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更新日:2014年3月17日

継岩 典子さん(兵庫県音楽療法士)加古川市

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  地域を元気にし、未来を創る「兵庫の人」を直撃インタビュー!キラリと光るその活動やお人柄をご紹介します。
  皆さんは、優しい音楽を聞くと心が落ち着き、軽快なリズムに合わせて声を出すとなんだか元気になった経験はありませんか?「音楽」には人々の心身を癒やし、活性化させる不思議な力があり、その力で私たちの健康を導く治療法を「音楽療法」と呼びます。「音楽でみんなを元気にする!」をモットーに、県内で音楽療法士として活躍する継岩典子(つぐいわ・のりこ)さんにお話を聞きました。

こころを通わす音楽を奏でて

二俣公会堂での「いきいきふれあいサロン」

 笑顔で奏でる歌声と楽器のハーモニーが広がり、会場全体の空気が少しずつやわらかくなるのを感じます。この日、加古川市内にある二俣公会堂に集まった40人近くの方々の手には、カスタネットや太鼓、マラカスなど様々な楽器がありました。

 そんな中、生の伴奏やバイオリンの音色と共に、澄んだ歌声で参加者の元気を導き出していたのが、兵庫県音楽療法士の継岩典子さん。加古川を拠点に、音楽療法の実践や普及を目的に活動する「加古川音楽療法研究会」の代表も務め、市内各地域で開催される「いきいきふれあいクラブ」で、高齢者の皆さんに音楽とふれあう機会を広げています。「まるい音のシャボン玉を作るイメージで、音を出してあげてくださいね」と継岩さんが声をかけると、参加者の持つミュージックベルやトーンチャイムの音色が一瞬にして変わりました。そして音だけでなく、お隣の方とほほ笑み合いながら楽器を演奏する皆さんの瞳の輝きにも変化が。「こうやってみんなで歌ったり、楽器を使うのが楽しみで楽しみで、次がもう待ち遠しい」。そんな参加者の素直な感想を伝えると、「そう言っていただけるのが本当にうれしい」と、継岩さんはまぶしい笑顔を見せてくれました。

 


生演奏に合わせて合唱・・音楽療法士として、普段はどんな活動をしていますか。 

 音楽療法とは、音楽を聴いたり、歌ったり、あるいは実際に演奏するなどして、心や体の病気、障害の回復を目指したり、また事前にそれらを予防することです。現在は市内の介護施設で、高齢者の皆さんと唱歌や歌謡曲などを歌って一緒に体を動かしたり、養護学校では子どもたちが自分の耳や体で音楽を感じてもらえるような時間を持っています。音楽療法が生かされる場所は様々で、またクライアント(音楽療法を受ける人)の抱える実情も様々。だからこそ、人や場面に応じて使う曲や流れも考え、プログラムするよう心がけています。大事なのは、音楽という一つのアイテムを使って、歌うこと、動くことの先にあるコミュニケーションを導きだすこと。高齢者の中には、懐かしい曲を歌うとその当時の出来事をどんどん思い出して、一生懸命私たちに話をしてくださる方もいます。そうやって音楽から生まれるいい連鎖をもっともっと引き出していきたい。私たちはそのきっかけ作りを音楽療法を通じて行いたいと思っています。


・・なぜ音楽療法士になろうと思われたのですか。
 
 13年前、知り合いから、自閉症のお子さんのために「何かしてもらえないか」と、大学で歌を専攻していた私に依頼があったことがきっかけです。何かしてあげたいのに、どうしていいか全くわからない。私は大学で一体何を勉強してきたのかと随分悩みました。そんな時、テレビで目に付いたのが、音楽療法という初めて聞く言葉。「こういう音楽があるならぜひやってみたい」と思い始めた矢先に兵庫県音楽療法士の認定講座があることを知り、受講しました。兵庫県音楽療法士第1期生として活動を始めてから11年。今ある状況の中で何ができるのかを考える視点は忘れず、クライアントとセラピスト(療法する人)が一緒に交流を深めることができる関係を築いていきたい、という思いはずっと変わりません。

 

歌う楽しさを伝えて・・音楽療法を通じて、クライアントに明らかな心身の変化が見られたことはありますか。

 たくさんあります!リハビリをしても右手は動かないと言われていた方が、「太鼓をたたいてみたい」とおっしゃり、バチを渡すと、まひしている手にバチをくくりつけてほしいとのことでした。ひもでくくってあげると、動かないはずの右手で、なんと自力で太鼓をちゃんとたたくことができたんです。最初は弱々しい音でしたが回を重ねるにつれ力強くなっていき、自信を持ってたたかれるようになっていきました。太鼓をたたきたいという強い思いが、まさしく奇跡を起こした瞬間でした。

 他にも、昔コーラスをしておられたという失語症の方のそばで音楽を流してあげると、歌を歌うことができたという驚きの変化もありました。私が歌っていると、きれいな声で、しかもはっきりとした発音で一緒に歌われる姿にスタッフの人たちがびっくりして、「お上手ですね」と声をかけると、その事がきっかけとなり、なんと笑顔を取り戻されたんです。話すことはできなくても、歌うことはできる。そして気持ちや性格までも前向きにしてくれる。そんなことを教えてくれた本当にうれしい出来事です。たとえコミュニケーションをとることが難しい方でも、音楽には言葉はいりません。泣いたり笑ったり、時に怒ったり、そうやって自分の感情を音や体で表現してくれることが、何よりも大切で、大きな意味があります。 



音楽療法で「予防介護」に取り組みます・・今後、どういう風に活動を広めていきたいですか。

 
介護施設などでの活動ももちろんですが、今後は、いきいきふれあいサロンのような「予防介護」においての音楽療法の必要性がますます大きくなってくると思います。お元気で、健康にもとても興味をもっていらっしゃる高齢者の皆さんにこそ、音楽の魅力を感じて夢中になっていただけるといいですね。歌いながら楽器を演奏するのは実はなかなか難しく、そうしているうちに自然と“ながら運動”をしていて、集中力を高めたり脳を活性化しているんです。それが体にも心にも間違いなくいい影響を与えてくれますから。
 そして、環境的にまだまだ難しい点もありますが、病院などにももっと音楽療法の素晴らしさを知っていただきたいと思っています。私たちは病気を治すことはできません。でも心のケアの一角として、たとえば音楽が好きな方がいらっしゃれば生の楽器の音に触れる機会を作って差し上げたい、それだけでも人の心を動かす大きな一歩になると思うんです。そうやって“寄り添う音楽療法”をしていきたいです。 
 

 「こんなこともあったんですよ」と、次々に継岩さんが教えてくださるクライアントとのエピソードは、まぎれもなく実際に起きた奇跡の物語ばかりで、聞いていて何度も鳥肌が立った今回の取材。中でも、ほとんどベッドに寝たきりの方が、音楽療法の日はきちんとお化粧をして継岩さんが来るのを待っていてくれ、セッション中は本当にいい笑顔を見せながら歌ったり話をしてくださるという話には、言葉にできない感動を覚えました。「その時間だけは体の痛みを忘れられるんだそうです」-理論や数字を超越して、そこには確かに、人の心の一番奥にある大切な部分に訴えかけてくれる力があるに違いありません。

 「30年後、どんな兵庫県になっていてほしいですか」と、尋ねると、「都市にも小さな街にも、どんな施設にも病院にも、お母さんのおなかの中にいる赤ちゃんにもご高齢の方にも、皆さんにいつでもいい音楽が提供できるぐらい、音楽療法が広まっているといいですね」と継岩さん。時代の流れと共に音楽療法の形も変化することを見据え、音楽だけでなく医療や福祉の勉強など更なる研鑚に励んでいきたいと意気込みます。最後に継岩さんはこう言って締めくくりました。「何ヵ月かかっても、何年かかっても、いつか“音に触れること”で心と心がつながると信じて、それまで私たちは寄り添いながら待ちますよ」と。人々を癒やす音楽療法の半分は、そんな音楽療法士の包容力と優しさでできているのかもしれません。(吉田)


 

 ☆兵庫県音楽療法士会☆
 【住所】神戸市中央区坂口通2-1-1 兵庫県福祉センター6F
 【電話】078-261-9601(FAX兼)
 【H.P】hmta_02@ybb.ne.jp 

 


 ☆音楽療法を取り入れてみませんか☆
 
兵庫県では、音楽療法の医療・福祉施設への定着促進を図るため、音楽療法により利用者の心身機能の維持改善等を行う施設に対し、音楽療法の実施経費の一部を一定期間助成する「音楽療法定着促進事業」を実施しています。
 
 ◇募集◇ H24年度 音楽療法定着促進事業 
 【補助対象施設】 施設利用者を対象として、音楽療法士による音楽療法を、新たにおおむね週1回(月2回以上)、継続して実施する兵庫県内の医療・福祉施設
 【補助内容】 ・音楽療法士の謝金:1回あたり2,500円 (ただし、施設が療法士に支払う額が5,000 円以上の場合に限る)
 ・音楽療法士の旅費で2,000 円を超えた分の1/2 (ただし、北播磨、西播磨、但馬、淡路地域の施設に地域外の音楽療法士が派遣された場合のみに限る)
 【補助対象期間】 おおむね3ヵ月以上1年(実施回数40 回)以内
 ※  過去に補助対象になった施設種別での申し込みはできません。

 詳しくは、兵庫県音楽療法士会までお問い合わせください。

お問い合わせ

部署名:企画県民部知事室広報課

電話:078-362-3016

FAX:078-362-3903

Eメール:kaigaikouhou@pref.hyogo.lg.jp