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更新日:2017年3月27日

北摂SATOYAMA国際シンポジウムの開催結果について

去る11月30日(日曜日)に、北摂里山の魅力を国内外に向けて発信するとともに、現代社会における里山の新たな価値(役割)を見出し、持続的な保全に向けた取組みを広げるため、APN(アジア太平洋地球変動研究ネットワーク)等と連携し、国際的な研究者を招聘した国際シンポジウムを開催しました。

金澤副知事臨席のなか、170名の参加者が約4時間のシンポジウムを最後まで熱心に聴講しました。

シンポジウムの結びには、北摂地域での人と自然が共生していく生き方を世界に提示していくため、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップに参画する旨の「北摂SATOYAMA宣言」が採択されました。

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また、翌日の12月1日(月曜日)には、紅葉が見頃の川西市黒川地域の里山をバスで巡る現地説明会(エキスカーション)が開催され、前日のシンポジウムの出席者から48名が参加しました。

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なお、シンポジウム及びエキスカーションの動画は、兵庫県インターネット放送局の「ひょうごチャンネル」でご覧いただけます。

北摂SATOYAMA国際シンポジウム〜北摂の里山を世界のSATOYAMAに~(外部サイトへリンク)

北摂SATOYAMA国際シンポジウム

テーマ

北摂の里山を世界のSATOYAMAに

開催日時

平成26年11月30日(日曜日)13時から17時

(12時40分より55分までウェルカムパフォーマンス)

開催場所

宝塚ホテル(兵庫県宝塚市梅野町1-46)

開催概要

ウェルカムパフォーマンス(12時40分~12時55分)

開催前には、元タカラジェンヌの綺華れい(あやかれい)さん、美乃杏花(よしのきょうか)さんによる、宝塚ウェルカムショーが行なわれ、開催前のひとときに花を添えてくれました。

曲目:「愛あればこそ」、「バラベルサイユ」、「フォーエバー宝塚」、「すみれの花咲く頃」

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開会あいさつ(13時~13時10分)

金澤和夫(兵庫県副知事)

要旨kanazawaib

兵庫県は、日本海と瀬戸内海と太平洋の三つの海に面しており、県土の67%が森林で覆われ、起伏に富んだ地形、多様な気候、日本で最も低い標高の分水界がもたらす生物間の交流など、それらが生物多様性の源泉となっている。
また、古くから一旦絶滅したコウノトリの復活と野生復帰に取り組んでいるほか、山陰海岸の世界ジオパークネットワークへの加盟など、様々な自然環境の保全と復活の取り組みが行われてきた。
一方、国際社会では、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において、SATOYAMAイニシアティブが提唱され、里山の保全に向けた世界的な取り組みが始まっている。
里山については、戦後に入って、燃料革命や過疎化・高齢化が進んだ結果、放置され、生物多様性が低下してきているが、北摂地域は、都市部に大変近いエリアでありながら、今でも里山景観が維持されており、人と自然が共生する生き方が根づいているとともに、市民レベルでの活動も活発である。
日本一と称されるこの地域の里山の魅力を、ぜひ世界に向けて発信していきたい、北摂の里山が、世界のSATOYAMAとして認められていくその第一歩となるようなものでありたい、そうした気持ちを込めて、このシンポジウムを開催した。何か得るものが大きいシンポジウムになればありがたい。

開催趣旨説明(13時10分~13時20分)

講師:石田弘明(兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授)

要旨

日本の里山というものは、単なる生産の場としての価値だけではなくて、環境、歴史、文化といった様々な価値を併せ持っている重要な存在であったが、燃料革命以降、里山の生産の場としての価値は失われ、放置されるようになった。
そのため、「里山に関連する伝統文化の消失」、「景観の変化」、「生物多様性の低下」、といった様々な問題が発生するようになっている。
ところが、北摂地域の状況というのは、他地域の状況とは大きく異なり、「伝統的な里山が今も伝統的な方法で維持されている」、「放置された里山の再生と活用に向けた市民や民間企業による活動が活発」、「里山資源を生かした地域づくりが地域全体で進められている」といった特徴がある。
菊炭の生産のような伝統的な方法だけではなく、市民や企業が新たな方法で里山を整備活用していることが行なわれているのが、北摂地域の大きな特徴。さらに、里山資源を生かして、北摂地域全体をエコミュージアムとして整備していこうとする「北摂里山博物館構想」といった地域づくりが進められている。
一方、国際社会では2010年に開催されたCOP10で、「SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ」という、日本主導の国際事業がスタートし、世界各地で、里山のような二次的自然の保全再生に向けた活動が行われるようになった。
阪神北県民局と北摂里山博物館運営協議会は、北摂里山博物館構想の新たな取り組みとして、この国際パートナーシップに正式に参加し、北摂の里山を世界の里山に発展させていくとの目標を立てた。
しかし、このような大きな目標を達成するためには、市民の方をはじめとする多くの方々との連携協働が必要である。そこで、次の段階へ進むための第一歩ということで、本シンポジウムを開催する次第である。

開催趣旨説明【全文】(PDF:133KB)

開催趣旨説明【配布資料】(PDF:2,116KB)

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基調講演(13時20分~13時50分)

講師:岩槻邦男(県立人と自然の博物館名誉館長)

演題:里山は日本人のこころ~Satoyama,the symbol of “harmonious co-existence between nature and mankind”~

要旨

日本において「里山」という言葉は、江戸時代にも使われた例があるという古いものだが、実際は1960年代に農用林としての里山に、里山という定義を使われたのが始まりで、最狭義の里山は「里山林」である。
一方、メディアやSATOYAMAイニシアティブ等に使われている「里山」とは、緑豊かな人工的な場所を指し、これは「里地里山」であるので、ここでは両者を区別して、狭義の里山(=里山林)を対象として話を進めたい。
古来より日本人が、日本列島の自然となじみ合いながら生活をし、里山林というものを作ってきたということは、人と自然の共生ということを意味している。
万葉集を調べると、既にこの時代には日本列島のゾーニングが、奥山と里山と人里と非常にはっきりと区別されていたことがわかる。そして里山は、奥山に生きる野生動物と人里に生きる人との緩衝地帯の役割を果たし、人と自然の共生を演出してきた。そうした非常に上手な棲み分けが、明治維新まで、中大型の動物にただ一種の絶滅種も作らなかったという歴史を生み出してきたのである。
「里山」というものは、「人というのは自然の一要素であって、自然の中で自然と共生しながら生きていく」という、「日本人の心」がそのまま反映されたものである。日本中の里山が、実のところ「里山放置林」ばかりである現在、黒川の里山は「日本唯一の里山」ともいえ、「日本人の心」が反映された唯一の絶滅危惧種の保存が、今、黒川で示されている。
そういうことを私たちは改めて見直して、「SATOYAMAイニシアティブで二次的な自然をどう守っていくか、ということを世界と共同して作り上げていく」のと同じように、「自然の中の一要素としての人の生き方は何か、ということを目指す生き方を求めていく」ことは、ここからSATOYAMAイニシアティブに向けて発信する上で極めて大切なことではないか。

基調講演【全文】(PDF:162KB)

基調講演【配付資料】(PDF:1,924KB)

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招待講演(13時50分~14時50分)

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講師:ロレンツ・ポッゲンドルフ(学校法人東京環境工科学園シニアフェロー、ドイツ)

演題:里山から学ぶこと~文化的景観を守り、持続可能な地域振興につなげる方法~

要旨

まず、ドイツにおいては「里山」と言う言葉を使わず「文化的な景観」と呼ぶが、意味は近いものである。これは、歴史、土地の特徴、景観の美しさ等の質のある光景を示し、調和と一体感を感じさせるもので、近代的・機能的な光景とは違うものである。将来の里山のイメージにとって、これは大切なことである。
次に、里山の利点としては、「天然資源としての価値」、「生態的な価値」、「経済的な潜在性」、「社会的な価値」が挙げられる。特に焦点を当てたいのが、経済的な潜在性と社会的な価値という面である。
例えば、ドイツ中央部のレーンにあるユネスコの生物圏保護区には、伝統的なリンゴの果樹園がある。マーケティングを地域のネットワークで上手にすることによって、伝統的な果樹園でも成功することが可能なのである。
また、世界中で漢方薬の需要が高まっているので、里山には非常に質の高い漢方薬の材料を提供する場として、ニッチマーケットで成功する可能性がある。
リクリエーションについては、里山に歴史のある有名な場所があれば、クラシック・ツーリズムとして、文化的な景観から多くの収入も得ることができる。また、地元の神社が、非常に素晴らしい場所である場合は、スピリチュアル・ツーリズムとしての注目を集める可能性が十分にある。あるいは、千葉県鴨川市で行われている、都市の人々が農村部の経験をする米の生産プロジェクトのような、アグリツーリズムもある。
教育への活用としては、ドイツには「森の幼稚園」といった例がある。森の中で感覚を磨き、計画を立て、社会的なスキルを身につけることを行なっている。
そして、クロスター・エーバーバッハの例をあげたい。ライン川沿いにある900年以上の歴史ある場所で、ドイツ最大のワイン醸造所であり、最高級のワインを造っている。ここでは、歴史ある建物で最新式の技術を用いてワインの醸造をしているが、こういった古いものと新しいものの組み合わせというのが成功の一つの柱のようだ。また、プロによるマーケティングが、成功のもう一つの柱である。

招待講演1【全文】(PDF:169KB)

招待講演1【配付資料】(PDF:2,037KB)

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招待講演2

講師:鈴木渉(SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局次長)

演題:世界に広がるSATOYAMAイニシアティブ~理念と取り組み~

要旨

2010年に国連大学が報告した「里山里海評価」というものがあり、これは日本の国内で蓄積された知見を集め、里山里海の変化や里山里海というものは何なのか、ということを評価したものである。日本の里山とは全く姿が違っても、持続可能に使われてきたような里山里海地域というのは、世界にもあるだろうということで検討を行い、「社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ」と言う言葉で表現することとなった。ここで、里山里海は、「様々な自然の恵みをもたらすモザイク状の社会生態学的システム」だと定義された。
また、2007年の6月に閣議決定された「21世紀環境立国戦略」で、「SATOYAMAイニシアティブ」という言葉が初めて国の政策の中に登場した。その後、2010年に開催されたCOP10において、様々な国の人たちと、SATOYAMAイニシアティブの中身を話し合い、SATOYAMAイニシアティブというのは、「自然と共生する社会の実現を目指す国際的なプログラム」ということで合意された。
さらに、SATOYAMAイニシアティブを実際に進めていくためには、それに賛同する人たちのネットワークが必要だということで、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)が設立され、現在164団体が所属している。
里山の話をすると、昔のような里山を復活するのはなかなか難しいということをよく言われる。しかし、もう少し里山というのを見直して、里山を賢く使っていた伝統に立脚し、SATOYAMAイニシアティブというものを使って、懐かしい未来像みたいなものつくれるのではないだろうか。
北摂には昔ながらの知恵もあり、大都市圏からも比較的アクセスが良い。この北摂というところで、そういう新しいライフスタイルを打ち出すことが、国内だけではなくて国際的にも非常に大きな意味があるのではないかと考えている。

招待講演2【全文】(PDF:159KB)

招待講演2【配付資料】(PDF:2,361KB)

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パネルディスカッション(15時10分~16時50分)

事例報告
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講師:フローレンス・ダグィタン(先住民政策提言・教育国際センター コーディネーター、フィリピン)

演題:生産の場として里山を守る:先住民の知恵の再生・活用・革新~フィリピン カラングア族の事例~

要旨

我々の祖先は、1980年代まで様々な環境とバランスをとり、山をふるさととして独特の生態系をつくっていた。
ところが、1980年代以降に、化学肥料を使った農法がこのような土地にも導入された。森林伐採が起こり、殺虫剤で昆虫や動物も殺すようになり、生態系が崩れてきた。
それまでは、多くの種類の穀物を食べていたが、食生活が変わり単一の穀物が作られるようになった。子供たちにも、健康上の被害も起きた。飲み水についても、泉が枯れるということが起こった。結局、こうしたことは食糧の不安に結びついたのである。
そこで、我々は状況を分析し、先住民の行っていた文化や精神的な面にも及ぶ土地の管理、というものがとても大切であるとの結論に至った。
森林というものはみんなで共通に所有されるもので、永久地として保護しなければいけないということになった。共通の土地では統一した管理を行い、そこに生息地があるすべての生き物は保全をしていくということとした。
さらに、伝統的な知識と新しい近代的な技術を用いて生産性の良い農法を行なうこととした。古くなって生産性が悪くなった水田には、山から元気な土壌を移し、灌漑のための水路も作ってよみがえらせた。また、自然で豊かな土地が得られないので、コンポストで有機的な肥料をつくっている。さらに、小さな土地であっても、我々は沢山の違った種類の食物を育てている。
これで私どもは、多様性に満ちた食料の生産というものができるようになった。
ほかに、我々は他の村と穀物の交換を行い、今は失われた穀物や伝統的な米の品種を復興している。
米の収穫は近隣が協力して収穫を行なう。ある農地が手入れをしくじれば、そこから害虫が発生して、村中がそれに影響を受けることになるからである。
米の耕作というものは、文化に満ちあふれていると思う。

事例報告1【全文】(PDF:91KB)

事例報告1【配付資料】(PDF:5,785KB)

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事例報告2

講師:西澤孟治(渓のサクラを守る会代表)

演題:エドヒガン満開!「ふる里の森づくり」~人と自然・人と人が絆を結ぶ森づくり~

要旨

川西市の多田グリーンハイツに隣接するエドヒガン群落は、兵庫県レッドデータブックBランクおよび川西市天然記念物に指定されている
我々の会は、2008年6月19日設立、会員は現在60名弱。定例活動は毎週木曜日の午前中で、年間を通じて大体約70日の活動を行なっている。活動場所は、面積は約7haの川西市の土地で、川西市と管理契約を結んでいる。
我々が目指す森の姿は、以下の2つである。
1.エドヒガンザクラを中心に、渓の景観を作ること。
2.その景観をつくるために、間伐や下草刈りによって明るい森をつくり、多様性の森を実現。さらには、その場所に子供たちを連れてきて、学習や野外活動を行なうこと。また前を流れている猪名川の投棄ごみを回収して、清流を回復すること。
そして、活動の成果としては、以下の4つが言える。
1.エドヒガンの保護と群落の拡大。現在、渓には270本を超えるエドヒガンを確認済み。
2.生物多様性がこの5年間に劇的に進んだこと。成果物として、渓の192種類の花々の写真の写真集を刊行した。また、他の地域からの植物の受け入れも行なっている。
3.地元の小学生の環境体験学習や、あるいは中学生の職業体験(トライやるウィーク)を受け入れて、継続的に世話をしている。環境学習は5年、職業体験は2年継続して受け入れている。春のエドヒガンの満開時には一般公開、新緑の季節には森のコンサートを行っている。
4.元気老人が楽しむ事を主眼に一つの置き、「まち山ボランティア」として渓での活動のみならず地域の行事にも積極的に協力してきた。
エドヒガンというのは非常に長寿の桜だが、少しだけ人間が手助けしてやらないと周りの木に負けてしまう。これからもみんなで楽しく、達成感を味わいながら、末永くこの会を続けていきたい。

事例報告2【全文】(PDF:120KB)

事例報告2【配付資料】(PDF:4,460KB)

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事例報告3

講師:今西勝(菊炭生産者)

演題:伝統的な菊炭生産と里山管理

要旨

私は中学校を卒業してから約60年間炭焼き一筋で、冬は炭焼き、夏は田畑を耕している。
私の焼いている炭は、茶道に使うためのものを基本としており、菊の花びらのように見えるので、菊炭と言われている。
炭に焼くのは、直径10cmセンチの木も少し要るが、原則7センチぐらいまでで、茶道用に細いのも必要なので、細いのはいくら細いものでも構わない。
索道で遠い山から木をひっぱり出して、積込み用の枠に木を入れる。枠に木を全部入れて、ユニック(クレーンの着いたトラック)に積んで持って帰る。
窯の大きさは奥行きが4m、幅は4m弱、高さは2mで、6畳間より少し広いぐらい。1回に4tの木が入る。窯に火をつけるのに1日かかる。ちょっと欲張って、800kgの炭ができる窯を作ったために、息子1人ではとても窯の守ができない。3~4人の人が必要となった。
良い炭を焼くには、良い木が必要。良い木を作るには、山には必ず「つる」があるので、つる切りなどの山の掃除が必要である。
お茶用の炭には、クヌギに限る。ただし、若いクヌギは、ドングリと同じ味がするので、どんどん鹿がクヌギの芽を食べに来る。鹿よけに電線を張ってもそれを飛び越えてきたりするので鹿との知恵比べが大変だ。
炭を焼くことも大事だが、これからは芽が出たクヌギを鹿に食わさないようにする工夫も考えなければならない。
そういうことで、ただ焼くだけはすまないので、今後の炭焼きも少し大変だと思う。

事例報告3【全文】(PDF:114KB)

事例報告3【配付資料】(PDF:3,168KB)

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パネルディスカッション

コーディネーター

石田弘明

パネリスト

岩槻邦男、ロレンツ・ポッゲンドルフ、鈴木渉、フローレンス・ダグィタン、西澤孟治、今西勝

パネルディスカッションの概要

1.SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)に参画する意味

石田)いわゆる「まち山」と呼ばれている、伝統的な方法とは違う、新しい方法で整備されて新しい方法で活用されている自然はSATOYAMAイニシアティブの対象から外れてしまうのではないか。
鈴木)「渓のサクラを守る会」がやっている活動もSATOYAMAイニシアティブの対象になる。いろいろな人が積極的に働きかけていくということが印象的な活動だ。
石田)岩槻先生は、SATOYAMAイニシアティブの企画段階から深く関わっており、重要な役割を果たしてきている。そういう立場からの考えは。
岩槻)これから里山で展開していかないといけない様々な活動というのは、当然SATOYAMAイニシアティブの中に含まれるべきで、多様な問題を含んでいる北摂の里山が積極的に参加していくということは、SATOYAMAイニシアティブにとって、非常に大きいプラスになると思う。
石田)北摂地域がSATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップに参画するということで、一体どういう意味や効果があるのか。
鈴木)海外からの視点でもう一度皆さんの取り組みの素晴らしいところとか、課題があるところを見直す良い機会になるのではないか。
石田)フィリピンの先住民政策提言教育国際センターは、すでに国際パートナーシップの方に参画している。実際に参画されてみて率直な意見はどうか。

ダグ)IPSIの会員で大変名誉に思っている。一緒になってお互いの経験を共有し合うということによって自信を持ち、そしてもっと何かをしよう、と考えるようになる。

2.伝統的な里山の保全

石田)北摂地域の伝統的な里山を守るためには、菊炭の生産を同時に守らなければならない。炭作りは鹿の被害に直面しているが、北摂の里山は地域の財産でもあるので、行政の財政的な支援も意味があるのでは。ヨーロッパでは文化的歴史的景観を守るための財政的な支援があると聞くが。
ポゲ)ドイツでは、国のレベルでは、土地の景観計画があり、土地の使用は法律により厳しく取り締まられている。また、契約的な土地の景観保護政策として、文化的な景観を守る農家への補助金制度がある。EUにも、将来的に守る必要がある農地に対して、農家への補助金制度がある
石田)日本にも、農水省の「中山間地域等直接支払制度」があるが、田畑対象で里山に適用されない。国内の良い制度や仕組等はあるのか。
鈴木)海外から面白いと言われるのは「水源税」。また国の対策では、吸収源対策で森林に金が投下されている。しかし、里山のような現場には、おそらくそんな金が入ってこないので、そこが課題。
石田)伝統的な里山について、鹿問題の他にも何かあるか。
今西)炭だけではなく、原木シイタケというものの生産に力を入れている。一般のシイタケは3ヶ月でできるが、原木シイタケは2年かかる。しかし、やはり原木でつくったシイタケは質が良い。


3.里山の新たな価値と再利用

石田)昔のように伝統的な方法で生産目的に里山を再生して利用していくというのはやはり難しい。環境学習の場として里山を活用する効果・メリットの具体的な話をお願いする。
西澤)子供達と私達老人の世代間の距離が、エドヒガンを仲立ちにして随分近づいたと実感している。中学生の活動を受け入れたのも、小学校の活動だけで終わっては体験を忘れてしまうからだ。もう1回渓に来て活動してみたいと思う子が出てくることが、これからの里山の保全に大事なことだ。
石田)西澤さんの話を聞いて、ポッゲンドルフさんも何かコメントを。
ポゲ)五感を使った体験を通して、自然と感情レベルで結びつくことが重要。これに着目した「森の幼稚園」がドイツにはある。日本でも広がりつつある。日本はもっとこういったことに取り組むべきだ。また、里山の伝統的な使い方を支える、地方政府や中央政府の財政的なインセンティブが重要だと思う。
石田)西澤さん達の活動は、使命感以外にも原動力があるのではないか。活動を楽しんでいるのが長続きの秘訣なのではないか。女性の参加が多いのがその要因の一つではないか。
西澤)使命感の根本に流れるものは、学術的に適切な指導である。そのため今まで大筋において活動は間違ってこなかった。だからこそ、意見の相違はあっても共感をもって活動を進めてこられた。なお、現会員は57名で、参加者数が30人を下るということはまずない。参加率が高いのは、皆が楽しんでいるということだと思う。そして、参加者の内12~13名が女性である。女性の参加率が高いのは、活動を午前中のみとしているためだと思う。里山ボランティア活動は男性中心になりがちだが、女性の参加が多いのは良いことだ。
石田)黒川地区の伝統的な里山は「林業遺産」に指定されている。世界レベルのものには「ユネスコエコパーク」、「世界農業遺産」がある。北摂地域の指定の可能性についてはどうか。
岩槻)ピュアな自然というのと、人為的なものというのは識別・峻別される傾向があるので、エコパーク指定に持っていくというのは、大変難しいのではないか。むしろ、里山の二次的自然としての良さを強調していくというのがより正しい方向だろう。いずれにしても、もはや野生絶滅の状態にある、日本で唯一の里山をどう保全するか、ということを共通の認識として持つことがまず大切なことではないか。

石田)パネリストの皆様から多くの有益な示唆をいただいた。このような情報交換、情報共有が国際パートナーシップに参画する大きな意義の一つだということを改めて実感した。
北摂地域には、未発見の里山の価値や埋もれている里山資源というものが、数多く残されているので、今後は新たな価値の創出、新たな活用方法の模索が重要な課題ではないか。
里山の活動は、大変面白い、楽しいものなので、参加されている皆さんの中からも是非参加いただき、一緒に活動を進めていければと思う。

パネルディスカッション【全文】(PDF:196KB)

文中の、ダグ)はフローレンス・ダグィタン氏を、ポゲ)はロレンツ・ポッゲンドルフ氏を指します。

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まとめと宣言(16時50分~16時55分)

北摂SATOYAMA宣言

岩槻邦男

北摂地域での人と自然が共生していく生き方を世界に提示していくため、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップに参画する旨の宣言が採択されました。

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(北摂SATOYAMA宣言全文:日英)(PDF:105KB)

閉会あいさつ(16時55分~17時)

多木和重(兵庫県阪神北県民局長)

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長時間にわたる本日のシンポジウムに最後までご参加いただき、主催者を代表して心から厚く御礼申し上げる。また、今日のシンポジウムの講師の皆様方、明日のエキスカーションにご協力いただく関係者の皆様方にも、この場を借りて御礼申し上げる。
北摂地域に豊かに残る里山を、地域資源・地域の宝として積極的に守り育てて活用していくために、阪神北県民局では、平成23年に「北摂里山博物館構想」をまとめ、積極的に取り組んでいる
北摂里山博物館構想では、「ひと、さと、ずっと」という言葉を用いて基本理念としている。「ひと」というのは、里山を守ろうという意識の強い人、「さと」というのは、里山が残り人と自然が共生している場所、「ずっと」というのは、持続可能な形で人と自然が共生していく仕組みを意味する。
こうしたものを培うべく、博物館構想の推進にこれからも一生懸命取り組んでいくので、是非ともご協力をよろしくお願いしたい。
皆様方のご健勝ご活躍をお祈りする。

現地説明会(エキスカーション)

開催日時

平成26年12月1日(月曜日)8時45分から16時30分

集合・解散場所

宝塚ホテル(兵庫県宝塚市梅野町1-46)

主な訪問先

妙見の森

講師:辻本哲(川西里山クラブ会長)

妙見の森ふれあい広場において、辻本氏より,川西里山クラブの活動について伺いました。その後、辻本氏の解説を伺いながら、妙見の森のエドヒガン桜群を巡りました。

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今西家炭窯

講師:今西勝(菊炭生産家)

前日のシンポジウムにも登壇いただいた、今西勝氏の炭窯を訪ねました。実際に菊炭の生産に使用している炭窯を前にして、今西氏より菊炭づくりについて詳しい話を伺いました。

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黒川公民館

黒川公民館(旧黒川小学校で)昼食休憩を取った後、各自自由に明治時代に建てられた公民館を見学しました。

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黒川・桜の森

講師:大門宏(菊炭友の会代表)

大門氏の案内で、黒川・桜の森を巡った後、里山の整備・保全に係る取り組みについて詳しい話を伺いました。

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補足説明等

SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI(イプシー)の概要)

設立:2010年10月

活動目的:SATOYAMAイニシアティブの取組みを国際的な協力で進める。

事務局:国連大学サステイナビリティ高等研究所(東京都渋谷区)

加盟団体:164団体(H26.10現在)、内訳:政府・自治体34、NGO66、その他64)

SATOYAMAイニシアティブとは

失われつつある里山のように人の営みを通じて形成された二次的自然環境を改めて見直し、持続可能な形で保全・利活用していくためにはどうすべきかを考え、行動しようという取組み。2010年10月に開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において日本国環境省から提唱された。

関連メニュー

北摂SATOYAMA国際シンポジウム開催記録(概要版:日英併記)(PDF:4,470KB)

 

 

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お問い合わせ

部署名:阪神北県民局 県民交流室

電話:0797-83-3137

FAX:0797-86-4379

Eメール:hanshinkkem@pref.hyogo.lg.jp