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播州織工業協同組合

世界のブランドも認める「播州織」。
独自の加工技術で、地場産業の進化はつづく。

播州織工業協同組合松田 博仁さん(まつだ ひろひと)
廣田 直紀さん(ひろた なおき)
藤本 久夫さん(ふじもと ひさお)
宇高 辰弥さん(うたか たつや)

兵庫県西脇市・多可町を中心とする播州地方の美しく豊かな風土に育まれ、200年以上もの歴史を持つ織物「播州織」。その産地で、織物整理加工場を営む「播州織工業協同組合」のみなさんに、播州織の魅力や加古川線とのつながりについてお話を伺いました。

播州織工業協同組合

「播州織」とは、どのような織物ですか?

松田さん:「播州織」の最大の特徴は、“先染(さきぞめ)織物”といって、先に糸を染め、染め上がった糸で機織りをする織物だということです。染められた糸と織りの技術で、チェックやストライプなどの柄の生地を織っていきますので、後染生地やプリント生地などとは違って自然な風合いや多彩な色合いを出すことができるんです。

藤本さん:播州織という名前自体は一般の方にはそれほど馴染みがないかもしれませんが、みなさんもよくご存知の国内外の有名ブランドさんのチェック柄なんかも、じつは播州織なんですよ。

播州織工業協同組合
播州織工業協同組合
播州織工業協同組合

そうなんですね!こちらでは織物整理加工場をされているそうですが、どのようなお仕事ですか?

松田さん:播州織の産地は、糸を染める「糸染め」。機を織る「織」。さらに、織り上がった生地に製品に見合う加工を行う「整理加工」。メーカーからの注文を受けて商売をしてくれる「産元」の、大きく4つの組合で成り立っています。私たちの会社は、「整理加工」の部分を担っています。織った生地を製品にする際に必要な物性のコントロールや風合い、機能性を付与して価値をつける、織物整理加工という作業ですね。

廣田さん:例えば、ワイシャツにする生地なら、洗濯しても型くずれしない形態安定加工とか、抗ウイルス加工や抗菌防臭加工とか。ほかにも、UV加工や起毛加工、吸水・撥水性の加工など、ここでしかできない加工もあります。

宇高さん:アパレルの業者さんやお客さんのニーズに合わせて、それにお応えする付加価値を施していくことで、播州織としての価値も高めていきたいと思っています。

播州織工業協同組合
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この地域で200年以上の歴史がある播州織ですが、この地域で100年続く加古川線とも、なにか関係するところはありますか?

藤本さん:歴史的な観点から見ると、播州織の生産が拡大していた昭和30年代に、全国から西脇市へ集団就職として多くの働き手を募集しており、その頃は就職でこちらに来た多くの方が加古川線を使用していたと聞いています。うちの会社は昭和44年に西脇市の豊川町から、比延駅すぐ隣の鹿野町へと移転したのですが、当時は多くの従業員が電車で通勤していたそうです。

宇高さん:播州織が全国に広まるきっかけのひとつに、加古川線は関係していると思います。織り上がった生地は反物にしてトラックで運びますが、昭和の終わりから平成の始まり頃は、見本として作った生地は色・柄や風合いを確かめるために“常便屋さん(配送などを請け負う人)”が加古川線を使って大阪や東京へと届けていたので。スピード感が大切なアパレル業界には欠かせない仕組みでしたね。

播州織工業協同組合
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このところ、少子高齢化による後継ぎ問題で廃業される業者さんも増えていると聞きました。播州織の未来について、みなさんはどうお考えですか?

宇高さん:たしかに昔と比べると播州織の生産量も激減し、産地の衰退は否めません。海外の製品に押されていることもありますが、地域の産業として播州織が残っているのは、やはりそこに技術があるからこそ。ものづくりの技術ではこれからも負けられないです!

松田さん:世の中では環境問題やSDGsへの取り組みが話題になっています。その点、播州織は綿100%の天然素材。そこに、私たちの技術でSDGs達成に向けた開発を行い、脱マイクロプラスチックを取り入れ環境に合った加工をしていく。そうやって播州織の強みや可能性を広げていきたいですね。

播州織工業協同組合

最後に、これを読んでいるみなさんにメッセージをどうぞ。

廣田さん:播州織のふるさとには、播州織はもちろん、いちご狩りなど季節ごとの魅力もたくさんあります。ぜひとも足を運んでもらって、この地域を楽しんでもらえると私たちもうれしいですね。播州織のことも、産地のことも、もっともっとみなさんに知っていただきたいですね。

工場に併設された直売ショップでは、産地ならではの生地や、加工技術とアイデアから生まれたアイテムを買うことができます。また、西脇市中心部では、播州織アンテナショップでさまざまな魅力や商品に出会えます。産地をあげて技術を守り、新たなチャレンジをつづけている播州織に、ぜひ会いに行ってみてください。

特別な生地は、ここでしかつくれま線。

播州織工業協同組合

所在地 〒677-0033
兵庫県西脇市鹿野町162
TEL 0795-22-1818(代表)
営業時間 9:00~16:00
URL http://ban-ori.com
◯直売ショップ 播織 ~バンオリ~
営業時間 10:00~15:00
(毎週水曜日・土曜日・日曜日)
播州織工業協同組合