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更新日:2019年3月19日

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波豆川芸能文化保存会 代表:西中衛氏インタビュー

 西中衛会長

三田市波豆川の伝統芸能「お練り」

練り子の行列 三田市波豆川にある八坂神社の秋祭り宵宮に豊作を祈って奉納される行事です。衣装や化粧などに趣向を凝らした地域の子どもたちが行列を作り、忠臣蔵や義経千本桜といった有名な歌舞伎の名場面を演じながら、八坂神社へと練り歩きます。
 江戸時代後期に歌舞伎の地方伝播とともに伝わったとされますが、昭和41年に一度途絶えてしまいます。しかし昭和58年に「波豆川芸能文化保存会」を結成して再興し、平成3年には三田市無形民俗文化財に指定されました。

 

 

 

長床の様子例年10月の土曜日に行われる波豆川のお練り。当日のお昼からそれぞれの役どころの着付や化粧を行います。19時になると波豆川公民館の前に整列し、八坂神社に向けて「花木」の口上でスタートします。大太鼓と締太鼓、拍子木のリズムに合わせ、中学生までの地域の子どもたちが歌舞伎の名場面を演じながら練り歩きます。提灯持ちと練り子以外の役は大人が担います。

八坂神社に到着すると神前に詣で、順に舞台(長床)へと上がります。子どもたちは2~3人で1組となり、それぞれ異なる歌舞伎の一場面を繰り返し演じます。舞台の左から右へ演じながら進み、2回ほど演技をした後に花木の口上を合図にお練りが終了します。

 

地域の暮らしの一部であるお練り

提灯持ち 波豆川地域で昔から続くお練りは、まちの人全員が参加するお祭りとして受け継がれてきました。昔から、地域で前年生まれた子どものお披露目の場も兼ねており、1歳から”提灯持ち”という役どころでお母さんに連れられてお練りに参加します。

 

 

 

 

大太鼓 この地域で暮らす人たちにとって、お練りは暮らしの一部。家族の垣根を越えてまち全体で取り組むので、独特の一体感があります。お練りで使用する楽器や道具は修復を行いながら何十年も使い続けており、太鼓を叩く所作やお練りの流れなども昔からの方法で行われています。

 また、その年の経験が翌年にも活かされるよう、半年後(3月末頃)には前年の祭りがどうだったかの振り返りも行っています。皆が協力して密にコミュニケーションを取り合うことで信頼度を高めあっています。時代が変わっても継続できる理由は、日頃からの地域で暮らす人々の深い信頼関係にあると感じています。

 

自ら経験したからこそ感じた行事への想い

花木の皆さん 自分がまだ子どもの頃に参加したとき、本当に右も左もわからなかったんですが、同じ地域に住む先輩たちがやさしく教えてくれて、とても楽しかった記憶があります。

 

 

 

 


お練りの一行 その後十数年間練り子が集まらずお練りが出来ずにいたのですが、歌舞伎の衣装に身を包み演じるという貴重な経験は必ず今の子どもたちにとっても価値のあることだと感じ、再開させてからもずっと関わらせていただいています。

 

子どもたちにとって貴重な体験の機会

長床の様子2 今の子供たちは、歌舞伎を含め昔の芸能に触れる機会がずいぶんと減っています。
 しかし、このお練りに参加してくれる子どもたちは、練習のときに歌舞伎のシーンや登場人物について教わることができ、さらには自分がその役どころの衣装や化粧をしてなりきり、実際に演じることができます。
 様子を見に来たご家族が、嬉しそうに写真を撮られていたり、子どもたちも楽しそうに準備していたりする姿を見ると、この機会をなくしたくないとあらためて感じます。

 

 

 

着付けの様子 これは、お練りを知らない方にもぜひ伝えたいお練りの大きな魅力のひとつだと感じています。他の地域にはなかなかない貴重な機会だと思っています。

 

まちで暮らす人、まちを出た人みんなに参加してもらいたい

波豆川のお練りを伝承している子どもたち 現在波豆川のお練りでの課題は、人員不足。まちの人が全員参加しているお祭りではありますが、お練りの役どころに対し参加者が足りていない現状です。その対策として、子どもの頃はお練りに参加していて、現在は地元を離れてしまった人たちにも秋祭りの時期になると直々に連絡をして、呼びかけを行っています。

 近年は少しずつですが、移住して来られた方もご家族で参加されるようになりました。みなさんすぐ馴染んでくださるのがこの波豆川の地域性の良さだと感じています。

 また今後できることのひとつとして、緑豊かな波豆川への移住を促すひとつのきっかけとしても、お練りを発信していきたいと思っています。

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