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更新日:2022年10月25日

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摂津のふるさと野菜1(尼崎市、伊丹市)

武庫一寸そらまめ、富松一寸まめ

武庫一寸そらまめ、富松一寸まめ

【生産地】 尼崎市

 

【来歴】

天平8年8月聖武天皇の時代(729~749年)にインドの僧侶で菩提仙那(ぼだいせんな)が中国を経て来朝した際、行基上人が摂津の難波津に迎えた。この時に仙那が、「王墳豆」を携帯し、それを上人に与えて栽培をすすめ、上人が、これを摂津の武庫村(現尼崎市武庫)の岡治氏(おかじし)に試作させたのが一寸そらまめの起源とされている。戦前には、この地域は全国有数の産地となり、昭和30年頃には約30ha(統計年報による)が作付され、重要なタンパク質供給源となっていた。

昭和35年頃をピークに都市化の進展により農地が減少し、近年ではわずかに残された農地で自家消費用として細々と栽培されている状況にあった。

この豆は一般に於多福と呼ばれたが、『武庫一寸』の他に地名を冠して同種異名の『富松一寸』『尼一寸』などがある。

 

【特性】

大粒種に属し、茎葉は大きく、草丈は約1mと高い。花色は紫色や淡紫色である。莢は短大、子実は2~3粒、粒径3.03cm(一寸)一粒重は3~4gである。

 

【利用方法】

塩ゆで(未成熟)

煮豆(「福煮」乾燥させた保存用の豆を砂糖や醤油でじっくり煮込む)

 

【問い合わせ先等】

《問い合わせ先》 尼崎市農政課 TEL:06-6489-6542

 

【その他特記事項】

現在、歴史的にも貴重な財産である『富松一寸豆』をよみがえらせ、末永く次世代に伝えることにより郷土愛の高揚、農業への理解を通して地域に活性化を図るため、富松神社で『富松一寸豆祭』が行われている。平成9年には、地域の農家を中心に『富松豆保存研究会』が発足し、『富松一寸豆』の復活に取り組んでいる。

なお、現在出荷は行われていないが、富松一寸豆祭や市内農産物直売所等で販売されている。

尼いも

尼いも

【生産地】 尼崎市

 

【来歴】

「兵庫県著名農産物栽培録」によると、江戸時代の寛政年間に新田を開発して栽培が始まり、大州村、大物村、竹谷新田村など現代の阪神尼崎駅南側が産地であった。小石混じりの砂地であり、よく乾燥した畑で栽培されていた。当時は約170haに作付けされ、2843tの生産があったとされる。販路は県内のみならず、京都、大阪、近江まで渡った。

また、明治29年の輸入綿花関税撤廃により綿作が衰退し、これに代わって栽培されたのがこのいもである。明治から昭和の初めにかけて最盛期を迎え、明治38年には221haが栽培され、その後は工場の進出で減少するものの、昭和11年頃まで約130haで推移した。

 

【特性】

収穫時期が7~8月頃と普通のさつまいもより早く、甘みが強いのが特徴。直径2~3cm、長さ20cm程度の細長い物が特に価値が高い。

 

【問い合わせ先等】

《問い合わせ先》 尼崎市農政課 TEL:06-6489-6542

 

【その他特記事項】

工業化の波と1934年の室戸台風、1950年ジェーン台風で壊滅的な被害を受けたが、現在は、尼藷焼酎の原材料として出荷されるとともに、市内農産物直売所等で販売されている。

いもの姿について、大正8年に兵庫県内務省が出した「副業調査書」によると『赤』と『白』があるとされている。

大市茄子

大市茄子

【生産地】 西宮市

 

【来歴】

明治16年、武庫郡甲東村下大市(現西宮市)の高木種蔵、久保田清右衛門両氏によって、油障子利用による苗の早期簡易育苗法が開発されたのが、大市茄子の始まりである。

当時の育苗法はまだ幼稚なものであったが、育苗施設と改良を重ね、育苗管理技術も進歩し、この方法は次第に全村に広まり、やがて他村にも普及した。

大正15年頃には、下大市のみで150~200万本の苗が生産され、県内外へ広く販売し名声を高めた。

第二次世界大戦後、連作育苗による病害の発生で、一時生産が不振に陥ったが、床土の改良や育苗技術の改善で、昭和二25年頃には従前の生産に回復した。この頃の大市茄子の青果物の作付面積は17haであった。しかし30年代に入ると、電熱温床やビニールの普及で育苗方法が一般化し、加えて茄子の早どり用品種として一代雑種が次々と育成され、経営形態が従来の苗生産主体から青果用生産へと移行した。

なお、大市茄子は、高木種蔵氏が明治15年に大阪の千舟村堂島(現大阪市西淀川区)から導入した品種を改良したものと言われ、苗の普及とともに取引上の名称としてその名が定着した。

下大市の西国街道(国道171号線)沿いの一隅には、高木、久保田両氏の頌徳碑が建っている。

 

【特性】

樹勢が強く果形は電球型中長で品質良好。とくに耐湿性が強く豊産性で10aあたり8t以上の生産が可能。

 

【問い合わせ先等】

《問い合わせ先》 -

お問い合わせ

部署名:農林水産部 農産園芸課

電話:078-362-3494

FAX:078-362-4092

Eメール:nousanengeika@pref.hyogo.lg.jp