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更新日:2011年2月10日

野生動物対策(平成23年2月)

野生動物対策

暑い夏とその影響

 昨年の夏は大変暑かった。私も毎夜クーラーをつけている時間は眠れたが、クーラーのタイマーが切れると目が覚めるといった状態が続いた。大変でした。

 今年の冬は厳しい冬となっている。特に年末から1月の寒さは予想を超えるものとなっている。今年の豊岡の雪は、例年の2~3倍の降雪量だそうだ。

 このような気象の激変は地球温暖化の影響だとか、極端にひどいエルニーニョ現象のせいだとか指摘されているが、いずれもが要因だろう。

 この夏の暑さは、農産物にも大きな影響を与えた。野菜の不足に伴う価格の高騰にも悩まされた。また米の作況も100を下回ったし、出来も1等米比率が大幅に例年より悪く27%しかなく、精米しても小粒で貧相な米となった。これからも暑い夏が続くとなると、生産する米の品種も暑さに強いものに変えていく必要があるだろう。

 山の様相も大きく影響を受けた。昨年はもともとブナの実など不作の年であったうえに、この暑さだったので、山々の木々の実が大変少なくなってしまったのだろう。奥山に暮らしている動物たち、とくにシカやイノシシ、クマやサルまでもがエサを求めて人里に頻繁に出没することとなった。ここ数年、六甲山から街中への子連れのイノシシを見ることがなかったが、今冬は何度も出没している。これも六甲山のドングリの実が、エサが不足気味だからだろう。


野生動物による被害

 野生動物による被害がひどくなってきている。特にシカの被害が大きい。平成21年度の農林業被害額は約9億円に達している。シカによるものが4億5千万円程、イノシシによるものが2億円程であるが、昨年の秋の被害はさらに大きなものになっているのではと懸念している。

 このような被害のみならず、地域住民にとって精神的被害が深刻である。明日か明後日に収穫しようとした野菜などがシカなどに食べられてしまったときのショック。野生動物はよく知っていて、まさに旬のときに食べる。長期間にわたり収穫を楽しみに丹精されてきたのに被害を受けてしまった心情は言葉もない。サルやクマも集落に出没し、農業被害に加え人家への侵入被害が生じている。

 さらに、自然生態系の撹乱が生じる。南但馬、西播磨や淡路では、シカが木の皮や下草を食べることにより、立木の枯損や下草の消失など生物環境の衰退を招いている。


野生動物管理(ワイルドライフマネジメント)

 野生動物が人里に出没し、地域住民に被害が生じているのは、人の住む空間と野生動物の生息域とが近接、交接することから起こっている問題だ。この対策が野生動物管理(ワイルドライフマネジメント)である。すでに兵庫県では、森林動物研究センターを設置して、生息数が著しく増加しているシカや絶滅の恐れのあるクマ、被害をもたらしているイノシシやサルなどについて「特定鳥獣保護管理計画」をつくり、個体数管理、被害管理、生息地管理を行っている。

 個体数管理とは、生息数の増加や危機的な減少を防ぎ、野生動物の適切な個体数を維持するものだ。シカが増加しすぎて近年その被害が大きくなってきている。このため従来年間2万頭の捕獲数を3万頭にして、3万頭捕獲を7年間続けることにより、ほぼ一定頭数が持続できるように対策している。

 被害管理とは、野生動物による農林被害や精神的被害を軽減するものだ。防護柵や電気柵を設置したり、奥山にエサになる広葉樹を植林したり、人里と山との緩衝地帯をつくるなどの直接対策と被害の補てんとして米については農業共済制度を特別に設けている。来年度は野菜について翌年の種子代程度を補償して再生産できるように基金をつくり支援できる制度をつくることにしている。

 生息地管理とは、森林等の生息環境を維持し、野生動物が生息できる基盤を確保していくことだ。奥山に広葉樹を植林し、ドングリや木の実を確保してエサ場を増やし、人里へこなくてもよくするのもこの対策だ。


シカ対策

 特にシカ対策としては、シカ捕獲の拡大として、市町と共に、猟友会のメンバーの協力を得て、常設捕獲班を編成する、狩猟期間中の捕獲量を増やすために、狩猟者に報奨金を支給する、大量捕獲のわなを県が整備して活用するなど行っている。

 あわせて、シカ肉やシカ皮の活用促進を行う。シカの一番の天敵は人である。狩猟者の捕獲意欲を高めるとともに、地域資源の有効活用にもなるためだ。シカ肉の消費拡大のためには、シカ肉の普及の促進が必要だし、安定供給体制も必要だ。ただ、このためには放血して短時間で解体処理しなくてはならないので、捕獲、放血、運搬、解体処理、安定供給のシステムをつくらねばならない。早急に解体処理場の整備を行う必要がある。また、B級グルメとしてシカコロッケなどにも使われているが欧米では高級食材として食されているので、ぜひ普及をしたいものだ。


サル、イノシシ、クマなどの対策

 サル対策は難しい。サルの個体群はそれぞれ孤立して、地域的に絶滅の危険が指摘されているが、一方で、集落に出没して農業被害や生活環境を乱している。サル追払犬の育成やサル用の防護柵の整備、サル接近警報システムなどの対策を行っている。なかなか効果が出ない。辛抱強く追い払っていくことだろう。

 イノシシ対策も、シカ対策に類似しているが、とくに餌付けにより人馴れしたイノシシが出没するので、餌付け禁止の啓発がいる。

 クマは、人とのすみ分けを基本として、集落への出没を抑制していくことが必要だ。奥山にドングリ類を植えること、人里では極力クマのエサとなる柿の実などの除去や隠れ場所となる雑草地の刈り払いなどを行っている。捕獲したクマには、人里に近づかないように、唐辛子スプレーを吹き付けるなど学習放獣を行っている。

 アライグマやヌートリアなどは、外来動物が野生化したもので、近年その被害が深刻化している。箱ワナなどにより、捕獲の徹底を行っていく。

 そして、大切なことは、狩猟者の確保である。猟友会をはじめとする関係者の協力と狩猟後継者の育成がかかせない。


野生動物との共存

 野生動物と人との付き合いには、本来それぞれの生活領域が異なる環境がつくれるかどうかにかかっている。野生動物管理(ワイルドライフマネジメント)をめざして、森林動物研究センターの研究成果も踏まえながら、被害対策と共存環境の整備を進めていきたい。


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