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更新日:2017年9月6日

8月豪雨に思う(平成26年9月)

8月豪雨に思う

(8月豪雨とその被害)

今夏は、異常気象だった。7月は大変暑い日々が続いたのに、8月に入ると一転して雨の多い日が続いた。極めつきは、台風11号、12号とその一週間後の大雨だ。「8月豪雨」と一括して称することとなったが、ひどい大災害を引き起こした。台風11号は、赤穂に上陸して播磨平野を抜け、丹波から京都へ入り、日本海に抜けた。こんな進路をたどったのに不幸中の幸い、一部地域を除き、大きな被害とはならなかった。

その一週間後の丹波市市島町を中心とする集中豪雨は、甚大な被害をもたらした。特に由良川水系の竹田川、その支流の前山川・徳尾川沿いに大きな被害が生じた。竹田川沿いは堤塘の被害はなかったものの、増水により内水が排除されず床上・床下浸水を起こした。さらに大きな被害が前山川・徳尾川沿いである。20カ所を超える山腹崩壊が生じ、谷筋から土砂と流木の混じった土石流が谷筋をかけ下り、人家を、田畑を、川を飲み込み、土砂の海としてしまった。

台風も従前に比してその勢力が強まってきているし、今回のような一部地域への集中豪雨が続出している。まさにどこで観測史上初めてなどといわれる集中豪雨がゲリラ的に降るのか予測もつかない。

今回は、列島北側に前線が停滞し、南から暖かく湿った空気が入り込み、冷たい空気と接することで積乱雲を生み、この積乱雲の連続が長時間の大雨をもたらしたらしい。ともあれ、平年の4倍の雨が一時的に特定地域に降ったという。

(土石流の問題)

土石流は、やっかいだ。県と気象台から土砂災害警戒情報が市町単位で発表されるが、どこが危険なのか、十分に予測することが難しい。従って住民への市町の避難準備・避難勧告・避難指示という警報を、いつ、どこに、どのタイミングで発するのか悩ましい。それも真夜中となると益々当事者の避難時の事故を考えると理屈どおりにならないこともある。河川の増水の場合は、すでに3時間水位予測システムを運用しており、これに準じて箇所別の土砂崩壊の予測システムが六甲山以外の地域にも拡張されつつあるが、まだ十分なものではない。しかし、早急に、具体のガイドラインの策定を検討したい。

(土砂災害警戒区域)

すでに危険地域には、土砂災害警戒区域が指定されている。兵庫県では約2万200カ所もある。土砂災害防止には砂防堰堤等が大変有効だが、まだ3割程度の整備だ。第2次山地防災・土砂災害対策5箇年計画にもとづき、毎年、急傾斜地崩壊対策事業と砂防堰堤等の整備を行っている。すでに、社会福祉施設の裏山は整備しているが、一般には今のところ年40カ所の砂防堰堤等にとどまっている。この整備を急ぐ必要がある。この場合、優先順位をつけて危険度の高さに応じて進めていくことが原則だが、特別警戒区域の指定は、特定の地域情報の公開ともなるので、住民の理解を得ることが難しい。ただやはり自分の生活の本拠である住宅所在地の状況をまずは承知しておくことが基本となるだろう。そのうえで対策を進めるしかない。国も土砂災害防止法の改正を検討する。地域情報の公表義務、特別警戒区域の指定手続き、対策事業の実施基準や規格などが検討されなくてはならない。

(災害に強い森づくり)

兵庫は平成16年の台風23号の経験から、杉・檜の針葉樹林が間伐や枝打ちの行われない不適正管理状態になると、日がささないため下草が生えない、雨が降ると土砂が流され根が浮きあがる、風雨に倒れやすくなる、大雨になると木が倒れ、根が洗われ、水が根跡にたまり、土砂とともに流出し、土石流となり、流木を伴い、大雨や土砂と混じった流木が人家や堤防や橋を打ち破ることにより大災害となる。このため、県民の理解を得て、県民緑税という特別の負担をいただき、これを財源として「災害に強い森づくり」を進めている。既に傾斜度30度以上の所は、間伐とこれを活用した土留工を行っているが、これが実施された所はまず崩壊を起こさない。今は傾斜度15度以上の所が対象だが、対象林を人家が裾野にある森林にも行うよう見直しが必要となる。この事業では、あわせて森林の保水力を高めるため針葉樹林に広葉樹を帯状に配置する混交林化、奥山に実のなる木を植える野生動物対策事業も行っている。

(総合的な風雨対策)

もともと風雨対策は、自然の保水力や防災力を高めるために総合的に行う必要がある。一つは、森林の適正管理、保水力の維持。二つは、谷筋ごとに砂防堰堤等を整備する、急傾斜地崩壊防止のため擁壁などを整備する。三つは、河川改修の推進、このとき上中下流のバランスをとった対応が必要。四つは、河川外の水対策。校庭貯留、水田貯留、家庭貯留など貯める対策などそれこそ総合的に対応しなければならない。そのために、計画的に、時間をかけて、継続的に進めなければならない。森林の間伐など適正管理を公費のみで賄う森林の公的管理100%作戦、県民緑税による災害に強い森づくり、第2次山地防災・土砂災害対策5箇年計画、流域ごとの河川改修を含む総合治水推進計画を基本として、県土の安全度の向上を図っている。がしかし、予算の制約もあり十分とはいえないのが実情である。しっかり進めていきたい。

(土砂災害からの復旧復興)

今度の土砂災害の被災地の復旧復興は、その被害の実情から総合的一体的に事業を進める必要がある。森林の復旧復興、渓流の復旧復興、急傾斜地崩壊対策、砂防堰堤等の整備、住宅の再建、農地の復旧と土地改良、河川改修などの各種の事業をタイミングや内容など調整しながら総合的に進める必要がある。県庁内と丹波県民局に早速災害復興室を発足させた。

あわせて、災害に強い森づくりの対象林の拡大、砂防堰堤等や急傾斜地対策など第2次山地防災・土砂災害対策5箇年計画の強化拡大、流域ごとの総合治水計画の見直し、特に中小河川の取り扱いが緊急課題でもある。

何よりも今回の8月豪雨で被災された方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧復興をお祈りしたい。

(今後のあり方)

最近の気象状況は異常だといわれて久しい。私たちはこの現実を受け止めて、安全な県土をつくり上げねばならない。物理的な基盤整備、これを踏まえた社会全体の取り組み、そして何よりも安全意識を涵養することだろう。

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