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更新日:2011年5月6日

但馬県民局/局長メッセージ(平成23年2月)

 県民局長から地域の皆様へのメッセージを掲載しています。2月のテーマは、
 『若者が希望を持てる地域』

屋根の雪下ろしの様子(新温泉町)

 年明けから雪が降り止みません。
 私は豊岡市京町の公舎2階に住んでいます。階段が雪で埋まり、冬山登山の気分で昇り降りしています。
 除雪ボランティア隊を「スノーバスターズ」と名づけているところがあるそうです。雪下ろしや雪かきではなく、まさに「雪退治」と呼ぶのがふさわしいと日々実感しているところです。

●さて、先月のメッセージで「但馬2.0」について書きました。
 ヴァージョン2の但馬とは何か。それはヴァージョン1の但馬がどのようなものだったかを振り返ると見えてきます。一言でいえば、戦後、一貫して過疎化と高齢化が同時進行した地域だったと総括できるでしょう。
 小田切徳美著『農山村再生』は、但馬のような農山村地域がかかえる多面的な問題を四つの「空洞化」で説明しています。
 第一に「人の空洞化」。高度成長期からバブル経済期を経て、人口の都市への大量流出による過疎化が進みました。その結果、人口構成が高齢化し、現在では生まれる子どもの数より亡くなる高齢者の数が上回る自然減少の段階に移りつつあります。
 平成21年の統計を見ると、但馬では一日あたり3.8人生まれ6.4人亡くなっています。また11人が但馬外から転入し14人が転出しています。
 第二は「土地の空洞化」です。農山村部の人口減少が自然減少へと転化するのと軌を一にして、農林業の担い手不足がより深刻化していきます。農林業的な土地利用の空洞化が進み、耕作放棄、山林荒廃が広範囲に及んでいきます。
 空き屋の増加、里山の荒廃、野生鳥獣や風水害による被害の拡大など、但馬地域がかかえる課題も土地の空洞化によるところが大きいでしょう。
 第三が「むらの空洞化」。むらの暮らしは独りでは維持できません。生産や生活は協同作業と相互扶助によって成り立っています。人と土地の空洞化が一定の限界を超えると、そうした集落機能が失われます。いわゆる「限界集落」の発生です。
 戸数50以下で高齢化率40%超の小規模集落が県内では200を超えていますが、その半数近くが但馬の集落です。
 人、土地、むらの空洞化は、ほぼこの順に進行しました。しかしそれらは事態の表層にすぎません。その深層ではより本質的な空洞化が進んでいました。第四の「誇りの空洞化」です。
 地域の人々がそこに住み続ける意味や誇りを見失いつつあることを指しています。それは「うちの子には残ってほしくなかった」「ここで生まれた子どもがかわいそうだ」といった言葉に端的にあらわれています。
 県民意識調査のデータを見ると、但馬では「住んでいる地域に住み続けたい」と答えたのは68.5%ですが、「若者が希望を持てる地域だと思う」のはわずか3.7%しかありません。
 全県ではそれぞれ65.5%と5.0%ですから、但馬が特にひどいわけではありませんが、それにしても残念な結果です。
●「但馬2.0」への道筋は、四つの空洞化の逆をいけば開けてくるのではないかと思います。
 まず「誇り」の再生。「ないものねだり」より「あるもの探し」。民俗研究家の結城登美雄さんの言葉です。いまある地域の資源や可能性を再発見し、大切に磨きをかけ、次代へつないでいくこと。「誇り」づくりは「地域を知る」という地道な取り組みから始まるでしょう。
 次に「むら」の再生。大震災のあと、福祉分野の復興計画づくりを担当した経験があります。そのキャッチフレーズは「大きな“まち”の中に小さな“むら”をたくさんつくる」でした。「むら」はコミュニティのことです。「むら」づくりとは共に暮らす地域社会の「安心」の基盤をつくることです。
 そして「土地」の再生。第一次産業を基本にすえながら環境保全と経済活動を結びつけ、また地域の課題解決と就業機会の創出をソーシャル・ビジネスの手法でもって結びつける新しい「産業」をたくさん興していくことです。
 最後に「人」の再生。誇りと安心と産業の再創造を通じて但馬の人口を増やすことです。
 昨年の国勢調査の速報で、兵庫県の人口がいよいよ減少局面に入ったことが明らかになりました。社会全体としての人口減をくいとめることはできません。でも、部分的には人口増をめざすことはできます。
 但馬に縁がある人、ゆかりがある人、縁もゆかりもない人、特に若い人たちを都市から呼び込んでいく。そのような人口流動を起こす政策を講じることは可能です。将来に希望を持った若者がいっぱい暮らしていること。それこそが但馬の究極の「誇り」になるでしょう。
●今年の元日、大阪で働く26歳の甥と神戸で働く30歳の姪(どちらも独身)を相手に、それぞれを都市部のワーキングプアとシングルマザーに見立ててこんな話をしました。
 いま、都市部の若い人が数年但馬で暮らし働き学び、自分の人生を考え、生きるスキルを磨く場と機会をつくりたいと考えている。
 まず、年収200万円程度の「小さな仕事」をたくさん用意する。たとえば任期付きの集落支援員、農産物直販店の財務・マーケティング・宣伝スタッフ、有害鳥獣駆除の狩猟隊。農作業の見習いや手伝い、商店街活性化の応援など。
 住居は空き家を改修して低廉に提供する。希望があれば耕作放棄地で菜園をつくることもできる。但馬全域でフードバンクのシステムを作って食材も低廉に提供する。ゆくゆくは自然エネルギーを地産地消で提供する。子どもを集落の「保育ばあちゃん・じいちゃん」が預かってくれる仕組みをつくる。
 働きながら「生きる技術」を学べるようにする。田舎暮らしの実践的な技術を学び身につける「百姓塾」や、ビジネスの手法を使って地域社会に貢献しようとする若者を応援する「起業塾」など。単なる教養ではなくより良く生きるための精神的なテクニックとしての哲学を学ぶアカデミーもつくる。
 そうして週四日働いて二日学び、残りの一日を自由に過ごす。好きなことをやればいいし、何もしなくてもいい。アートがやりたければ(甥は仲間と太鼓をたたいて演奏会活動をしています)練習場所や公演の機会も斡旋する。
 暮らしや人生設計の相談に応じるメンターの仕組みをつくる。3年ほど暮らして技能と鋭気を養い、たとえば都市で起業するなどチャレンジしたければ資金や経営面を支援する。失敗したらまた帰って敗者復活戦を挑んでもいい。もちろんそのまま但馬に住み続けたければ官民あげて全面的に応援する。
 そんな仕組みができたら但馬に行ってみたいと思うか?
 甥の答えは「いますぐ行きたい」。姪は「子どもが生まれたら行ってみたい」。たかだか二人の例でしかありませんが、私はすっかり自信をつけてしまいました。本気でやれば必ず若者は「あしたのふるさと」に帰ってきます。

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