ここから本文です。

県民だより ぐぐっと!

兵庫県ゆかりの著名人のインタビュー全文を紹介します。

漫画家・タレント 星野 ルネさん

 

 

 

PROFILE

星野 ルネ(ほしの・るね)
昭和59年カメルーン生まれ。3歳の時に母の結婚に伴い来日し、姫路市で育つ。X(旧Twitter)に投稿したアフリカ系日本人としての実体験を描いた漫画が反響を呼び、平成30年に書籍化。多文化共生をテーマに講演活動も行う。

 

Q.どんな子ども時代でしたか。

来日した当初は言葉が分からず、保育園でなかなか周りに溶け込めませんでしたが、褒められたのをきっかけに絵を描くことが好きになり、テレビで見たヒーローを描いてコミュニケーションを取っていました。
小学生の時に愛読していた漫画を、見よう見まねで描いたりもしました。当時、自由帳にロールプレイングゲームの世界観を描いて遊ぶのが流行っていて、僕はワールドマップを描くのがうまかったので、いろんな子が「先生、お願いします!」と言って渡してくるノートにマップを描き、承認欲求を満たしていましたね(笑)

Q.姫路市での思い出は。

姫路動物園には子どもの頃によく行きました。学校の授業で訪れた時に「ここの動物は全部、アフリカから来てるんやろ」と言われましたが、子どもたちが持っているイメージとは違い、アフリカの親戚たちはきっと野生のライオンやゾウを見たことがないだろうなと思っていました。
また、ずっと姫路に住んでいたので、駅からお城が見えるのが普通で、他の街の駅に降り立った時にお城がどこにも見えないことや、上京してから自分がお城のない街に住んでいることに違和感を持っていました。

Q.上京した経緯を教えてください。

高校卒業後、工務店に就職しましたが、しばらく働いてから「何か別のことをしてみたい」と自分の人生を改めて見つめ直しました。
すぐにはやりたいことが見つからなかったので、朝から晩まで図書館で過ごす生活を半年ほど続けました。
その後バーで働き始め、自分の外見から周りに誤解された経験などを、分析や感想も交えてお客さんに話したところ、「面白い」「目からうろこや」と言ってもらい、「もっと大きな舞台で伝えた方がいい」と勧められて上京を決めました。

Q.自身の体験を漫画にしたきっかけは。

上京してからタレント活動を始めたものの、自分が伝えたいことを表現できずにいました。
そこで、日記を書く感覚で、X(旧Twitter)に1ページ漫画を投稿し始めました。僕の日常を描くことで、みんなが同じように暮らしているように見える日本社会で、一般的な日本人とは異なるルーツを持つ”日本人”がどんなふうに生きているのかを伝えたかったのです。

Q.どんな反響がありましたか。

幅広い層から大きな反響がありました。発見や驚き、共感の声をはじめ、ハーフの子を持つ親からは「子どもの視点が分かった」という感謝の声、日本人の子を持つ親からは「偏見なく人と接する子に育つよう読ませたい」などの声が寄せられました。さらに、行政機関から「多文化共生社会を進めていく上で参考になる」、移民の多い外国から「私たちの国にも共通の課題がある」といった声もありました。受け止め方はさまざまでしたが、多文化共生への関心が人々の中で非常に高まっているんだなと感じました。

Q.多文化共生社会に必要なことは何でしょうか。

他人の悲しみや生きづらさに敏感になる、要は思いやりを持つことではないでしょうか。
ただ、自分とは違う境遇の人の人生を想像することは難しく、いかに自分ごととして受け取れるかが重要です。例えば、僕はアフリカ系日本人というマイノリティー(少数派)ですが、右利きのためマジョリティー(多数派)でもあります。また、日本人であっても、クラスのみんなが盛り上がっている時に「居づらいな」と感じる人もいて、その人はクラスの中ではマイノリティーです。人は、日本人であれ誰であれ、マジョリティーである場合とマイノリティーである場合があるのです。自分がマイノリティーだった時の無力感や、理解してもらえなかったつらさを、今、この人は感じているんだと想像すれば、自分ごととして置き換えられ、助け合うことができると思います。

Q.今後の夢や目標は何ですか。

日本社会では「日本人」と「外国人」という二つの軸だけで人を分類してしまいがちですが、今、日本に住んでいる人はとても多様です。それを言葉では理解できても、感覚的には分からない人が多く、「日本人」というものの幅や、「外国人とはそもそも何なのか」ということが、何十年も前から更新されていないと感じています。
そこで、今の日本の姿や、それに対する適切な捉え方を楽しく知ってもらえるような、ドラマや映画、アニメーションといったコンテンツを作りたいと考えています。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

電話:078-362-3019

FAX:078-362-3903

Eメール:kouhouka1@pref.hyogo.lg.jp