更新日:2020年3月18日

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三矢の儀式保存会会長:谷清氏インタビュー

 

谷会長

 

江戸時代から続く新年と長男の元服を祝う民田地区の伝統行事

 

民田八幡神社

三矢の儀式は毎年1月6日に猪名川町民田八幡神社で行われる、
新年と氏子の長男の元服(成人)を祝う伝統行事です。
江戸時代初期から約400年以上にわたり行われています。
平成23年には猪名川町指定無形民俗文化財に指定をうけており、
地域では馴染み深い行事として知られています。

 

 

 

 

 

 

矢を放つ各戸の家長が神社に集まり、本殿内にて無病息災のお祓いや
頭渡し(相頭から初頭への引き継ぎ)の盃事を行います。
続いて境内で、元服する子が烏帽子と直垂で正装した親に3本の矢を手渡し、
最初の2本は裏に「鬼」と書かれたひし形の的に向かって射ます。
最後の1本はその年の恵方(2020年は西南西)の空へと放ちます。
射抜かれた的は受頭者が担いで後ろを振り向かずに自宅へ持ち帰り、
無病息災と五穀豊穣の象徴として元服した子の家の屋根に
1年間祀られるという流れになっています。
今回は3年ぶりに執り行われるということで、約200人もの方が
行事の様子を見守ってくださいました。

 

 

2度に渡る自然災害を乗り越えて3年ぶりに復活

 

初頭と相頭

平成29年の台風で境内のヒノキが折れて本殿を覆う建物の屋根を直撃。
修復のため近くの猪名川甲英高等学院さんに事務局を置く阿古谷まちづくり協議会、
阿古谷みらい協議会が保存会に協力し寄付を呼びかけてくれました。
ところが、平成30年には別の台風で杉の木も倒れ拝殿の屋根が損壊。
思いもよらぬ形で2年連続の中止を余儀なくされました。
その際、民田八幡神社を思う氏子の方々をはじめ町内外の方々からも多くのご厚意をいただき、
さらには猪名川甲英高等学院の生徒さんが街頭募金に立ってくれるなどして、
約200名から380万円程の寄付が集まりました。

 

 

 

 

民田八幡神社本殿2019年に自治会が中心となって木を撤去し、6月から本殿側の建物と拝殿の修復工事を開始、
9月にようやく完了しました。費用は約740万円かかり、寄付金と氏子の負担で賄いました。
2度の台風被害に遭い多くの人が心を痛めましたが、たくさんの方から寄付をいただいたので、
その思いに応えるためにも「何とか復活させよう!」という一心で頑張ってきましたので、
今回3年ぶりに復活できたことは本当に嬉しく思っています。

 

 

 

 

 

地域の絆を深める行事を若者たちと共に支えていきたい

 

看板制作の生徒

本来、息子の元服(15歳)を迎える親子が行う儀式ですが、
民田地区に若者がいないため、50代~60代の氏子が代役を務め行事を
継続するという状態が続いていました。
また、民田地区以外ではこの三矢の儀式というものが知られていないというのも現状です。
阿古谷小学校が廃校になった後、阿古谷地区に猪名川甲英高等学院さんが来ていただいて、
今回は生徒の皆さんが儀式の看板製作から携わってくださり、
当日も子役として参加してくださいました。
街頭募金から当日の子役まで引き受けていただいたことは非常に感謝しております。

 

 

 


集合写真2儀式の後、子役を務めてくれた生徒の二人に感想を聞いたところ
「3年ぶりの復活の儀式というプレッシャーと、400年も続く伝統的な行事なので
しっかりしないといけないという緊張感がありました。
でも地域の方々がとても優しく、今後もこうした行事に積極的に参加しながら、
色々とお話ししたいと思いました。」と話してくれたことはとても感慨深かったです。
民田地区は氏子15軒の小さな集落で、地域に後継者がいないことが一番の課題です。
三矢の儀式は新年を迎えて初めて地域の方が集まる機会となっており、
地域の方の絆を深めて連帯を強める行事でもあります。
今回、近隣の猪名川甲英高等学院さんのご協力を得られたことは、
私たち民田地区の氏子としても大変心強いことですし、
今後も共に頑張って伝承していきたいと思っております。

 

 

 

 

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