ホーム > 県政情報・統計(県政情報) > 広報 > 広報専門員情報 > 「ひょうご☆キラリすと」Vol.10 秦 詩子さん(人と防災未来センター 語り部ボランティア)神戸市

ここから本文です。

更新日:2014年3月17日

秦 詩子さん(人と防災未来センター 語り部ボランティア)神戸市

kirarisuto

  地域を元気にし、未来を創る「兵庫の人」を直撃インタビュー!キラリと光るその活動やお人柄をご紹介します。
  阪神・淡路大震災の発生から今年で18年が経ちました。もう18年、まだ18年。街並みはよみがえり、あの日から神戸は着実に復興の道をたどりつつある中で、震災を経験した人々の18年には、それぞれの思いがあります。人と防災未来センターで、語り部ボランティアとして震災の経験を伝え続ける秦詩子さんに、お話を聞きました。

明日へ語りつなぐ記憶~震災18年~

 阪神・淡路大震災の経験と教訓の継承や、日ごろから防災・減災に備えることの大切さを伝える「人と防災未来センター」には、実際に被災した体験や震災の実情を語り伝える「語り部ボランティア」の皆さんがいます。語り部として、開館以来多くの来場者に心に響くメッセージを届けつづけてきた秦詩子さんの活動の根底には、この18年間抱いてきた震災の記憶との葛藤と、未来への願いがあります。

阪神高速が崩れた神戸市東灘区・・18年前の1月17日、秦さんご自身も被災されたと聞きました
 神戸市東灘区の自宅マンションで大きな揺れを感じ、気づいた時には家の中の物はミキサーにかけられたかのように全て壊れていました。「関西に地震なんてこない」。そう思い込んでいた私は、その時これが地震だということすら分かりませんでした。右も左も手足がでないでいると、「早く逃げて」という息子の声が耳に入り、歪んで開かない扉をこじ開けて、すぐにマンションの外へ。そこには物音ひとつしない静まり返った暗闇と、同じく、何が起こったのかわからず、ただただ呆然とする人たちの姿がありました。そこは、阪神高速がなぎ倒された場所のすぐそばで、まわりの建物はほぼ全壊という被害のひどい地域。とにかく居場所を求めて近くの小学校へ向かうも、すでに避難者でいっぱいで、その後1週間、私の家族は車で生活をしたんです。でも、その環境にも限界があり、車を出て、近所の公園にテントを張り、震災発生から4月末まで、そこで暮らしました。
 そのテント生活と同時に始まったのが、公園での炊き出しです。寒い真っただ中の1月、2月には、ありがたい救援物資も冷たいお弁当やおにぎりが続くとつらい。それなら自分たちでなんとか温かい食事をと、お米をかき集め、破裂した水道から水を汲み、つぶれた家の木で火をおこしてご飯を炊きました。友人と二人で家族のために無我夢中で始めた行動は、地域の人たちに広がり、いつの間にかたくさんの人が炊き出しを求めて集まるように。そうするうちに、自然とそこが拠点となり、避難所に指定されることになりました。「誰かに助けてもらおうと待っているだけではいけない、自分たちが動かなければ」。そう気づいてから避難所を閉めるまでの約3ヵ月半、炊き出しのリーダーとして毎日火の番を続けました。まさしく、被災者が運営する避難所。近所の人とお互いに助け合い、励まし合ったあの時を思い出すと、被災者同士の結束なくしては絶対に乗り越えられなかったと、いま改めて痛感します。

語り部コーナーにて・・震災の体験を話すのはつらいことでもあると思うのですが、語り部を始められたきっかけは?
 震災後は地震の話をしようという気にもなれず、家族間ですらその話題に触れることはほとんどありませんでした。実は、気づかぬうちに押し殺していた恐怖や不安といった感情が、震災発生から1、2年経った頃に心身に現れたんです。きっと心にふたをしていたものが、ある程度生活が戻ったことであふれ出てきたんでしょうね。震災で目の当たりにした人の死は、月日が経てば忘れられるものでは決してなく、たとえそれが身内でなくとも、残された人に深い悲しみを残します。自分ではコントロールできないこの心情と向き合えるようになるまで、約8年かかりました。
 でも、あの時、全国から来てくれたボランティアの皆さんに支えてもらったお礼がしたい、いつか感謝の気持ちを伝えたいと思っていた私は、自分の体験を話すことで恩返しができるかもしれないと思い、語り部ボランティアを始めることにしました。人と防災未来センター開館の時からなので、もう10年になりますが、語り部を続けていて分かったことは、実際に人に話をして聞いてもらうことで、心の奥にしまい込んでいた思いを吐き出すことができ、知らずと自分が癒やされているということ。また中学生や高校生など震災を知らない学生が身を乗り出して私の話を聴いてくれているのを見ると、本当にうれしく思います。

・・去年の夏には、東日本大震災で被災した福島県にも行かれたそうですね
 福島県の小学生に、阪神・淡路大震災の体験談をお話しさせてもらいました。災害が起きて食べるものがない時、こうやって火をおこして、ご飯を炊くのよ、といったような話を中心に、全てなくしたところからの生きる知恵を子どもたちに伝えたかったんです。体育館でのキャンプもみんな本当に楽しんでいました。でも今、福島の子どもたちは外でのびのびと遊ぶことができません。はしゃぎたい年齢に、何かをぐっと我慢しているんではないかと正直心配になりました。同時に、こんなに空気も自然もきれいな場所が汚染され、この先ずっと子どもたちはその恐怖と戦わなくてはいけないことを、とても悔しくも思います。どうかこの子どもたちが元気なままで大人になってほしい。福島を訪れて、心からそう願います。

経験と教訓を伝える展示・・どんなことを今後も伝えていきたいと思いますか? 
 18年前の震災は私たちから大切なものを奪いましたが、たくさんのことも教えてくれました。全国から来てくださったボランティアの皆さんの思いやりには毎日励まされ、家族や友人、近所の方とのつながりが何度も私を救ってくれました。多くの方が亡くなった震災は、本当に辛く、悲しい経験で、被災した人たちが心に受けた痛みがなくなることは決してありません。でもだからこそ命は大切で、その重みは何ものにもかえがたいということ皆さんに知ってほしい。生きていることの素晴らしさ、ささいでもつながりを持つことがどれほど大切で、どれほど大きな力になるかを身をもって教えられたことを、今では「宝物をいただいた」とさえ感じます。今後も私は、それを伝え続けていきたいと思っています。


活動の原動力となる手紙の数々 「これらは、この18年間にいろんな方からいただいたものなんです」。そう言って秦さんが取材の最初に見せてくれたのは、ファイルに大切に収められた手紙の数々。その多くは、震災の時に全国から集まってくれたボランティアの皆さんからのものでした。「人の心がこんなにも温かいなんて、震災がなければきっと本当の意味で知ることはなかったかもしれません」。手紙につづられた励ましの言葉を目で追いながら、秦さんは18年間を振り返ります。その一方で、そう思えるようになるまでの日々の苦悩は言葉にしがたく、震災から15年間は、1月17日だけは自宅から出られなかったとのこと。お線香の匂いを感じるだけで当時の悲惨な光景が一瞬にしてよみがえる恐怖は今も変わらず、息子さんは、いまだに震災の話をすることを嫌がるそうです。

 街の復興は目に見えて進んできた18年。しかし、人の心は震災をそう簡単には忘れさせてくれません。「もしかしたらこれから20年後30年後もずっとつらい記憶を抱える日々が続くんでしょうか」。そんな不安を私が口にすると、秦さんは笑顔でこう言いました。「忘れられなくて当たり前。でもせっかく命があるんだから、自分を“生かして”あげられる自分でいたいですね。大切な命に心から感謝して。」それはまさしく、語り部として秦さんが伝えていきたい大きな思いの結晶と言える言葉でした。18年目の1月17日、秦さんはこの日も、命の尊さを次世代を担う若者たちに伝えます。(吉田)


                                         
               阪神・淡路大震災で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。
                      2013年1月17日 兵庫県広報専門員 吉田泰子


人と防災未来センター(HAT神戸)◇阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター◇

【住所】兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2
【電話】 078-262-5050  FAX:078-262-5055
【休館日】 月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
【HP】 http://www.dri.ne.jp/(外部サイトへリンク)


~人と防災未来センターでは、年間を通じて様々な企画展、イベントを開催しています~

☆資料室企画展「市民が撮った東日本大震災-3.11キヲクのキロク写真展-」☆  
 NPO法人20世紀アーカイブ仙台の協力を得て、同団体が出版した写真集『3.11 キヲクのキロク』から、宮城県を中心に市民の方々から寄せられた写真を展示します。また資料室では、東北の被災地へ向かったかつての被災地・兵庫の市民から提供された写真とインタビューの展示を同時開催します。

【開催期間】 平成25年3月3日(日曜日)まで
【会場】 西館2階防災未来ギャラリー(有料ゾーン)、西館5階資料室(無料ゾーン)

☆「防災力強化県民運動ポスターコンクール」入賞作品を展示中☆
兵庫県が実施する『防災力強化県民運動』啓発のためのポスターコンクール入賞作品を、館内にて展示しています。ぜひ皆さんお越しください。

【開催期間】 平成25年3月17日(日曜日)まで
【会場】 西館1階ロビー(無料ゾーン)

【各イベント詳細】 HPをご覧下さい http://www.dri.ne.jp/(外部サイトへリンク)
【お問い合わせ】 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
           〒651-0073 神戸市中央区脇浜海岸通1-5-2
            TEL078-262-5050/FAX078-262-5055 

お問い合わせ

部署名:企画県民部知事室広報課

電話:078-362-3016

FAX:078-362-3903

Eメール:kaigaikouhou@pref.hyogo.lg.jp