更新日:2023年3月28日

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局長メッセージ(令和4年2月)

   年末から年始にかけて、丹波の街中でも雪が積りました。雪景色の静寂のなか柏原の街を歩くと、普段見慣れている街並みも全く違って見え、別世界に舞い降りたような気持ちになりました。と同時に、気分一新、真っ新な気持ちで新年の第一歩を踏み出すことができました。

空飛ぶ車 パワースーツ ロボット

    市内ショッピングセンターから              パワースーツを着た                  家事をしながら子どもに

     自宅まで空飛ぶ車で帰宅              100歳超の男性が木材を搬出               勉強を教えるロボットが登場  

                       図 2050年の地域社会像のイメージ・イラスト       

 

 別世界といえば、今まさに我々が「丹波新地域ビジョン」で描こうとしている2050年の社会です。30年前の1990年代初頭に、今の2020年代の姿を正確に予測できなかったように、現在の知見でもって2050年のあるべき地域社会を描き出すのはなかなか困難です。その困難な作業を様々な意見やデータを集約しながら進め、年末には何とか新地域ビジョンの素案(1)をとりまとめることができました。現在、1月17日まで実施したパブリックコメントでいただいた意見も踏まえ、2月の新地域ビジョン検討委員会に諮る最終案の作成にあたっています。

 今回の新地域ビジョンの基調は、「伝統と革新」です。ビジョンの策定プロセスでは、多くの方が、先人から受け継いだ丹波の豊かな森や景観、文化、農の営みなどが将来にわたって、そのままあり続けることを願っておられました。また、これまで30年以上にわたって続けてきた「丹波の森づくり」を次世代に継承していくことの大切さを訴えるご意見も数多く寄せられました。

 つまり、丹波らしさを残していく、今と変わらない丹波の姿を未来に引き継ぐことが、多くの方の希望であります。しかしながら、地場産業や伝統文化の世界でよく語られているように、伝統というものは何もしないで維持できるものではありません。伝統を守るには、新たな挑戦を試みることも必要です。人口減・高齢化をはじめ地域社会を取り巻く環境がこれから大きく変容していくことを考えると、我々には地域社会の変革に積極的に取り組む姿勢が求められています。

 そこで、「丹波新地域ビジョン」(素案)は、『「挑戦・成長」をキーワードに、時代の変化に柔軟に対応し、新たな取組を生み出し続けていく(「変革志向」の)ビジョン』として策定されようとしています。新地域ビジョンでは、次のようにめざすべき将来に向けての基本理念を謳っています。

人と技術の力を活かした、自然の中での多彩な暮らしのカタチの創造・発信

-「人」を創り、「森」を(守り)活かし、新たな「価値」共創に挑む-

 

※ここでいう「森」とは、丹波の森づくりのなかで定義されている概念です。すなわち、『私たちを取り 巻くすべての環境』という意味で、森林、田園、集落、まちなどの空間全域のほか、人、生き物全ての営み(丹波の風土・文化、生業)、人々の結びつき、ネットワークなどを含むものです。有形無形の地域資源ということもできます。

 この基本理念には、自然との共生という丹波の森づくりの理念を継承する一方で、時代に即した新たな「暮らしのカタチ」(ライフスタイル)の創造をめざそうという、変革への意気込みが込められています。また、ここで「多彩な暮らし」と謳っているのは、自然や農とつながった暮らしを基本としつつも、一人ひとりが個性的なライフスタイルを謳歌できる地域社会であって欲しいとの願い(「多様な機会と選択肢に恵まれた、約束の地丹波」)の表われに他なりません。

 また、基本理念では「人と技術の力」を活かすことが謳われていますが、これは人材力の向上と技術革新を前提とするものです。

 人に関しては、今後人口減・高齢化のなかで地域社会の担い手の確保がより深刻な課題になるのですが、それを乗り越えるべく、3つの変化を期待しています。その1つが、関係人口の活用です。丹波に住む人々(定住人口)とともに、丹波に関わる域外の人々(関係人口)も、担い手として地域社会で活躍することが期待されています。

 2つめは、内なる人材の発掘・登用です。年齢、性別、障害の有無等に関わりなく、誰もが自らの経験や能力を活かして地域の担い手として活躍できる仕組みを築く必要があります。そして、この人材の多様性(ダイバーシティ)こそが、地域の問題解決能力、地域力の向上につながります。

 3つめは、創造的人材の蓄積です。将来、AI(人工知能)やロボット等が普及していくなかでは、今以上に、人の創造力・想像力が地域を変える源や地域の魅力の源泉として重要になります。地域社会は創造力豊かな人材を育むとともに、創造的人材が活躍しやすい環境づくり(価値創発の風土づくり)に取り組む必要があります。

 一方、「技術」の活用に関しては、来るべき超スマート社会(Society5.0)に実現する未来技術の社会実装を想定しています。AI(人工知能)、自動走行車、空飛ぶ車、人型ロボットなどの技術は、2030年代前半までに社会的に実用化されると予測されています(「第11回科学技術予測調査」(2019)⽂部科学省科学技術・学術政策研究所)。

 新地域ビジョンでは、こうした未来技術が人口減少や環境制約の克服、生産性の向上などに大きく貢献する可能性を指摘しています。そして、地域が自らに見合った技術を能動的に選択し、暮らしやすく、持続可能な地域社会の実現をめざす必要性を説いています。

 こうした未来技術の導入により、将来、地域社会では人手をかけずとも、里山・集落の保全や農作物の栽培などが可能になります。自然との共生(森林管理、獣害対策など)も、人の知恵とともに、技術の力を使って進めていくことになります。一方では、自動運転や遠隔医療、遠隔教育、商品の自動搬送等の普及により、まちの中心から離れていても、生活の利便性向上が実現します。

 基本理念では、以上述べてきた人材力の向上と技術革新のうえに、新たな暮らしの「価値」共創に挑むことを謳おうとしています。暮らしの価値とは、技術革新がもたらす生活の利便性、快適性といった価値だけではありません。「森」の資源を活かし磨き直すことで生まれる、世界の中で、丹波でしか体験できないオンリーワンの価値・魅力の創出もめざそうとしています。

 また一方では、世界に通じる普遍的価値の創造も視野に入れています。SDGsの達成や超スマート社会への対応など、世界が共有する課題の解決に向け、丹波スタイル、持続可能な自律分散型居住モデルの創造・発信にも挑もうとしています。

 新地域ビジョンでは、こうした価値を創る試みを「共創」と表現し、それを『目標を共有(「共感」)する人たちが、ともに学び、ともに成長し、ともに創る営み、プロセス』と規定しています。この共創の空間やネットワークを創ることこそが、地域革新の本質であると理解しています。

 新地域ビジョンのなかでは、具体的に共創のネットワークとなり得る仕組みも提起しています。各人の有する知識やスキルを共有し、相互利用するシェアリングエコノミー(共有経済)や電子市民が集う仮想(デジタル)自治会などがそれです。また、先月ご紹介した、今月立ち上がるシリ丹バレー構想推進協議会も、共創のネットワークの1つとなり得ます。

 そして新地域ビジョンでは、ビジョンをフォローアップする仕組み自体、共創のネットワーク(2)として再構築することを謳おうとしています。従来の地域ビジョン委員会に代わって、各分野で活躍する内外の組織や人材をゆるやかにつなぐ形で新地域ビジョンの推進組織(「プラットフォームTAMBA」(仮称))を結成することにしています。

 また、各プロジェクトの推進を図る産官学民ネットワーク(「プロジェクトチーム」)や、丹波に関わる若者が集い地域づくりに係る提案、実践、情報発信を行う「たんばユースチーム」なども、共創のネットワークとして生まれる予定です。

 多彩な共創の空間やネットワークがある。そして、それらが相互に結びつくことで、 丹波を「未来社会の暮らしの実験場」にすることが、新地域ビジョンのめざすところです。共創のネットワークは誰にでも門戸が開かれています。皆さんが、自らの関心や専門に応じていずれかの共創のネットワークに加わっていただくことを期待しています。丹波新地域ビジョンの実現は、共創に挑む人たちの数と情熱にかかっています。

(1) パブリックコメントに付した「丹波新地域ビジョン」の素案は次のページからダウンロードできます → https://web.pref.hyogo.lg.jp/tnk11/shinvisionpc.html

(2) ビジョンのフォローアップに関わる共創ネットワークについては、今後、県民局のホームページで参加者を募ります

                         ※ ※ ※

 兵庫県内全域が、令和4年1月27日(木)~2月20日(日)の間、まん延防止等重点措置区域に指定されています。感染収束に向けた対策の徹底にご理解、ご協力をお願いいたします。

お問い合わせ

部署名:丹波県民局 県民躍動室

電話:0795-72-0500

FAX:0795-72-3077

Eメール:tambakem@pref.hyogo.lg.jp