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更新日:2016年5月30日

今後の兵庫農業(平成28年5月)

今後の兵庫農業

農業の再生

先日、石破地方創生担当大臣の講演を聞く機会があった。その中で、農林水産業が日本の成長を支える産業として再構築しなくてはならない。なぜか。一つは、山川海。日本ほど自然に恵まれている国はない。農業は土地、水、自然が育てる産業ではないか。例えば、アジアの人々はパサパサした長粒米が良くて日本米のようなネバネバした短粒米は好まれないとされてきたが、今や日本米の美味しさに気づいて、お米を食べるならば日本米と人気が定着している。林業にしてもどうして外材の方が利用されるのだろう。やはり十分に日本の山林が利用されていなかったからではないか。国産材の活用がされていない。例えば、西欧のように木造4階建てがなぜ認められないのか。木質住宅の良さは理解されているが、地震国日本の強度不足のため一戸建てにしか利用されていない現状。しかし、CLT(クロス・ラミネイティット゛・ティンハ゛ー)という構造材により鉄に劣らない強度を生み出し、利用できる途が見えてきている。水産についても、日本は沿岸海水域は世界第8位の広さを誇り、体積でいうと深海が多いこともあって、世界第4位となる。このような水産環境に恵まれているのにどうして水産漁獲量が往時の2分の1になってしまったのか。それは乱獲を放置して、資源管理をきちんとしてこなかったツケではないか。海といえども生態系の一員として適切な資源管理が必要だった。だからこそ、再生の余地があるということではないか。この趣旨には、私としても全面的に賛成である。

養父市の特区モデル

養父市が中山間地農業の国家戦略特区に指定されている。規制緩和としては農業委員会の農地の所有権の移転や権限の設定などの許可権限を市長に移行することであったが、中山間地農業のモデルとして期待されている。
あわせて、農地の所有を2分の1以上の農家以外の者で構成する株式会社でも認められることになる。農地が営利企業の所有になって良いのかとの批判もあるが、放棄されるよりは企業により利用される方が農地の有効利用という点で望ましい。今私たちの当面している課題は、中山間地域を中心とする不耕作地や放棄地である農地の有効活用なのだから、企業の力を借りた方がよい。そのため、養父特区の特例モデルとして規制緩和するものだ。
このように養父モデルが期待されるのは、新しい農業モデルの展開の可能性にある。養父でできることが、兵庫県全県に展開できるはず、全国に展開できるはずだ。

兵庫農業の再構築

兵庫県は京阪神に近接し、大都市近郊という地の利を活かした農業に変えていかなくてはならない、なぜ米中心の作付けに片寄らねばならないのか。私は、担い手の問題だと考えている。兵庫県は第二種兼業農家の割合が67%と全国54%に比して相当高い。農業以外の働く場が多いという特質も背景にあるが、農業依存が少ないことになる。この場合仕事の合間に農業をすることになるから米が一番作り易い農作物だったからではないか。野菜とか果樹とか大都市の消費者のニーズが大きい作物に兵庫の農業の担い手が応えてこなかったことにならないか。つまり、野菜とか果樹は合間に農作業をすることでは対処できない。専業農家でなければ野菜や果樹は栽培できないからだ。このために、集落営農や営農組合あるいは会社など法人化をさらに進めねばならない。農作業はプロの農業従事者が行い、農業以外が主の農家は、自分の食料を作る飯米農家になって他の農地を法人に出資貸出し、いわば株主となって配当をもらう。いわゆる資本と経営の分離をしていくことが必要だ。

再構築の方向

また、野菜や果樹そしてこれを活用した特産物の生産に集中しようとすると、二つの条件の整備が必要だ。一つは、農地そのもののあり方である。田畑輪換ができる圃場(ほじょう)でなければならない。淡路でも三毛作、米、レタス、玉ネギと順次栽培されているが、湿田と乾畑両方に対応できるから可能なのだ。二つは、農業は自然と共生する産業としても、野菜や果樹の栽培には、気象条件をできるだけ一定にする栽培環境が望ましい。したがって、ハウスなど施設園芸や果樹団地が必要となる。農地の大規模化は米などの穀物生産に適しているが、葉物野菜や果樹などは比較的小ロットでも対応できる。したがって、中山間地であっても適切な単位を見つけられる。究極的に栽培環境を一定にできるのは、ハウス内の栽培環境をコンピューター管理する水耕栽培方式である。

農業施設の貸与制度

このため、ハウスや農業機器など農業施設の整備を支援する仕組みが必要である。もちろん、国の補助制度もあるが、さらに使い勝手の良い仕組みとして、農業施設貸与制度をつくっている。施設園芸用のハウスなどを農協等が整備し、これを利用する農業者から賃料をもらい、農業者は施設を利用して農業経営に専心できる。多額の農業施設投資を農業者ではなく、農協等に負担してもらう方式である。賃料の支払い方法もリース方式と借賃方式とがある。リース方式は借賃と元金とを10年なら10年で支払い、貸与施設の所有権が借手の農業者のものになる。借賃方式は施設は農協等が保有し続けて借手は借賃のみを支払う方式である。いずれをとるかは借手である農業者の選択によるが、私は借賃方式の方が、施設整備のリスクを農協等が取ることになるので望ましいのではと考えている。また、リース料や借賃を低減するために県から独自の補助金を支出している。今年度からは林業施設や機械、漁船など水産施設にも広げて推奨していく。

兵庫農業の構造改革

今後の兵庫県農業の構造改革は、法人化など農業の担い手対策、米中心から野菜、果樹への転換など消費者ニーズに応える対策、特産物を加工してつくる特産品の開発など付加価値化、産地間競争に打ち勝つブランド化、そして品質の高い農作物などの輸出戦略などに取り組んでいきたい。兵庫の農業のもつ、大都市近郊地域である有利性をいかに活かすかにかかっているのではないか。しっかり手を携えていきたい。

音声による知事メッセージ

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【全文版】約9分(MP3:8,418KB)

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