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更新日:2014年5月23日

兵庫経済とこれから(平成26年5月)

兵庫経済とこれから

(最近の状況)

 この4月から、消費税が3%引き上げになった。デフレ脱却、景気回復が軌道に乗りつつあるなかで、2、3月の買い込み需要増の反動、すなわち消費の落ち込みによる足踏みが懸念されている。大方の見方は、落ち込みは一時的なもので、7月頃からは再び軌道復帰し、順調に推移するとの見方である。懸念は懸念として、いくつかの今後を占う要因を見よう。

(増税分は社会保障)

 まず、今回の消費税の増税は、全て社会保障財源であることだ。前回の平成9年の引き上げの場合は、一般的な財源対策であったが、今回の財源確保は、年金、医療、介護保険、子育て環境の整備に充当される。つまり、増税負担分は高齢化・少子化対策に充てられるので、負担は全て私たちに返って来るとも考えられ、理解が進んでいるといえるのではないか。

 しかも、3%のうち0.92%分は地方消費税分と地方交付税分であるだけに、本県をはじめとする地方公共団体全体にとっても、社会福祉財源が確保されたという点も大きいのではないか。

(景気と個人消費)

 第二に、最近景気動向に明るい兆しが見えていることだ。平成25年の景気回復を支えてきたのは、個人消費と公共支出であって、設備投資や輸出増進ではなかった。だから、これらの動きがどうなるかで決まることになる。

 個人消費は、個人の所得の多寡によるものであり、今年の春闘の相場づくりが注目された。私も本来労使が自主的に決定されるべき給与交渉において、ぜひ給与引き上げを期待したいとお願いしていた。結果として、鉄鋼の14年ぶり、自動車も6年ぶりをはじめ相当数の大企業でベースアップが実現した。平均7千円台といわれているが、その後の中堅、中小企業の動きにも期待したい。これが、個人消費を引き続き支えて欲しい。

なお、25年の個人消費を支えた所得の動きを一つの例でみてみると、この2月補正予算で、県民税株式等譲渡益課税分120億円の補正がある。これは、昨年の株式相場の回復により、株価が約2倍になったので、株式等譲渡益が増えたため、分離課税分3%分が増収になったからだ。これを所得に置き直してみると4200億円と推計される。兵庫県をはじめ全国では6兆8000億円は超える。この所得が個人消費を支えた一部であることは間違いない。

(公共支出)

 第三は、公共支出だ。安倍政権誕生以来、金融緩和と財政出動が大きな規模で行われてきたが、その象徴が公共投資である。公共事業が無駄遣いの象徴のように言われていたが、私たちの生活や産業は、道路や河川、農地等の社会インフラによって支えられていることは間違いない。ことに、南海トラフ対策としての地震対策、津波対策、風水害等自然災害対策としての災害に強い森づくり、総合的治水対策、道路のミッシングリンクの解消など緊急の整備が急がれている。それだけに計画的な整備が必要とされている。有効需要の創出にもつながることから、昨年も2月補正、今年も2月補正と、国の補正予算を活用しながら昨年は700億円の補正、今年は500億円を超す補正が行われた。それぞれ当初予算を合わせると2600億円、2500億円となりほぼ同規模が確保された。これを上半期、特に4月から6月の間に集中発注することにより消費支出の落ち込みを実需要でカバーしようと努力している。

 なお、人手不足や材料不足などで公共事業の落札が難しい事例が増えているといわれているが、本県では未だ極端な状況には至っていない。今後とも十分注意していきたい。

(設備投資)

 第四は、設備投資である。もともと兵庫のようなものづくり県は、全般的な景気回復期を迎えても、どうしても遅れがちになる。それも1年ぐらいになることが多い。なぜかといえば、景気回復はまずソフトから、そしてハードへの傾向が強い。例えば、デパートで洋服が売れ出す、すると繊維織物への需要が増え、在庫が処理されて増産する必要がでてはじめて製造機械の増設や更新が動いてくる。これが機械メーカーへの発注となる、という動きになるからだ。

 こうした動きが、ようやく本県製造業にも見受けられるようになってきたらしい。遅れて来た巨人がその実力を発揮してほしい。その環境が整いつつある。設備投資に動意がみられることに大きな期待をしている。

 なお、企業活動を活発化させるために、法人税負担を軽減させるべきだとの動きがある。問題は、企業の内部留保を増やしたとしても給与や設備投資が増えることは保証されていないので、もっと直接的な措置、給与水準改定に伴う企業減税や設備投資に際した即時償却などが望ましいのではないかとの見方もある。十分な検討が必要だろう。

(国家戦略特区)

スパコン京

スーパーコンピュータ「京」

 国家戦略特区に関西が指定されることになった。京都、大阪、兵庫が、医療を中心とする集積に今後の日本の産業をリードし、成長産業となることが期待されている。京都はiPS細胞を中心に再生医療、大阪は生活習慣病など免疫療法、兵庫は再生医療、創薬、粒子線治療などが期待されている。兵庫では大型科学技術基盤であるSPring-8やX線自由電子レーザー「SACLA」とスーパーコンピュータ「京」などの活用も十分考えられる。特に、規制が企業の自由な発想、行動を制約している実情から、これを緩和して活動の自由度を増すことが成否を分けるだろう。しっかり推進していきたい。

(輸出)

 最後に、輸出はどうか。円安により日本製品の価格が相対的に下がり、これにより輸出が増加することが期待されたが、逆に原材料費の輸入価格の高騰、LNGなど発電用燃料の大幅な増加などにより、貿易収支の赤字は大幅に拡大している。

 このことは、日本産業のグローバル化に伴う構造的なもので、円安だけで解決できるものではない。日本のものづくり、特に消費地に近い生産が望ましい企業群が海外工場を整備し、そこの製品を輸入しているような状況が展開されている。従って、日本では、研究開発やコアとなる製品をつくる、海外での大量生産でなく、少量多品種の質の高い製品をつくるなど、量ではなく質で勝負できる産業構造にしていかねばならない。

(今後の産業構造)

 4月からの景気動向に関連して本県経済の行方も少し検討してみると、ものづくり県であるだけに、今後3つの方向で産業構造を考えたい。

一つが、世界をリードする最先端産業の確立だ。まさに、最新の科学技術を活用した分野だ。

二つは、兵庫の誇る独自技術を生かしたオンリーワン企業の育成だ。このため、マーケットインの考え方をベースに新展開を期待したい。

三つは、生活充実産業だ。医療、健康、食、栄養、エネルギー、環境など私たちの生活の豊かさ、質の充実を受け持つ分野の産業の育成である。もともと兵庫・神戸は強い分野であるから、さらに伸ばしていきたい。

さあ、兵庫の産業も頑張ろう。

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