ホーム > 県政情報・統計(県政情報) > 知事のページ > 知事エッセー > 山の管理と林業(平成27年6月)

ここから本文です。

知事のページ

更新日:2015年6月4日

山の管理と林業(平成27年6月)

山の管理と林業

(山と生活)

新緑の素晴らしい息吹から深緑の力強さに木々が変化し、生命の伸張を感じる季節となった。山々は毎年季節とともにその装いを変えてくれる。これは景観としての森林であるが、森林は、水源のかん養など公益的機能や木材生産など産業資源としての機能など多面的機能を持っている。もともと県土面積の67%を占め、56万ヘクタールが森林である本県は、人々の生活は山と深い関係をつくってきた。私の子どもの頃の体験では、春休みとなる3月末の好日には、一家そろって揖保川に当時あった渡し舟を使って向かい側の山に入り、雑木を切って、一年分のまきを採ることが通例だった。秋には、松茸狩りで山に入った。このように、山が私たちの生活に深く結びついていた。それが、まきから石炭、石油、電気へと燃料革命のため山の木々は燃料として使用されなくなった。あわせて、戦後の植林によるスギ、ヒノキなどの人工林が42%を占め、22万ヘクタールあるが、木材価格の低迷で伐採しても赤字となる状況から、山の管理が不徹底になり、放置されるようになった。人々の生活と山々の関係が切れてしまったのだ。

(人工林の管理利用)

このような状況から何が問題となるのだろう。第一が、人工林の管理利用の問題だ。本来産業林である人工林は、計画的に伐採、利用され、収益が森林所有者に還元され、再び植林・保育、伐採、利用と続く林業生産が円滑に循環することが、基本とされている。しかし、国産材の価格低迷によりこの循環が途切れてしまい、山の管理が放置されるようになった。このため、一つは森林の持つ防災機能の低下と、二つは木材資源の未利用が生じてきた。

(山の荒廃)

まず防災機能の低下である。人工林を伐採しても採算に合わないので、山の管理が十分に行われない。間伐がされないと木々が繁り過ぎて太陽の光が根元に入らない。光が入らないと下草が生えない、下草が生えないと風雨に表土が流される。表土が流されると木々の根元も浮き上がって倒れやすくなる。倒れると根株に水がたまる。たまった水が流れ出ると表土とともに木々も流れ出し、土石流と流木となって、濁流が押し寄せ、集中豪雨の際に大きな被害をもたらす。また、河川の堤防や橋の欄干にぶつかって破壊する、大被害をもたらす。つまり、山の管理が不十分だと台風や集中豪雨などに伴って大被害が生じる可能性が高まるのだ。あの台風23号に襲われた平成16年被害や台風9号による21年被害がこのことを証明している。

(山の管理の徹底)

このため、山の管理の徹底と防災機能の強化対策を行ってきた。まず「公的管理100%作戦」だ。これは、民有人工林の間伐を森林所有者の了解を得て公的費用で行っている。森林管理のなかで、植栽、下草刈り、10年間伐、20年間伐など生長に伴い、手順を追うことになるが、今放置されているのが間伐である。木々を間引きしないと残された木々が生長できず、もやし林のように細い木々の集団になってしまう。適切な間伐があれば、きちんと生長する。

(災害に強い森づくり)

 

間伐土留工を設置

次に、「災害に強い森づくり」だ。これは、県民税均等割の超過課税「県民緑税」を財源として実施している。

まさに、16年の台風23号被害では、山の荒廃から倒木が生じ、これが流木となって、被害が大きくなったという因果関係がみられた。このため、まず緊急防災林整備を行っている。スギ、ヒノキの人工林の危険渓流域の森林を対象に、斜面の防災機能を高めるため、間伐材を利用した土留工を設置し、流木や土石流による被害を軽減するもの。これにより年間土砂流出量が約3分の1まで減少している。次に、里山防災林整備だ。集落裏山にある里山林において、危険木の伐採、簡易防災施設を整備するとともに、地域住民の防災活動への支援を行うもの。年間土砂流出量が約10分の4に減少し、集落裏山の不安が減少している。三つは、針葉樹林と広葉樹林の混交林整備だ。手入れ不足の高齢人工林の部分伐採を行い、広葉樹林を植栽して、パッチワーク状に樹種・林齢が異なる、風水害に強い混交林にする。森林土壌が発達し、水保全機能の高い森林となる。四つは、野生動物育成林整備だ。人里から野生動物と生息区域を分離するバッファーゾーンをつくるとともに、奥山に実のなる植樹をしてシカなど野生動物と棲み分けようとするもの。しかし、シカの食害は植樹した若木を食べるなど大きな課題となっている。五つは、住民参画型森林整備だ。地域住民やボランティアなどの森林活動に資機材等を提供してその活動を支援するものだ。

(森林資源の活用)

第二が、木材資源の活用である。このためには、「資源循環型林業」を構築する必要がある。川上(原木生産)から川中(加工流通)、川下(木材利用)が一体となって、建築からエネルギー利用まで森林資源のフル活用を進めなければならない。

(低コスト化)

まず、原木生産の低コスト化と安定供給だ。25年の原木生産量は24万立方メートルとなっている。成熟化が進む人工林を継続して活用し、木材需要に応えていく。このため、(協)兵庫木材センターを含めた製材工場等に必要な26万立方メートルの原木に加え、木質バイオマス発電用燃料として需要が見込まれる17万立方メートルを合わせた約43万立方メートルを年間供給できる基盤をつくる。これには、低コスト原木供給団地の設置が必要。小規模・分散している森林の団地化を進める。次に新ひょうご林内路網1000km整備作戦の展開だ。林道は製材工場や市場へのアクセス道路であり、団地内に縦横に巡らす作業道と一体となって効果を発揮する。33年度には団地192、林内路網延長1002kmを目指している。三つは、高性能林業機械等の導入だ。伐採木をつかんで集材するロングリーチグラップル、枝払い、玉切、集積作業をするプロセッサ、玉切りした丸太を積載して作業道を運ぶフォワーダなどの生産過程に応じた高性能林業機械の導入を進める。

(流通加工体制)

次に、県産木材の流通加工体制の整備だ。製材工場は総じて零細、コスト、品質、供給量など課題がある。このため、流通の核となる(協)兵庫木材センターを設置した。原木取扱量は25年度で約13万立方メートルとほぼ計画どおりとなっている。二つが木材の利用促進だ。県産木材利用木造住宅に対する低利の特別融資や住宅の木質化を促進している。今後、自然再生エネルギーの開発の面でも期待しているのが木質バイオマス発電所だ。利用されずに林内に放置された未利用木材や用材としては不適な間伐材などをチップとして発電燃料として利用するもの。すでに既設発電所に加え、赤穂、朝来において計画されている。また、今回の消費拡大策として「ひょうご木づかい王国ポイント事業」を行う。27年度中に兵庫県産木材を使用して新築、増改築、リフォームをする場合、15万あるいは3万ポイントを贈り、これを県産農林水産物に交換できる仕組みだ。神戸ビーフでも松葉ガニでもコウノトリ育むお米でもよい。

(資源循環型林業)

日本は国土の3分の2が森林に覆われている。しかも、毎年成長を続ける持続可能な地域資源であるし、保水など多面的な公益機能を果たしている。だからこそ、山の管理の適正化、木材の加工、流通、木材の適正利用など森林資源のフル活用を図る資源循環型林業を確立しなくてはならない。

音声による知事メッセージ

音声でも知事メッセージを聞くことができます。
全文版(約10分)(MP3:9,749KB)
要約版(約5分)(MP3:4,325KB)
音声を再生するには、「Windows Media Player」がインストールされている必要があります。
プレーヤーがインストールされていない場合は、プラグインダウンロードページからプレーヤーをダウンロードしてからお聞きください。

お問い合わせ

部署名:企画県民部 広報戦略課

電話:078-362-3019

FAX:078-362-3903

Eメール:kouhouka1@pref.hyogo.lg.jp