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更新日:2010年10月22日

淡河川・山田川疏水~いなみ野台地を潤す水の旅~

 「淡河川・山田川疏水」が築かれた地域は周りを海や河川に囲まれた「いなみ野台地」です。

 万葉集に「いなみ(伊奈美、印南、稲日、稲見、不欲見)野」と詠まれ、古くから人々が生活していた地であり、水に恵まれない自然的条件のもと、先人たちは山林や原野を切り開き、ため池などで灌漑用水を確保して農村社会を営んできました。

 疏水事業の構想は、江戸時代中期1700年代後半に発意され、検討されてきたと伝えられています。「開国」、「廃藩置県」、「地租改正」と日本が近代化に向けて大きく変化するうねりは、この地域の人々の生活を大きく揺さぶることになりました。「淡河川・山田川疏水」はその波を乗り切るために、先人が知恵や工夫をこらし、そして苦労に耐えて成し遂げた一大成果であり、この地域の近代化に貢献しました。1888(明治21)年、淡河川疏水事業が着工しました。(1891(明治24)年完成)。そして1911(明治44)年に着工した山田川疏水事業の完成をみたのは1919(大正8)年です。「淡河川・山田川疏水」は、構想から完成まで約150年をかけて実現した偉業です。

 その後も、多くの関係者がこの壮大な施設群の維持・管理に心をくだき、先人が築きあげた財産を守り、活かし続けてきました。この偉業はさらにスケールの大きな「東播用水事業」に受け継がれ構想から約240年を経た今もこの地の農地を潤し続けています。

 そして今、「淡河川・山田川疏水」の水利ネットワークや施設群がつくりだした風景は、2003(平成15)年には「残すべき文化的景観」(文化庁)に、2006(平成18)年には「疏水百選」(農林水産省)に選定されるなど新たな視点での評価が高まってきています。また、2006(平成18)年には「兵庫県の近代遺産」(兵庫県教育委員会)として施設群への価値にも光が当たり始めてきました。

御坂サイフォン

御坂サイフォン(三木市志染町御坂)

御坂サイフォン

 志染川の谷に淡山疏水の水を渡すため、1891(明治24)年に設置されました。

 田辺義三郎(内務省)は、粕屋素直(兵庫県)とともに調査・検討を行い、山田川から淡河川へ水源の変更を提案しました。そして英国人技師H.S.パーマーの助言を得て、英国製の軟鉄管を用いることになりました。

 1953年に設置された二代目の鉄管は日本製です。この時、鉄筋コンクリート製の新しいめがね橋(下流側)が造られました。

 1992年に設置された三代目も日本製で、地上部はダクタイル鋳鉄管です。橋や地下の部分では二代目の鉄管の中に強化プラスチック管が設置されています。

17号池

17号池(明石市魚住町長坂寺)

17号池

 山田川疏水事業により、大正時代初期に造成されたものです。この事業で新設された岩岡支線には、疏水の水を貯えるために多くのため池が新たに造られ、それらには上流から順に番号がつけられました。

 山田川疏水事業では、サイフォン(噴水)工を多用し、水路やため池は今日の土木工事にも通用する詳細な設計図が描かれそれに基づき施工されました。ため池の工事には、地元で「出働団」を組織し、地域が一丸となって行いました。また、本事業は、政府からの補助もなく、費用のほとんどが地元負担で銀行から多額の借り入れをして実施されたものです。

 地域農業の発展に寄与してきた17号池は、淡山疏水の最末端にあり、洪水調節の重要な役割も担っています。

淡河川頭首工

淡河川頭首工(神戸市北区淡河町木津)

淡河川頭首工

 淡河川の水を取り入れるために1891(明治24)年に造られた施設です。

 ここを起点とする水路の勾配は、5,000分の1(50mで1cm低くなる)と極めてゆるやかに設計されています。取水地点や水路敷の選定には、近代測量(三角測量)やそれに基づいて作成された地図が大きく貢献しました。

 淡山疏水の取水期間はそれまで淡河川の水を使っていた地域との水利調整により、9月20日から翌年の5月20日までのかんがい期以外に設定されていました。

 石積みで造られた最初の頭首工は、1955年にコンクリート製に改修され、1993年には取水樋門・土砂吐が改修されています。

練部屋分水所

練部屋分水所(神戸市西区神出町紫合)

練部屋分水所

 淡山疏水の水を5方向に分水する施設として1891(明治24)年に造られました。分水工は、水が一旦その下部に潜り中央部から吹き上がる複雑な構造をもつ施設で、煉瓦を矩形に積み上げて造られました。

 淡山疏水の水利費は「要水反別」という全国的に珍しい水量割の負担方式が採られたため、正確な分水が求められました。

 分水工は、完成翌年の水害により被災し、六角形に修復されました。

 現在の施設は、1959年に、より正確な分水が可能なコンクリート製の円筒形に改修されたものです。

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