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更新日:2019年5月23日

県民だより ぐぐっと!

兵庫県ゆかりの著名人のインタビュー全文を紹介します。

小説家(第160回芥川賞受賞) 上田 岳弘さん

 

上田岳弘先生の写真

PROFILE

上田岳弘(うえだ・たかひろ)

昭和54年明石市生まれ。県立明石西高校から早稲田大学法学部へ進学。卒業後はIT企業の創業に参加し、その後役員となる。平成25年、「太陽」で第45回新潮新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。平成31年1月、「ニムロッド」で第160回芥川龍之介賞を受賞。

 

Q.芥川龍之介賞を受賞された感想は。

注目される賞なので候補になるとプレッシャーがあります。ある意味ずっと試されている感じでした。何かを待ったり、試されたりするのはあんまり得意ではないので、この件についてはもう考えなくていいんだなという解放感がありますね。

Q.どんな子ども時代を過ごされましたか。

4人きょうだいの末っ子で、家庭の中でも情報量が多いからか、いろんなものが気になるタイプでした。いつも兄や姉のまねをしていて、本に興味を持ったのも家族の影響ですね。本をたくさん読む家庭だったので、幼い頃からその辺に置いてあるものを手に取っては読んでいました。漫画、雑誌、ミステリー小説、今で言うライトノベルなど、ジャンルはさまざま。家の中は情報にあふれていましたね。

Q.小説家になりたいと思ったのはいつですか。

5歳くらいからずっと思っていました。小学校に入って、芥川龍之介の小説「トロッコ」に妙なライバル心を持っていたのを覚えています(笑)。中学、高校時代は小説を書こうとしては書けないということの繰り返しで、初めて書き上げたのは周りが就職活動を始めた22、23歳の時です。どうやったらデビューできるのかも分からなかったので、まずは1作書き終えることを目標に、何の当てもなく書いてみたら原稿用紙400枚以上になり、達成感はありましたね。それから、新人賞というものがあると友達に教えてもらい、過去の受賞作品などを参考にしながら書いて、最初に応募した作品が最終選考まで残りました。その後も何作か書いて応募したりしたのですが、自分が書きたいものにはまだ届かない気がしたのでいったんやめて、友達の誘いでベンチャー企業の立ち上げに参加しました。社会で働く経験を味わった上でなければ書けないものがあるのではと仮説を立て、まずは働いてみようと。朝9時に出社して帰るのは終電という生活が4、5年続きました。そして会社が落ち着いて少し余裕が出てきたので、また小説を書き始めました。

Q.小説家にこだわり続けたのはなぜですか。

作品を発表することで、書いたものが世の中にどう受け止められ、自分の思念や文章がどういう効果を発揮するのかを知りたいという思いからでしょうか。一貫したテーマは、フェアかどうか。書き始めると日々過ごす中でちょっと心に残ったことなどが勝手に出てきて、それはどこから来ているのだろうとさかのぼって検証していくことが多いですね。僕にとって、小説を書くことは思考実験に近いものがあります。

Q.今後、どういうものを書きたいですか。

「太陽・惑星」などの初期作は、自分がどういうものを書けるのかなという興味で書いた面が強く、それが評価してくださる方がたくさんいる一方で、「分からない」「読めない」と言われることも多くて。実際、小説を読みつけていない人にとって、僕の作品は読みにくいところもあるだろうと思うんですよ。「ニムロッド」は読みやすい方ですが、それでも難しいと言われることがあったので、さらにもう一歩、読者に寄り添うようなものを書きたいと思います。とはいえ、培ってきた技術や経験をつぎ込んで、深さは変わらないものを目指したいですね。

Q.小説を書く上で、ふるさとの影響はありますか。

自分のバックボーンを語り手のプロフィールとしてそのまま使うことが多いタイプの作家なので、僕自身は明石ですけど、語り手が神戸出身だったり、淡路島が出てきたりします。淡路島は両親の出身地で、長い休みになると必ず島に渡って過ごしていたので明石と淡路、故郷が2つある感覚です。明石の駅前はすごく開発が進んで変わっていますが、生まれ育った江井島の辺りはまだ牧歌的な雰囲気を残していますね。大人になったからこそ、ふるさとの魅力がすごく分かるようになりました。何もしがらみがなければ、今、一番住みたいのは明石か神戸ですね。それくらい好きです。

 

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