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街歩きが楽しい季節になりました。
実は阪神南地域には知る人ぞ知る名ミュージアムがたくさんあるんです。秋の好天時の行き先候補として一挙ご紹介させていただきます。
始めは西宮市苦楽園にある「堀江オルゴール博物館」。最後のロシア皇帝ニコライ二世とアレクサンドラ皇后が所有したオルゴール2台が保存されています。
案内して頂いた学芸員の方に、そう説明を受けたとき、
「え、本当に?」
「本当に本物ですか?」
思わず2度問いかけてしまいました。確認後、自分のコレクションでもないのに(当たり前ですが・・)、なぜか人に自慢したくなっています。
歴史上最も巨大な宝石コレクションを所有した王朝として知られるロマノフ朝。その財の一端として貴重な歴史的価値を有する2台が実際に演奏可能ということにも驚きます。
今年7月には『ニコライ二世が愛したオルゴール特別演奏会』が開かれ2台が共演。革命の嵐の中で悲劇の最期を迎えた皇帝一家が、在りし日に愛でたであろう音色を響かせました。
学生時代、“愛読書”の『ゴルゴ13』に第四皇女アナスタシア生存説に基づくストーリーがあり、歴史の悲哀とロマンに引き込まれたことを思い出します。
ニコライ2世のオルゴール
(出展 堀江オルゴール博物館HPより引用)
同館では、この2台を含めて、19世紀から20世紀初頭にかけてのシリンダーオルゴールやディスク型オルゴール、自動演奏楽器など約360台を所有。展示されているオルゴールの重厚さ、精巧さ、巨大さには圧倒される思いです。
一体どのようにして、西宮の閑静な住宅街に国内屈指のオルゴールコレクションができたのか・・。
集めたのは大阪で塩化ビニールの会社・又永化工株式会社を創設した故・堀江光男氏。引退後70歳を超えてから世界を回って苦楽園の私邸に国内屈指のコレクションを収集しました。
後を継いだ方々が平成5年(1993)から一般公開を始めました。開館日には、毎日3回、学芸員による解説付きの公開演奏を行っています。
故・堀江氏の情熱と夢の跡からヨーロッパの王侯貴族の雰囲気を味わってみてください。(要事前予約)
芦屋を代表する高級住宅街の奥池。その一角、六甲山の木々に囲まれた斜面に溶け込むようにコンクリートの打ち放しを基調とした建物があります。
素人目にも明らかな安藤建築は、日本を代表するファッションデザイナー・コシノヒロコさんのアート活動を紹介する「KHギャラリー芦屋」です。
コシノさんが自宅として約30年居住した後、平成25年(2013)から自らのアート活動を紹介するギャラリーとして一般公開を始めました。
館内に入ると、曲面と平面のコンクリートが創出する静謐で無垢な空間にアート作品が浮かび上がるかのよう。
自然光が、ある場所では斜光線となり、ある場所では間接照明となって、コシノ作品を浮き立たせています。
時の流れに身を委ねいつまでもこの場所に身を置いていたいー。
コンクリートに囲まれているのに山間の小さな禅寺にいるかのような感覚にも襲われます。
安藤忠雄ワールドとコシノヒロコワールドが融合した異空間は、できれば少人数で、可能なら一人で訪れてみて欲しい場所。完全予約制なので訪問時は事前連絡をお願いします。
コシノヒロコの感性と情熱にふれるKHギャラリー芦屋
朝日放送の人気番組『探偵ナイトスクープ』にかつて存在したパラダイスシリーズ。
探偵役の桂小枝さんが全国各地の面白不思議スポットを紹介する企画を懐かしむ方も多いと思います。
『上質かつ大規模な西宮のパラダイス』。
失礼かもしれませんが、アガペ大鶴美術館を訪れた際の個人的な感想です。
甲山の北西の山中に建つ同館は、隣接する教会や病院を訪れる人々の心のオアシスになることを願い、アガペ・グループが平成26年(2014)にオープンしました。
象牙彫刻、中国美術品、青銅器、磁器・陶器、書・掛軸、火縄銃、カメラなどなど約500点を常設展示。多種多様さは来館者の想像を超えています。
驚き、感心し、何より楽しいー。次は何が現れるのか、どのような展示なのだろうかとワクワクしてしまう。そんな希有な博物館です。
ただ、展示物に共通するコンセプトはないように思えます。鑑賞後、うまく整理できないまま、多彩な展示品のイメージが頭の中をグルグル駆け巡ります。
少し例を挙げると・・
始皇帝陵の兵馬俑の等身大の複製
マンモスの牙
世界最大の象牙彫刻の姫路城
有名仏師による日光東照宮社殿模型
アンティークカメラの数々
ノアの箱舟の精巧な再現模型(150分の1)等々
百聞は一見にしかず。だまされたと思って是非訪ねてみてください。きっと大満足されるはず。『パラダイス』なのですから。
「日本最大級 大きな象牙彫刻宝船」などの象牙彫刻作品を多数展示
安藤建築の中で世界の貝類について学べる「西宮市貝類館」。地域の貝類の展示やカタツムリの巻き方が関東と関西で異なることなども学べます。
江戸時代は大阪城の西の守りとして築城された「尼崎城」。現代によみがえり、お城だけではなく、かつて白砂青松の浜を有した尼崎の歴史が学べます。
「ジョーのある町・尼崎」の新たなランドマーク尼崎城
数百年前のヨーロッパで菓子づくりに使われていた木製や銅製の押し型など約4,000点の資料で洋菓子文化を継承する「エーデルワイスミュージアム」。尼崎発祥の神戸を代表する洋菓子店の歴史に触れられる。
日本はもちろん、欧米やアジア、中東など古代から現代まで世界62ヵ国、25,000点を超える貯金箱を収蔵する「尼崎信用金庫世界の貯金箱博物館」。
その他、尼崎市・西宮市・芦屋市には、紹介しきれない博物館・美術館・資料館がたくさん。阪神間モダニズム建築も点在しています。
阪神南県民センター特設ページ「あにあん倶楽部」では、これらの施設情報や各種イベント情報も満載。きっと、あなたにぴったりのミュージアムも見つかるはずです。
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