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更新日:2010年10月1日

但馬県民局/局長メッセージ(平成22年9月)

『マイナスをプラスに』

北近畿豊岡自動車道早期実現促進大会

 但馬3市2町の首長や職員、議員の皆さんから、時には住民の方から直接、県や国への要望をお聞きする機会があります。
 その際、必ずといっていいほど取りあげられる項目があります。
 道路を中心とする交通基盤の整備、医師確保など医療水準の維持、そしてシカ、イノシシ等の野生動物による農作物被害防止対策の三点です。
●いずれも、深刻な課題です。現地に足を運び、関係者の話を聞けば聞くほど、生き死ににもかかわる切実な問題だということがわかります。
 ところが、これらの要望内容は、ともすれば「マイナスをゼロに」といった消極的なニュアンスで受けとめられがちです。
「これまでわれわれは我慢してきた。人口や産業が集積する都市部から公共投資をすすめ、ようやく中山間地域に光があたる時代が来たと思っていたら、突然、経済や財政の状況が変わったといわれる。これはまるで詐欺ではないか。」
 高速道路網の整備をめぐって、ある自治体の首長がそのような趣旨の発言をされていたのを覚えています。
 気持ちはわかりますが、残念ながらこの言い方、発想では、他地域の住民の共感を得ることはできないと思います。少なくとも、都市住民の感覚や「中央」の行政担当者の論理を動かすことは難しいでしょう。
 人口が減少し、過疎化と高齢化が同時進行する条件不利地域、いいかえれば開発が「遅れた」地域の悲哀と憤懣は伝わるかもしれません。
 しかし、日本全体が沈没しかねない今、また政治の役割が「成長の果実」の配分から「痛み」の配分に移った、などといわれる時代にあって、都市部並みのフルセットの社会資本整備を求めることには説得力がありません。
 それではどうすればいいのか。
 道路整備や医師確保、農業生産の安定は、但馬の将来を決定づける重要な課題です。解決を先送りすると、地域の存亡すら危うくなりかねません。このことをどう訴えていけばいいのか。

ドクターヘリ就航式(平成22年4月)

●私は、「マイナスをプラスに」する発想と論理の転換が必要なのではないかと考えています。
 よそにあってここに「ない」ものの補填を要求するのではなくて、今ここに「ない」ということそれ自体を活かした新しい地域像や価値観を提案していくこと。
 開発が「遅れた」地域だからこそ、都市部中心のかつての成長がもたらした光と陰を充分に踏まえながら、一から、そして内発的な論理をもってやり直し、新しい生活のスタイルや地域社会・経済のあり方を逆提案していくことができるのではないかということです。
 周回遅れのフロントランナーをめざす。あえてそういってもいいでしょう。
 たとえば、いま世界的な拡がりを見せているエコ・ツーリズムでは、開発から取り残され手つかずの自然が残っている地域、不便を余儀なくされる地域が脚光を浴びています。
 また、石見銀山の関係者は、「開発の手が入らなかったからこそ、世界遺産に認められた」と発言しています。
 このような例をあげたからといって、不便な生活を堪え忍ぶべきだと主張したいのではありません。
 「遅れた」地域、不便な地域、過疎地域であることを逆手にとって、そのような地域だからこその利点をいかした未来社会のビジョンをいかに示していくかが肝要なのではないかといいたいのです。

獣害レンジャーの取り組み

●道路を例にとりましょう。但馬の人たちが訴えているのは、なにも一から新たな道路をつくってほしいということではありません。
 基幹道路(北近畿豊岡自動車など)は、ネットワークを結ぶことで地域間連携・物流機能をより強く発揮することができます。生活道路は、拡幅や歩道整備などの改良を加えることで、安全、救急、観光・交流といった多面的な機能を高めていくことができます。
 いずれも、ハードとしての基盤整備それ自体ではなくて、道路がもつソフトとしての機能の質的向上を求めているのです。
 問題は、そこから先です。
 道路の多面的機能を高めることを手段として、どのような暮らしや地域社会の実現をめざそうとしているのか。そしてそのためには、いかなる手法で社会資本整備を進めていけばよいのか。
 これらのことを具体的に提案していかないと、都市住民や「中央」の行政担当者の琴線にふれることは難しいと思います。
 同じことは、医師不足や野生動物被害の問題にもいえます。いずれも窮状を訴えるだけでは、また対症療法的な対応を求めるだけでは、中長期にわたる抜本的な解決につながりません。
 いかなる地域医療や救急医療のしくみをつくるのか、あるいは、これからの森林管理や農林水産業のあり方をどうしていくのか、そしてそれらの対策を講じることによって、どのような地域社会の将来像を提案していくのか。
 そうした「マイナスをプラスに」転じていく未来志向的な対応のなかでしか、課題は最終的に解決されないでしょう。

「コウノトリ育む農法」の普及

●そこまでいうなら、但馬の道路整備や医師確保や野生動物対策を促す「未来社会のビジョン」を具体的に示してみよ。そう問いつめられると言葉に窮します。「言うは易し」「物言えば唇寂し」です。
 ただ、まだ漠然としたものでしかありませんが、新しい「成長戦略」が必要なのではないかと私は考えはじめています。
 近代化、工業化、都市化とセットになった従来の成長ではない、中山間地域に特有の成長のための戦略。「成長」という語が誤解をよぶのであれば、地域の振興や再生、あるいは「希望」の戦略といってもいいと思います。
 そのような戦略、あるいはその前提となる地域のビジョンを明確にすることを通じてこそ、道路や医療、農業をめぐる喫緊の課題の解決の方向が見えてくるのではないか。
 さらに、「若者の定住」をいかにしてはかっていくか。私は、これこそ但馬地域の究極の課題なのではないかと考えているのですが、この課題に対する処方箋も見えてくるのではないか。
 いまだ思考途上、研究途上のテーマです。できれば、次回以降のメッセージで、その骨子のようなものを述べてみたいと思います。

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