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県民だより ぐぐっと!

兵庫県ゆかりの著名人のインタビュー全文を紹介します。

車いす陸上競技選手 大矢勇気さん

 

県民だより2022年2月号ぐぐっと大矢さん

 

PROFILE

大矢 勇気(おおや・ゆうき)

昭和56年、西宮市出身・在住。16歳の時の転落事故による脊髄損傷で下半身不随、両手指にもまひが残る。男子100メートル走(T52クラス)のアジア新記録を保持し、東京2020パラリンピックでは銀メダルを獲得。

Q.初出場のパラリンピックを振り返って。

東京へ向かう1週間前までは緊張と楽しみな気持ちが半々でしたが、当日は「いつも通りの走りができたらメダルが取れる」という自信から、楽しみな気持ちでいっぱいでした。私一人の力ではなく、コーチとのマンツーマンの練習やアドバイス、兄とのトレーニングで培った経験が生かされ、銀メダルにつながったと思っています。

Q.強みは何ですか。

私のようなスプリンターにとっては、30メートルまでが重要です。ウエートトレーニングでパワーをつけることで、得意のスタートダッシュを生かせると考えています。

Q.車いす陸上の魅力は

体力だけでなく、車いすを操る技術力も問われます。一回のストロークでいかに力強くこぎ進めるかが大事で、ただ体力があるから、スタートダッシュが良いから、というだけでは勝てません。そこが、車いす陸上の奥深さだと思います。

Q.競技を始めたきっかけは

平成17年に全国障害者スポーツ大会「のじぎく兵庫大会」の県予選があり、そのレースに知人に誘われたことです。「楽しめたらいいな」と軽い気持ちで生活用の車いすで出場したところ、優勝し、県代表に選ばれました。翌年の全国大会では私以外の全員が競技用車いすで、スタート後の一瞬だけ先頭に出たものの、あっという間に抜かされ、ゴールした時には10秒くらい差をつけられていました。初めて最下位になった悔しさから「陸上競技をやりたい」と家族に相談し、高価な競技用車いすを買ってもらいました。

Q.生活用車いすとの違いは

生活用の車いすは約15キロありますが、競技用車いすは約7キロと軽く、タイヤの角度によって推進力が増したり、もろに風の抵抗を受けたりします。よりスピードが出ますし、姿勢が低く臨場感があるので、初めて乗る人はよく「怖い」と言います。ジェットコースターに乗っているような感覚ではないでしょうか。私が初めて乗った時にも今までに感じたことのない速さを体感し、それから陸上競技にのめり込んでいきました。

Q.15年の競技歴の中で、苦しかった経験は

28年のリオデジャネイロパラリンピックを前に重度の床ずれを起こして入院した時は、引退を考えました。当時、主力としていた長距離走と中距離走で全く記録が伸びず、無理な練習を重ねていたのです。中・長距離走は体に負担がかかることもあって短距離走に転身してみたところ、タイムがぐんと上がり、自分には短距離走が向いていると分かりました。その後は100メートル走に特化して練習に取り組んできました。

Q.今後の目標は

再来年夏に神戸で開催される世界パラ陸上競技選手権大会では、東京2020パラリンピックで負けた米国のレイモンド・マーティン選手にリベンジを果たし、金メダルを取りたいです。さらに、同年開催のパリパラリンピックでも金メダルを取れるように頑張りたいと思っています。得意なスタートダッシュだけでなく、中間から後半にかけてのスピードを上げていくことを課題に取り組んでいきたいです。

Q.世界パラ陸上は、神戸総合運動公園のユニバー記念競技場で開催。競技デビューした国体の会場でもあった、ゆかりの深い場所ですね

そうですね。東京2020パラリンピックの前、7月10日の兵庫陸上競技選手権大会で自己ベストと日本記録とアジア記録を更新した場所でもあり、相性がとても良いんです。その場所で金メダルが取れたら感無量だな、と思います。

地元、西宮でのエピソードを教えてください。

私たち西宮市民は「小連体」「中連体」といって市内の小学校、中学校の合同運動会を阪神甲子園球場で開催します。事故に遭う前に、阪神甲子園球場で走ったことが思い出に残っています。また、20年には実家の近所に大きな商業施設がオープンし、市内で初めての映画館ができました。私は「ワイルド・スピード」などのアクション映画が好きなので、とてもうれしかったです。生まれ育った西宮という街がすごく好きで、離れたくないなと思います。

活躍を楽しみにしている方々にメッセージを。

応援していただいている方々に、勇気と感動を与えられる選手でありたいです。パラ陸上の後輩や、これから競技を始めたいと思っている人には、私が今まで練習してきたことやメッセージを伝え、パラ陸上の発展に貢献できたらと思っています。

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