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更新日:2024年9月24日

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令和6年9月センター長だより(神戸県民センター長 内藤 良介)

 

神戸のシンボル「六甲山」 どの視点から見るか

皆さんこんにちは。

長らく県外で過ごしていた友人や息子が帰神して、ポツリと呟くのが六甲山(系)について。高速道路上の車窓から左右に六甲山と海が視界に入った時、街中を歩いて当たり前のように「山側」「海側」と口をついて出た時、「神戸に戻ってきたなぁ」と感じるそうです。六甲山(系)は神戸っ子にとって地元のシンボルなんですね。たしかに、山と海を間近に感じながら日常生活を送るなんて神戸でしか味わえません。

この山はあまりに多面的な魅力を持っていて、人によって捉え方、魅力の感じ方が多岐にわたります。何より多くの人々が憩うレクリエーション地として親しまれています。四季折々に豊かな自然の移ろいを見せながら、六甲ガーデンテラスや高山植物園、アスレチックパーク、六甲山牧場などの魅力的な観光施設で楽しむことができます。山登りやトレッキングを楽しむ方も多いでしょう。近年は、街中の喧騒から離れて豊かな自然の中で仕事ができるコワーキングスペースも充実してきています。ちなみに昭和世代である私の学生時代においては、必死にバイトをしてローンで買った車で夜景を観に行くデートスポットでしたが、今はこういう需要は少ないのかな。。。

いずれにしても、この山の魅力は多種多彩です。神戸市民のソウルマウンテンなのですから、人によって受けとめもさまざまなのは当然です。

そんな中で、今回のセンター長だよりでは少し視点を変えて、敢えて「山地災害から市民を守る治山」、「自然環境」、「アート」といった視点から捉えた六甲山をご紹介したいと思います。

山地防災 × 六甲山 〔六甲の治山遺構を知る〕

六甲山は、昭和13年、36年、42年の豪雨等により、過去幾度も大規模な土砂災害を繰り返してきました。

江戸時代の過剰な伐採により「はげ山」となっていた六甲山は、明治中期以降植林を始めます。植林にも工夫が施されました。雨で苗が流されないように、斜面に段々の水平階段を設けて鉢床を作り、芝を張りながら苗木を植栽する「積苗工」です。それでも、地形が急峻であったこと、風化しやすい花崗岩が真砂土となって山を覆っていたことから、大雨の度に流され、災害を防ぐ緑の山づくりは困難を極めたようです。そのため、山腹工事や治山ダム・砂防えん堤(あわせて約2,200基)の整備が進められ、最近の台風、豪雨災害では被害を最小限に食い止めています。はげ山から現在の緑あふれる六甲山への100年以上にわたる変遷は、災害から市民を守る努力の軌跡でもあります。

明治時代から現在へ(再度山の移り変わり)

このような山地災害と復興の歴史を知っていただくため、県民センターの六甲治山事務所では秋に治山遺構の見学ツアーを実施しています。

一つは、六甲山の植林発祥の地である「再度公園周辺の治山遺構見学会」。明治35年に始まった植林のための石積み遺構や石積み治山ダムを解説付きでご案内します。

見学会の説明風景   植林のために施工された石積工

もう一つは、新たに始まる「摩耶山の治山遺構案内ツアー」です。昭和13年の阪神大水害は、死者・行方不明者695名、全壊住宅2,658戸という甚大な被害をもたらしました。この度、当時の治山工事の大規模な復旧跡地が発見されたため、今秋から治山遺構ツーリズムを展開します。旧摩耶観光ホテルや掬星台、来年に開業100年を迎える摩耶ケーブルなど、周辺の魅力的な観光スポットとあわせて、摩耶の歴史、山地防災の歴史を感じる機会としてください。

旧摩耶観光ホテル   昭和13年阪神大水害復旧治山工事とカツラ林
もう一つ、今年の6月に極楽茶屋付近の山上道路沿いに、新たに深さ24mの集水井が完成しました。付近の地中には水が溜まりやすく地盤が軟弱ですので、崩落防止の為に、地中の水を集めて裏六甲側に水を逃がしているのです。この巨大集水井も数十年後には必ずや治山遺構として注目を浴びることになるでしょう。

集水井の外観   集水井の内部

自然保護 × 六甲山 〔シンプルに自然環境を感じるビジターセンター〕

六甲山ビジターセンター周辺マップ皆さん、県立の六甲山ビジターセンターをご存じですか?まず場所ですが六甲山町の「記念碑台前」交差点(交差点から伸びる道路は、裏六甲ドライブウェイ、高山植物園・ガーデンテラス、ケーブル山上駅、丁字ヶ辻三叉路へと続いています。)の一角にあります。

この地は元々、私財を投じて植林や砂防工事に尽力した英国人貿易商アーサー・ヘスケス・グルーム氏の功績をたたえる記念碑「六甲開祖之碑」が明治45年に建てられた由緒ある場所です。昭和初期には避暑に訪れる人々のために「県立無料休憩所」が開設され、昭和50年には自然保護・環境学習の拠点「六甲山自然保護センター」として整備されました。そして平成30年には、展望デッキの拡張や芝生の張り替え、トイレの洋式化などのリニューアルが行われ、「六甲山ビジターセンター」として生まれ変わりました。

六甲山ビジターセンター 六甲山ビジターセンター・ガイドハウス(外部サイトへリンク)

登山者、ハイカー、サイクリストにとっては、途中の休憩場所・交流の場になっていますし、ビジターセンターを起点とするパーティーやグループもいらっしゃいます。センターには頼れる山の案内人(ボランティア)が多数いらっしゃいますので、休日には山の案内人のガイドによる自然探索ツアーも開催しています。

もちろん、一般の観光客に気軽に自然環境の大切さを知っていただく施設でもあります。お立ち寄りいただければ、展望デッキから”六甲山屈指の眺望”を楽しむことができます。

10月には初心者・親子大歓迎の野鳥観察会やキノコ展、キッチンカーが出店するイベントが予定されています。ビジターセンターに行けば、何かしら六甲の自然、環境の大切さを感じることができますよ。これから深まる秋に向けて、みなさん、お楽しみに。

山の案内人のガイドによる「自然探索ツアー」の様子 

 ★ 自然探索ツアー(外部サイトへリンク)

 ★ 六甲山のキノコ展

 ★ 六甲山野鳥観察会(外部サイトへリンク)

アート × 六甲山 〔神戸六甲ミーツ・アート 2024 beyond〕

神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondロゴマーク8月24日に始まった神戸六甲ミーツ・アートも今秋で15回目を迎えました。神戸・六甲山上で毎年開催される現代アートの芸術祭です。いわゆる「ハコ」としての美術館ではなく、六甲山上各地の自然を舞台として展開されています。

いまや全国各地で、島や山、森を舞台とした芸術祭が催されていますが、大都市近郊である、眼下に広がる海を近くに感じる山が舞台である、民間中心で運営されている、このようなアートフェスは全国で六甲山だけではないでしょうか。

今回は9つの会場にアーティスト61組の作品が点在しています。とても1日では回り切れませんので、リピートする事をお薦めします。時間の経過とともに変わっていく、風化していく姿を楽しむ作品もあります。神戸県民センターの賞として選定させていただいた作品「SYMBIOSIS:生命体の相互依存・共生戦略」もその一つです。作品出来立ての頃に見せていただきましたので、季節の移ろいとともに、もう一度観にいきたいと思っています。

 SYMBIOSIS:生命体の相互依存・共生戦略
「SYMBIOSIS:生命体の相互依存・共生戦略」/ nl/rokko project

そして私がもうひとつ楽しみにしているのは、ナイト観賞「ひかりの森~夜の芸術散歩~」(9月21日~11月24日の土日祝)です。晩秋に見ごろを迎える紅葉とあわせて、昼間とは異なる幻想的な雰囲気が楽しめるのではないかと思います。

ちなみに、先述の六甲山ビジターセンターも会場の一つになっていて2作品が展示されています。1つは「六甲の年輪を泳ぐ虎」。ステンレスミラーの素材は、空の青や木々の緑が綺麗に反射して、描かれた年輪や虎の中に鮮やかに映し出されていました。もう一つの作品は「STORKS」。コウノトリの英名です。風でしなる姿は、自身も風に揺られながらいつまでも観ていたいと思わせてくれる作品でした。

 六甲の年輪を泳ぐ虎      
「六甲の年輪を泳ぐ虎」/倉富士 達広

STORKS 
「STORKS」/URBAN KNIT(兼平 翔太)

神戸・六甲ミーツ・アート周遊マップ(PDF:6,461KB)

現在、神戸市は、山上へのアクセスや山上での移動などについての検討を重ねられ、取り組み方針を示されています。たとえば、神戸布引ハーブ園の山頂駅と摩耶山の掬星台をロープウエーで結んで、市街地からのアクセスを良くしようという構想です。回遊性が向上すれば、市街地近郊にそびえる六甲山系はさらに身近になるでしょう。

どんな視点でも良いので、自分だけの六甲推しを見つけて、この秋に一度六甲山を訪れてみてください。
 

兵庫県神戸県民センター長

内藤 良介

 

≪以下に「過去の神戸県民センター長だより」のリンク先を掲載しています。≫

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