人づくりと体験環境

はじめに

 県庁2号館の東側階段が全面清掃されて、真っ白になっている。15年前の阪神・淡路大震災時に被災したビル全体の修復工事を行ってから階段部分は電気タワシなどを使った本格的な磨きをかけていなかったため、隅は黒灰色となり、薄暗いまだら模様になっていた。それが、真っ白になった。私の執務室は六階にあるが、毎日三回は階段を往復するので、この階段の上り下りをしながら色々と考えをめぐらすのが習いである。ただ汚れが目立っていたので、気がかりになっていたのだった。それが本格清掃により一変した。真っ白が生みだす明るい環境が再現した。何と気分の良いことか。人は環境にいかに左右されるかを実感している。


耐震補強

 今、小中学校をはじめ高校も含めて耐震補強工事を計画的に行っている。Is値0.3未満の危険度の高い県立学校校舎は22年度までに着工、小中学校については23年度には完了する予定である。このとき問題となるのがどんな工法を採るかである。私が20数年前静岡県で勤務の頃の耐震補強工事といえば、壁を厚くして耐震度を増すことが基本であり、窓をつぶして壁面を増やし、すじかいを入れ構造強化し、壁を厚くして強度を保つため、教室の面積が狭くなり、使い勝手が悪くなりがちであった。しかし、安全のためにはやむをえないと考えられていた。現在の工法は格段に進歩している。縦横の揺れに対して強度を増すことは同様であるが、外壁に型枠をはめる、外壁にすじかいなど補強する、PC鋼棒などでひっぱり強化するなど新工法が採られている。できるだけ内部に影響がないように、環境確保に留意されている。


校庭の芝生化

 学びの環境整備としては、校庭の芝生化も進められている。学校の空間はとくに都市部においては貴重な都市空間でもある。この校庭が緑地化されれば、都市の緑の確保になるだけでなく、都市のヒートアイランド現象の抑止にもつながる。何よりも子どもたちが少しぐらいすべったりころんだりしても怪我をしない、だからよく運動することとなり身体が自然ときたえられるなどの効果があるといわれている。4年前から、県土を保全し、災害に強い森づくりを進めるとともに都市緑化を行うために導入された県民緑税の使途にもこの校庭緑化が対象とされている。ただ問題がない訳ではない。子どもたちの動きは激しいこともあって、整備後の管理が追いつかず、一部禿げてしまったり、芝が弱く枯れてしまったりなどが起きやすい。だからといって芝生のために校庭を使うなというのは本末転倒であろう。


しつけ教育

 一昨年、中東のアブダビを訪ねる機会があった。豊富な石油資源による国づくりに懸命に尽力されているアラブ首長国連邦の一国であるが、何よりも将来のアブダビ国民を育成することが最大の関心になっていると感じた。この動きのなかで、日本の教育制度に強い関心がもたれていた。とくに、日本のしつけ教育が注目されている。ある高官がアブダビの日本人学校を視察したときに大変驚いた事があったらしい。子どもたちによる一斉清掃や給食の当番など児童生徒自身による作業参加である。日本の学校ではあたり前であるが、アブダビの子どもたちは清掃や食事のサービスをはじめ身の廻りのことなど全てメード(召使い)がしてくれるのが学校のみならず家庭でも当然視されていたので、子どもたち自らが行うことに感嘆されたらしい。このことからも、毎日の生活を通じて私たちの文化や伝統、生活スタイルを自然と身につけていける環境を用意することが大切であることを教えられた。これも体験教育の一つだろう。


人格教育

 全人教育の推進、人格の確立などが強調される。道徳教育の徹底などもいわれる。県教育委員会も教育創造プランの中で、人としての人格形成の推進を柱として掲げ、道徳教育の副読本を作成中である。しかし、子どもたちに人として生き抜く能力をどう育成していくのかは大変な課題である。教えることの難しさでもある。私は広い意味での体験が大切なのではないか、体験を通じて自ら考える、そして自ら身に付けることが必要と思っている。例えば、郷土の先輩や歴史上の人物をはじめ今の大人の活躍などを本で読んだりじかに聞いたりすることは、大きな感動を与えるに違いない。本を読んだり、話を聞くことは、自分自身の体験ではないが、大先輩やその人の体験や経験を自らの体験や経験に置き換えることにより、擬似体験を通じて自ら学ぶことができるのではないかと考えられる。今、読書タイムとして始業前10~20分程度読書をする時間が設けられたり、ようこそ先輩授業などが実施されているのも、このような効果を期待しているのだろう。

 中学校一年生5万人が年に一回芸文センターコベルコ大ホールで芸文センター管弦楽団(PACオーケストラ)の生演奏を聞いている。今年はフィンランドの作曲家シベリウスの「フィンランディア」となっているが、本格的ホールで本格的オケのクラシックを楽器の音色や曲の解説を受けながら本物を体験する感動は、きっと将来、人としての成長に寄与してくれることを期待している。わくわくオーケストラと名づけているが、まさしく心が躍ることが何かを目指す機会をつくってくれるからだ。情操とは、一つの手段で養成されるものではないが、貴重な経験や体験がベースとなってくれるはずだ。


兵庫人の育成

 兵庫には兵庫の人づくりがあってよい。その基本は兵庫のもつ風土がつくる兵庫らしさだろう。日本でも世界でもどこであっても活躍する人たちが自分の育った兵庫を常に忘れない。思い出の出発にしていて欲しい。これこそが「故郷」なのだろう。故郷を持っていて欲しい。まさしく自身のアイデンティティーになるのではないか。今後とも兵庫人を育成しよう。


音声による知事メッセージ

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