兵庫県立大学高度産業科学技術研究所が有する中型放射光施設ニュースバルにおいて、産業用分析ビームラインが新設されました。
ニュースバルはこれまで半導体の微細加工など主に材料の表面加工分野の研究に用いてきましたが、物質・材料の分析・評価を求める産業界のニーズに対応し、県内外の企業に広く供用するための産業用分析ビームラインを設置し、平成20年10月から供用を開始しました。
同研究所が有する他の共同研究用ビームラインと異なり、利用申込企業がオペレーターの指導のもとでの産業利用や、分析代行を依頼することができます。
1 特徴
Li(リチウム)からSn(スズ)までの広範な元素について、X線を物質に照射し、X線の物質への吸収率を測定する手法(ザフス:XAFS)により、物質内部の分析を行うことができます。
2 仕様
○ビームライン仕様
産業用分析ビームラインは2本のブランチを持ち、高エネルギー側(1300~4000eV)はニ結晶分光器、低エネルギー側(50~1300eV)は3枚の平面型不等間隔刻線回析格子を備えた分光器で分光を行います。これにより軟X線全領域のエネルギー範囲を測定することができます。
○エンドステーション仕様
高エネルギー側では全電子収量法・蛍光収量法による吸収端近傍微細構造(XAFS)の測定ができ、He大気圧下での測定も可能です。低エネルギー側では、全電子収量法・蛍光収量法によるXAFS測定が行えるほか、光電子分光の測定が可能です。
3 期待される主な利用分野
Li電池・燃料電池、医療材料、生体適合材料、DLC薄膜、ナノカーボン、BCN基板、PDP誘電体、Lowk材料、軽合金金属、透明電極、環境物質、触媒ほか
*上記合同会社は、県立大学と産業用分析ビームラインの利用契約を締結し、社員2名を産業用分析ビームラインに派遣し、企業からの分析代行業務を行います。