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更新日:2024年3月25日

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#4 家事シェア研究家・三木智有さん「シェアで大事なのはやっぱりコミュニケーション」

家庭を居心地のいい場所にする家事は、誰か一人が頑張ってするものではありません。

家事シェア研究家の三木智有さんは「無理しないでという『ゆる家事大作戦』のスタンスに共感しています」と話します。インテリアコーディネーターとして働いていた時に、家に帰りたくないパパたちの姿を見て疑問を感じ、結婚を機に「十年後も『ただいま!』と帰りたくなる家庭にしよう」と2011年にNPO法人tadaima!(外部サイトへリンク)を立ち上げました。

100人のパパ・ママへのヒアリングから、大切なのは「夫婦で家事や育児をちゃんと協力し合えていること」だと実感したそうです。

7歳の娘さんと妻の3人家族で暮らす三木さんに、上手な家事シェアのコツと住環境を聞きました。

 


家事シェアには2つの役割があります。
一つは暮らしを回していくために、やらなくちゃならないことをやっていくこと。
もう一つは、家族の関係性を育んでいくことです。

 

シェアする時に、まず押さえておきたいことは、
家事を主体で担っている人は、男女にかかわらず、全体像を把握したうえで「自分と同じように家事をやってほしい」と思っていますが、「同じように家事をするのは、無理だと受け入れる」こと。

その上で「どういう関係性をつくっていくか」が大事なのです。

 

家事シェアのやり方には3つのパターンがあると思っています。

一つは「シュフ型」
中心となる家事の担い手がいて、その下にサポーターとしてパートナーや子どもたち、家事代行サービスなどの手伝ってくれる人たちがいる場合。

もう一つは「担当型」
パパは洗濯と掃除、ママは料理など、担当制にしている家庭。

大体どちらかのパターンですが、両者の「ハイブリット型」もあります。

どのパターンでもいいのですが、運用の仕方が全く異なります
そこを間違えると、うまくいきません。

 

「シュフ型」はサポーターの時間を予約しよう

「シュフ型」は、指示を出したり出されたりする時にお互いストレスがたまります。
「こんなことまで頼まなくちゃいけないの」「いま急にそんなことを言われても……」。そんなことが続くと、いちいち頼むのが面倒になって「自分でやっちゃおう」となる。

だから、いかに快適に指示を出したり出されたりするかがポイントです。

そこで
「何」をやるか、ではなく「いつ」やるかを伝えて相手の時間を確保ししましょう

簡単な声がけでいいです。
「ご飯食べたら家事やるから、その時いろいろお願いね」と言っておく。
朝ごはんの時でも前の晩でも伝えておくことが大事です。
毎朝のルーティンとして「朝8時ごろまでは私がいろいろ頼むからお願いね」と言っておいてもいい。

この時間帯は家事を一緒にやるんだな、頼まれるんだな、頼んでいいんだなという関係性を作っておくと、すごくスムーズに頼みやすくなります。

 

 

「担当型」は何をやるというのを事前に決めているパターンですから、「シュフ型」と違って「いつ」に対しては絶対に口出ししてはダメです。
例えば「お皿洗いはパパ担当ね」と決めているのに「なんでまだ洗わないの」「いつ洗うの」「食べ終わったらすぐ洗ってよ」となると、担当感をなくしてしまいます。

「担当型」で委ねた場合は「いつ」に関しては口を出さず、締切を決めます。
「寝る前までには洗う」「お風呂までには洗う」と、いつまでには何々するを決めておく。締切を過ぎていたら、言われる側も理由があるので素直に受け入れやすいし、言う方も言いやすくなります。

 

「ハイブリット型」はコミュニケーションを使い分ける

場当たり的に頼んでうまくいかなかったり、「察してほしいのに何でこんなこと言わなきゃわかんないの」という悩みには、家事内容によって「シュフ型」か「担当型」か、ある程度決めて運用すると、どこがダメなのかわかると思います。

実際には、基本的にママが指示を出すけれど、「ゴミ出しはパパ」など、いくつか担当が決まっている「ハイブリット型」が多いでしょう。それがうまく回らないのは中途半端になっているから。

担当を決めていることに関して結構口出しをしていませんか。ちょっと振り返ってみてください。

 

こだわりがある人は一声かけてからやろう

家事の出来のボーダーラインは、担当する人主導で決めるのがいいです。シュフの人のレベルに合わせるとうまくいきません。
無茶なルールだと皆が困りますから「燃えるゴミは毎週出してね」と決めるぐらいは必要ですけれど、その時に「ゴミ箱も全部拭きあげないとダメ」と細かいルールまで決めると「ちょっと無理」となってしまいます。

ボーダーラインは後から上げていけるので、まずはできるところからスタート。

わが家ではボーダーラインより上のこだわりに関しては「こだわりがある方がやる」ようにしています。ゴミ箱の拭き上げまでやらなきゃダメだと思っているんだったら、そう思っている人が実行すればいいのです。

その時、何も言わずにやると、カドが立ちます。
「あなたの担当はゴミを捨てるところまで。私はゴミ箱をアルコールで消毒しないとすごく気になるから、その後は私が拭いておくね」と言えばカドが立ちません。

家事シェアのポイントはコミュニケーションなんですね。

 

うまく関係性が作れない時は自分がラクになる方法を考えて

とはいえ、協力的なパートナーばかりではありませんよね。てこでも動かない人もいれば、コミュニケーションがうまく取れない人もいます。
そういう人を動かそうとすると、しんどくなるので、まずは自分がラクになることを考えた方がいい。

外注サービスを頼んでもいいし、やらない家事を決める、ボーダーラインを下げることもすごく大事です。そうやって自分の中に余裕を持つようにしていかないと。
相手とコミュニケーションを取ることは余裕がないとできないことですから。

 

「私」vs「あなた」の議論にしない

コミュニケーションをうまく取るには「私」vs「あなた」にしないことが大切です。
「私はお皿を拭いてほしい」「拭かなくても乾くから、僕はそのままでいいと思う」だったら、議論は平行線で交わらず、どちらかが妥協しなければならなくなります。
論破された方には禍根が残り、ロクな結果になりません。

そんな時は「課題は何なのか」を導き出して、その課題に対して、夫婦で一緒に解決策を考えていくといい。

「拭かないお皿がそこにあることの課題」を考えると「菌がわくかもしれないから気持ち悪い」「次にご飯を作る時に水切りカゴがいっぱいだとやりにくい」「いつもの場所に道具がないと探すから手間が増える」といった意見が出るかもしれません。
それらをちゃんと共有してから「そうならないためにどうするか」を考えたら、「じゃあ拭いてしまうよ」「大きいものはしまうようにするよ」となるかもしれないし、「食洗機買おう」など、全く別のアイデアが出るかもしれません。

 

何が課題かを考えることは、普段から意識しておくといいです。

家事に限らず、意見が分かれた時、自分や相手がそう思う理由は何だろうということがわかっていると、話がしやすくなると思います。(談)

 

 

【取材を終えて】「家事でモメない部屋づくり」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著書がある三木さんは、オンラインで子育て家庭のモヨウ替えのコンサルティングをしています。「これから3~5年先の暮らしをどうしたいか」を夫婦で話すと、今まで話したことのない話ができるきっかけになることもあるそうです。モヨウ替えが課題になって、コミュニケーションの呼び水になっているのですね。

 

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