更新日:2021年8月6日

ここから本文です。

西播磨県民局長メッセージ

~西播磨で伝統文化体験をしてみませんか~

西播磨の伝統的な文化とは、と聞かれて思い浮かべるものは何ですか。龍野、赤穂、山崎、平福など風情豊かな城下町が残る西播磨には、茶道、華道、書道、武道などがよく似合うと思います。また、それらの活動を支える和菓子、焼き物、和紙、武具、装飾品などの存在も見逃せないと思います。今回は、私が訪問させて頂いたところを中心に、西播磨4市3町で素敵な伝統文化体験ができるところをご紹介したいと思います。人口減少、高齢化が進む状況をくい止めるには、まずは多くの方に西播磨に来ていただくことから始めていく必要があります。交流人口の増加を図るには、地域ならではの魅力を磨き上げ、都会や他地域の人々にその存在を知って頂く努力を積み重ねていかねばなりません。幸いインターネットという優れたツールがありますので、関係者の皆さんと一緒に西播磨の伝統文化の素晴らしさを発信してまいりましょう。

 

まずは、たつの市です。10月に文化庁文化審議会は、龍野旧市街が重要伝統的建造物群保存地区に指定することがふさわしいとの答申を出しました。江戸時代に形成された町割りを残すとともに、軒が低く大壁造の古式な町家や醸造等に関わる重厚な土蔵等がよく残っています。お城の建物や白壁などをバックに本物の甲冑や着物を着て写真が撮れるサービス(有料)もあります。また、3~12月の土日には、龍野城の西北にある「聚遠亭 楽庵(しゅうえんてい らくあん)」にて予約なしでお茶会に参加し、お抹茶を楽しむことができます。また、しょうゆをはじめ糀、みそといった発酵食品の製造所で昔ながらの製造現場を見学することもできます。最近では、マイしょうゆと言って、個人の好みに応じてしょうゆをブレンドすることも人気だそうです。

龍野旧市街の町並み

 

 

次に、お隣の相生市です。国の史跡に指定されている感状山城(かんじょうさんじょう)のふもとの羅漢の里には、桔梗隼光氏の日本刀の鍛刀場があります。年に数回公開鍛錬を実施されており、間近で火おこしや真っ赤に焼けた鋼をたたいて成形する作業を解説を聞きながら見学できます。西播磨には、後述のとおり佐用町で高見國一氏が鍛刀場を構えておられ、管内に2か所も鍛刀場があり、日本刀の原料にふさわしいと言われる宍粟・千種のたたら鉄が存在することは興味深いことです。

相生羅漢の里・桔梗隼光氏の日本刀鍛刀場

 

 

 

三つ目は、赤穂市です。「日本第一の塩のまち」として今年5月に日本遺産に認定されたのは記憶に新しいですが、県立赤穂海浜公園の海洋科学館で海水から赤穂の塩づくりを体験することができます。流下式塩田で採取した塩分を濃くしたかん水(海水)を煮詰めて塩を作ります。まろやかでうま味のある塩ができます。また、江戸時代末期に考案された敷物用の織物「赤穂緞通(あこうだんつう)」については、すべて手作りで独特の文様や色合いが人気のもとになっています。手作業で織るところの見学や機械体験ができます。このほか、坂越のまちには、「忠臣蔵」の銘柄で有名な400年も続く造り酒屋(奥藤商事)があります。敷地内には資料館があり、昔ながらの製法で使っていた道具などが解説してあり、試飲のできる直売所も併設しています。

赤穂・坂越造り酒屋(奥藤商事)見学風景

 

 

 

 

四つ目は、宍粟市です。今「発酵のふるさと」として売出し中です。播磨国風土記の記述にあるとおり、一宮町・庭田神社が日本酒発祥の地といわれ、山崎町には造り酒屋2軒(「播州一献」の山陽盃酒造、「老松」の老松酒造)がすぐ近くに在ります。酒蔵の見学や利き酒などが楽しめます。もちろんお土産に買って帰ることが可能です。また、西播磨で古くから行われてきた藍染が山崎町で「工房まさき」として復活し、藍染め・草木染め・手機織りが体験できるようになっています。

宍粟・一宮 庭田神社

 

 

 

五つ目は、太子町です。聖徳太子ゆかりのまちとして、春と夏の法要や法伝哉といった斑鳩寺の様々な伝統的な行事があります。それらに参加することも楽しい体験になると思います。また、地元の名物である太子みそづくりの体験教室を年1回町外の方を対象に、太子加工合同会社の方を講師に開催されています。このほか、太子町佐用岡の「釣月(ちょうげつ)」さんでは、ご自宅を本格的な茶事が行えるように改築され、外国人への対応も含めて茶事や創作和菓子づくりを体験できるコースを用意されています。

 

太子町佐用岡 釣月

 

 

六つ目は、上郡町です。赤松円心が築城した「落ちない城」白旗城(しらはたじょう)の存在が大きいところです。これから受験シーズンですが、南北朝時代に足利尊氏を追う新田義貞の6万の軍勢から2千の兵で50日余り防ぎ止めた難攻不落の城という歴史にあやかって、合格祈願に絵馬を掛けに来る方も増えてくるでしょう。また、白旗城のふもとの赤松地区では、厚紙を使った本物そっくりの甲冑を自治会の皆さんが力を合わせて作っておられて、実際に試着することもできます。11月23日の白旗城まつりでは、私も着させていただきましたが、身が引き締まる思いでした。外国人にも、きっと喜んでいただけると思います。

 

落ちない城・白旗城 合格祈願絵馬掛け所

 

 

 

七つ目は、佐用町です。日本刀づくりでは、地元出身・在住の刀工・高見國一氏が日本美術刀剣保存協会の殿堂入りにあたる「無鑑査」に認定されたとの報道が9月にあったところです。職人としての誇りとこだわりを持たれて、真摯に刀づくりに向き合ってこられた賜物だと推察します。ただ大変お忙しく観光目的の見学は難しいかも知れません。このほか上月城(こうづきじょう)のふもとには、紙すきなどの和紙づくりを実際に作業体験できる「皆田和紙紙すき文化伝承館」があります。夏休みのお盆前には行燈まつりとして、皆田和紙(かいたわし)で作った色とりどりの行燈が並べられ夏の夕暮れを飾ります。今年は、平成21年の災害から10年目の節目を迎え、災害からの復興と鎮魂を祈る多くの人の参加のもと行われました。

 

画像 佐用・上月 行燈祭

 

 

 

以上、西播磨の伝統文化は、多様で奥深いものがたくさんあります。スマホやパソコンでこれらの写真や映像を楽しむこともできますが、やはり現地に行って肌で伝統を感じていただくのはひと味違うのだと思います。ぜひ、一度実体験をしに西播磨にお越しください。

 

 

 

 

お問い合わせ

部署名:西播磨県民局 総務企画室

電話:0791-58-2113

FAX:0791-58-2328

Eメール:Nsharimasom@pref.hyogo.lg.jp