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更新日:2024年4月5日
雲雀丘学園高校/減数分裂
取材記事
パートナーシップ制度導入に際し3名の議員にLGBTQについてお話を伺いました。
私達は、雲雀丘学園高等学校という宝塚市にある学校に通っている。宝塚市は兵庫県で最初に、パートナーシップ制度を導入しており、県全体ではどのようにパートナーシップ制度をとらえているか疑問を持った。そこで、昨年12月、県議会に突撃し、三名の議員さんたちに私たちの想いや疑問をぶつけてみた!
兵庫県議会6Fの広い一室で、私たちは議員さんを待っていた。同じ高校の別グループ2つは先に取材が始まり、その様子を見ていると、急にとんでもない緊張感が生まれてきた。
そして扉の奥から議員の方々が入ってきた。
今回取材させていただくのは、北浜みどり議員(自由民主党)、北上あきひと議員(ひょうご県民連合)、麻田寿美議員(公明党)だ。私たちは自己紹介をし、緊張のあまり、しどろもどろになりながら取材は始まった。私たちはまず、パートナーシップ制度について恐る恐る聞いてみた。
兵庫県でパートナーシップ制度が2024年4月から導入される。多様性を受け入れていく中でパートナーシップ制度を認めていくべきであると私たちは考えていたが、議員さんはどのように考えているのであろうか
麻田さん
「パートナーシップ制度は多様性として社会では認めていくものであるため賛成です。」
北上さん
「一人一人が幸せになるために、県民として認められるべき権利であるため賛成です。」
北浜さん
「検討すべきことがたくさんあります。例えば体は男性で心が女性の方が、女性用の温泉やトイレを使用していいのかなどですね。まずはしっかりルールを定めないといけないと思うので賛成と反対の間の保持です。」
一人一人の幸せを認めていく中で、多様性は欠かせない要素であり、パートナーシップ制度は尊重されるべき制度である。しかしルールをしっかり定めない限り、一人一人の幸せのためだけに多くの人が不快になることがある。パートナーシップ制度に関して慎重になるべきという新たな視点を得ることができた。
現在、各県で徐々にパートナーシップ制度が導入され、2024年3月現在、20もの県が都道府県単位でパートナーシップ制度を認めている。兵庫県も2024年4月に導入されることとなり、導入の時期は早いように思われるが議員のみなさんはどのように感じているのだろうか。
麻田さん
「課題も残っているけど、すすめられるべきものなので県としてはジャストのタイミングであると思います。」
北上さん
「約25年前に、当事者と関わり、政治的で課題があると考え、1期目の時からパートナーシップ制度は導入すべきと訴えてきました。」
北浜さん
「憲法では本来受け入れるべき人権を尊重できていないのが現状です。ですが、まずはしっかり心と体に関する制度や線引き、討論をすべきであると思います。」
パートナーシップ制度には、心と体に関する様々な課題がある中で、性的マイノリティや同性婚などジェンダーに関して悩む方たちに対していち早く政治的に解決しないといけない。一方で、焦らずにすべての人が共存するためのルール決めや計画をしないといけないという意見があることがわかり、私達はジェンダーや多様性はただ認めるだけでは社会はよくならないことを再認識させられた。
みなさん、パートナーシップ制度は「進めるべきもの」という考えの一方、その課題についても話してくださった。私たちは、人の人権を尊重することになるなら、どんどん推進していけばいいと思っていたが、重要なのは制度をただ早く導入することではなく、どこまで権利を認めるのかを明確にし、当事者からの意見などを参考にして、慎重に議論をしていくことだと分かった。
日本国憲法第二十四条第一項では「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定められており、同性による結婚は違法であるという意見をよく耳にする。では本当に、憲法に異性と書かれているため、同性による結婚は違法であると言ってもいいのだろうか。
麻田さん
「当事者と関わり、孤独に感じ、自分の立場が否定される様に感じていることを知り、社会が少数派を苦しめていると思いました。社会を変えるにはまずは政治の力であり、そのためにはパートナーシップ制度を全国で広げるべきものであると思います。」
北上さん
「憲法の十三条では個人の尊厳と幸福追求権を保障しており、パートナーシップ制度はこの考えに則っていると考えます。パートナーシップ制度を導入したからといって他の人の人権を抑圧するわけではないという考えが重要です。」
私達は日本国憲法の婚姻の定義だけで同性婚が合法か違法か考えていた。しかし基本的人権や幸福追求権の見解から同性婚は認められるべきであるという議員さんならではの意見をいただき痛感した。しかし日本国憲法の婚姻の定義から見ると、同性婚は法に従っていないので当事者は精神的に追い込まれておりパートナーシップ制度の創設は法や政治が当事者を救済するための必要な第一歩であると思った。
性別に限らず、民族または意見など周りと少し違うマイノリティは抑圧されやすく生きにくい社会となっている。現在は性的マイノリティを尊重する風潮がみられる中で、自殺をしてしまう方など精神的に追い込まれている方もたくさんいる。なぜ性的マイノリティが生きにくい社会になっているのだろうか。
北浜さん
「日本をまとめるための社会の最小単位は女性と男性からなる家族です。男性と女性を見る際、まずは生物学的に見なくてはいけず、身体は簡単に変えることができません。個人の主張だけでは国をまとめることはできません。まずは男性、女性の身体として産まれた自分を尊重しなくてはいけないと思います」
北浜さんのお話の中で、今の社会で身体的特徴によって区別されているものを考えた。例えば、スポーツでは、ほとんどの競技で、「女性」と「男性」で区別されている。しかし、それは差別的な理由からではなく、女性と男性における筋肉量の違いや体力の差などで公平を期すために分けられているものである。実際、アスリートでない私たちも、持久走で男子と同じ距離を走れと言われても困るし、他にも、公衆浴場やトイレなど、生まれ持った身体で区別しなければならない場面はある程度必要であると分かった。
ジェンダーは性別や年齢によってそれぞれの経験や教育、環境から意識の差異が出ていると感じることが多々ある。男性の方がLGBTQに関して疎く、また高齢者は今の学生とは異なりLGBTQなどの多様性に関する教育を受けておらず、理解が低いと思われる。議員は女性が少なく高齢者が多いことが、パートナーシップ制度導入のタイミングと関係しているのだろうか。
麻田さん
「女性は子どもを産むから性差についての区別の意識が低く、一人一人として見ており、LGBTQについて寛容な人が多いと思います。高齢の方は人生経験や、価値観が若い人と異なるので影響があるかもしれません。」
北上さん
「育った場所、教育環境、年代によって影響されると思いますが、各々考えを持っているので傾向として出ているだけだと言えます。」
北浜さん
「若い議員や海外で働いたことがある人はパートナーシップ制度を認めていないのは、日本の成長をさまたげているという意見がよく出てきます。年配の方は昔の教育を受けており、同性カップルが受け入れられないと感じる人がいるので、影響があると考えます。」
性別や年齢によって環境、教育、生き方が違うのは当然である。しかし、男性や高齢者がこのように考えるという傾向があるだけで、一人一人意見が違うのも当然のことだ。制度の導入のタイミングを単に議員に女性が少ないから、高齢者が多いからと決めつけるような質問をしてしまったのはよくなかったと後で感じた。またお話を伺い、今後の議員に必要になってくるのは、経験豊富で様々な視点から物事を見ることができるような人だと考えた。
今回の取材で、私たちは実際にパートナーシップ制度について討論されている議員さんからの意見を聞くことができました。私たちはパートナーシップ制度の導入には「良い面」しかないように、取材前は考えていました。しかし、パートナーシップ制度を導入するにあたって、ある個人の考えだけが反映される危険性があることがわかりました。今の政治は民主主義ですが、民主主義とは少数派を抑圧します。しかし少数派を尊重しすぎると不快な気持ちになる方もいるのが事実です。パートナーシップ制度では「線引き」が大切であり、どう線引きするかを決めることに政治の難しさがあるのだと感じました。取材前、私たちは議員に対して、堅苦しい印象を持っていました。しかし、議員には、そうした堅苦しさの中に見える膨大な知識や視野の広さが必要で、知識、人生経験、そして県や国民を想う熱意がそろった人々で構成されているのが県議会だと分かりました。また、私たちの知らないところで、議員さんたちが社会を支えているということに改めて気づきました。今回の取材を通し、LGBTQなどの問題について、私たちもさらに自分たちで深め考えていき、自身が社会に出たとき、今回お世話になった議員さんの様な、より広い視点を持った人物になりたいと感じました。
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