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兵庫県立考古博物館では、令和6年9月14日(土曜日)から11月24日(日曜日)の会期で、秋季特別展「うつりゆく甲(よろい)と冑(かぶと)-弥生から江戸へ-」を開催します。
弥生時代以降に激しくなった集団間の争いは、敵を攻めるための武器だけでなく、自身の身を守るための武具を生みだしました。これらの甲冑は、技術の進歩や戦法の変化に対応し、防御性や機動性、生産性を向上させ発展していきます。その一方で、いつの時代も甲冑には、機能的には不要とも思える装飾が施され、当時の人々が甲冑に実用品以上の意味を込めていたことが分かります。
本展覧会では、弥生時代から近世までの出土品や伝世品の代表的な甲冑を一堂に紹介し、その変遷をたどるとともに、戦いに臨んだ武人たちの甲冑に込められた思いを探ります。
【観覧時間】午前9時30分から午後5時(有料ゾーンへの入場は午後4時30分まで)
【休館日】月曜日(祝休日の場合は翌平日)
【観覧料】大人500円(400円)、大学生400円(300円)、高校生以下無料、括弧書きは20人以上の団体料金、障害者手帳またはミライロID提示で本人は75%減免、介助者1名は無料
70歳以上の方は大人料金の半額
【展示構成】
1甲冑の出現(弥生時代)
農耕社会の発達は、人々の暮らしを豊かにした反面、集団間の争いを生み出しました。武器の進化に連動して、それらの攻撃から身を守るための甲や冑などが作られるようになります。争いの激化を示す攻撃具とともに、出土した甲冑部材を展示し、出現初期の甲冑のあり方を探ります。
2鉄製甲冑の成立と進化(古墳時代)
鉄の加工技術の進歩に伴って、古墳時代には鉄製の甲冑が作られるようになります。当初、ごく限られた者のみが入手できた鉄製の甲冑は、中期以降の社会変化や技術の進歩に伴い、急速に普及していきました。ここでは、兵庫県内外出土の甲冑を中心に、古墳時代における甲冑の変遷を辿ります。
3武士の時代へ(古代~近世)
律令に基づく国家体制が確立した後も、蝦夷との戦争や貴族間の闘争などの戦乱は続き、甲冑は各時代の戦い方に合わせて変化していきます。また、このような社会情勢の中で誕生した戦いを生業とする武士は、次第に日本の支配階級を構成するようになりました。その中で甲冑は戦うためだけでなく、自身や一族の権威を象徴するものとしても使われるようになりました。ここでは、盛んに戦闘が行われた古代から近世までの甲冑の変化を示し,その背景にある戦闘方法の移り変わり、また、当時の人々が甲冑に込めた思いを探ります。
【主な展示品】
1茶すり山古墳甲冑(朝来市教育委員会蔵)【国指定重要文化財】古墳時代
茶すり山古墳は、朝来市に所在する直径90mの円墳です。墳頂部に埋められた巨大な木棺からは、多くの武器や武具が出土しました。甲冑は2組見つかっており、中でも「襟付短甲」と呼ばれる甲は、王権の中心地であった畿内以外ではほとんど出土していない貴重なものでした。出土した武器・武具類の豊富さから見ても、茶すり山古墳の被葬者は、軍事面でヤマト王権と深いつながりがあった人物であったことが想定されます。
2雲部車塚古墳・三角板鋲留異形衝角付冑(京都大学考古学研究室保管)古墳時代
雲部車塚(くもべくるまづか)古墳は丹波篠山市に所在する墳丘復原長158mの前方後円墳です。明治29年(1896年)に、地元住民により発掘されました。石室内からは各5個体以上の甲と冑が発見され、中でも三角板異形衝角付冑(さんかくいたいぎょうしょうかくつきかぶと)は、前方に嘴(くちばし)状の突起をもち、他に類例の無い特殊な形状で23年ぶりの里帰り展示となります。
3三鍬形前立浅葱糸威二方白筋兜(兵庫県立歴史博物館蔵)室町時代
縦長の鉄板を鋲留し、補強と装飾のために縁を折り返して筋を立てた兜を「筋兜」(すじかぶと)と呼びます。額の部分には、左右に広がる鍬形の中央に剣の形を立てた「三鍬形」(みつくわがた)が装着されています。三鍬形は南北朝時代以降に流行した形式です。鉢の内側には甲冑師である明珍信家の花押と「大永5年(1525年)乙酉五月吉日」の刻銘があり、室町時代末の作と考えられますが、吹返しやしころ(後頭部から首を守る板)は後の江戸時代に補ったものと考えられます。徳川家康が娘婿の奥平信昌に贈り、その子で姫路藩主となった松平忠明が愛蔵したものと伝えられています。
茶すり山古墳甲冑(朝来市教育委員会蔵)【国指定重要文化財】
雲部車塚古墳・三角板鋲留異形衝角付冑(京都大学考古学研究室保管)
三鍬形前立浅葱糸威二方白筋兜(兵庫県立歴史博物館蔵)
会場名 | 県立考古博物館 |
会場住所 | 兵庫県加古郡播磨町大中1-1-1 |
会場へのアクセス | (交通機関) 【電車】 JR土山駅南出口から「であいのみち」を徒歩約15分 山陽電車播磨町駅から喜瀬川に沿って徒歩約25分 【車】 第二神明・加古川バイパス明石西ICから約3km (駐車場) 近隣の播磨町大中遺跡公園駐車場(64台)か播磨町野添であい公園駐車場(50台)をご利用ください。 |
兵庫県立考古博物館
主催者名 | 兵庫県立考古博物館 |
住所 | 兵庫県加古郡播磨町大中1-1-1 |
電話 | 079-437-5589 |
FAX | 079-437-5599 |
関連リンク
講演会(参加費無料)事前予約が必要[時間]午後1時30分から3時、[場所]当館講堂、[定員]80名
9月21日(土曜日)「古墳時代の軍事活動」
講師:和田晴吾(当館名誉館長)
10月5日(土曜日)「作る。配る。使う。埋める。ー古墳時代の甲冑から見えるものー」
講師:川畑純(奈良文化財研究所主任研究員)
10月26日(土曜日)「中世の甲冑と戦闘」
講師:近藤好和(有職故実研究家)
11月16日(土曜日)「甲冑の変遷をたどるー秋季特別展のみどころー」
講師:渡瀨健太(当館学芸員)
関連イベント(体験無料:要観覧券)〔体験所要時間30分〕〈当日予約制〉〈先着10組まで〉
[時間]午前10時~12時(受付11時30分まで)、午後1時~4時まで(受付3時30分まで)
10月12日(土曜日)「甲冑を着てみよう!」(戦国時代編)協力:赤松手づくり鎧かぶとの会
特殊な紙で作られた実物そっくりの甲冑を着て、写真を撮ろう!
子どもから大人まで楽しんでいただけるサイズをご用意しています。
毎週日曜日・祝日「甲冑を着てみよう!」(古墳時代編・江戸時代編)協力:藤井寺市教育委員会・明石市立文化博物館
実物そっくりに作られた古墳時代、江戸時代の甲冑を着て、写真を撮ろう!
身長150cm以上の方に体験していただけます。
講演会・イベントの事前申込方法及び申込期間など、特別展の詳細については、別添のチラシを参照してください。
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