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更新日:2011年5月20日

但馬県民局/局長メッセージ(平成21年3月)

 これまでに掲載した局長メッセージを紹介しています。どうぞご覧下さい。

平成21年3月のメッセージ

■ある人の紹介で養父市在住、藤川政美さんの画集「藁細工の詩」に触れる機会がありました。藤川さんは、関宮の自然の中で奥様と農業を続けながら心に残る絵や版画を残しておられます。

 今では見かけることが少なくなった藁で作られた、わらじ、なべつかみ等、日常道具の数々・・・丹波の農村地帯で生まれ育った私にとってもその一部は記憶に残っていて、昭和35年頃の写真を見ると、3歳の弟は祖母が編んだ「藁草履」をはいています。

 単なる郷愁ではなく、確かにあの頃は、モノは豊かではなかったけれど、今では失われてしまった何かがあったように思います。藤川さんの画集は、それらを思いださせてくれ、ひととき心を温めてくれます。

 

■昨今の社会経済情勢から、多くの人が農業に注目し、但馬で就農しようという動きが加速される気配があり、後継者不足に悩む但馬地域にとって一つの僥倖です。

 高校時代に漢文で習った陶淵明「帰去来辞」の一節を思い出します。

 「帰りなんいざ、田園まさに蕪(あ)れなんとするに、何ぞ帰らざる・・・」

 ◇さあ故郷へ帰ろう。県令として忙しく飛び回っているうちに田園の旧居は荒れ果てようとしている。自分は人生の選択を誤っていた。しかしその誤った航路の終点まで行かなかったことは、まだ幸いだった。早く真実の道に戻ろう。 

 千六百年前に生きた陶淵明は、その後の人生の筋道を決め、精神と肉体の自由を求めて官職を辞し故郷に帰っていったということです。帰農の意思を強く持ち、「晴耕雨読」の生き様を気高く詠う詩には清々しさを覚えます。

 しかし翻って「それなら君も定年後はそんな生活に入れる?」の問いには口ごもってしまうという自己撞着に行き当たることも一方で事実です。

 

■再び、藤川さんの画集。そこで見出した福沢諭吉「学問のすすめ」の中の言葉。

 「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」は広く人に知られていますが、それに続く言葉をこれまで知らなかったのです。

 「・・・されども今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、愚かなる人あり・・・その有様、雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。その次第甚だ明らかなり。実語教(注)に『人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり』とあり。されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり・・・」

 然り至言なり、さすが諭吉先生!と今更ながらに先人の教訓に唸りました。

 

■大都会の目くるめく生活はなくとも、この大但馬の懐に抱かれて、どっしりと根を張って生きている人々や自己啓発のための「学びの場」を目にするにつけ「但馬の底力」を垣間見る気がします。

 失われたもの、失ってはならぬものを気づかせてくれるのが「但馬」なのだと、一年近く経って徐々に感じ始めています。

 

但馬県民局長 谷口進一

 


(注)実語教:平安時代から明治初期にかけて普及していた庶民のための初等教育書であり、「寺子屋」では修身や習字のテキストとなっていた。

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