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更新日:2024年10月15日

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平成29年(不)第8号事件の命令概要

兵庫県労働委員会は、令和2年1月9日、標記事件に係る命令書の写しを当事者に交付しました。その概要は次のとおりです。

1 当事者及び申立要旨

  • (1) 申立人 Xユニオン
  • (2) 被申立人 Y法人
  • (3) 申立要旨
    • ア 申立日
      平成29年9月25日
    • イ 請求する救済内容(労働組合法第7条第1・3号)
      • (ア) 謝罪文の掲示及び交付
      • (イ) 慰謝料の支払

2 命令要旨

〔主文〕

本件申立てを棄却する。

〔事件概要〕

  • (1) 事案の概要

XユニオンとY法人が経営するY2病院は、団体交渉においてXユニオンの組合員であるA1(以下、Xユニオンへの加入の前後を通じて「A1組合員」という。)が看護師の資格を有し、正看護師(看護師資格を有し、看護師業務全般を行う者を、当事者の用例に従い正看護師と表記する。)の業務を行うことができるにもかかわらず、主として看護助手が行う業務を担当していることについて協議した。

団体交渉での協議を受けて、Y2病院はA1組合員に正看護師の業務を行わせる方法をシャドー勤務(先輩看護師の「影」となって同行し、1日の終わりに自己の立てた行動計画やアセスメントと先輩看護師の行動とを比較し、先輩看護師の意図や考えを振り返るという形態の勤務)と決定し、病棟会議(A1組合員が配属されていた3階病棟を担当する看護師の会議)において他の看護師に対してA1組合員のシャドー勤務に協力するよう求めた。このとき、複数の看護師から批判的な意見が述べられた。

A1組合員は、病棟会議翌日以降、Y2病院に出勤しなかった。

その後、Xユニオンの執行委員長のブログ(以下「ユニオンブログ」という。)のコメント欄に、A1組合員に関する書き込みがあった。

Xユニオンは、団体交渉において、Y2病院がA1組合員を事実上正看護師として扱うことを受け入れていたにも関わらず、正看護師として扱わなかったこと及びA1組合員を病棟会議に出席させ、追い詰め退職させる狙いでつるし上げたことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号の不当労働行為に該当するとして、また、Y2病院の職員にXユニオンに加入するよう勧誘していたA1組合員に退職を強要したこと、A1組合員をつるし上げたこと及びXユニオンのサポーターに対し、ユニオンブログの閲覧ないし書き込みについて追及するなどしたことが、労組法第7条第3号の不当労働行為に該当するとして、本件救済申立てを行った。

〔判断要旨〕

  • (1)Y法人が、平成28年12月26日開催の団体交渉で、Y病院において、Xユニオンの組合員であるA1組合員を正看護師として扱うことを受け入れていたにもかかわらず、A1組合員を正看護師として取り扱わなかったという事実は認められるか、この事実が認められる場合、それはY法人によるXユニオンの組合員に対する不利益取扱いに該当するか。

Y法人が、A1組合員を正看護師として取り扱わなかったという不利益取扱いを認めることができないことから、Y法人の不当労働行為意思の存否を判断するまでもなく、労組法第7条第1号の不当労働行為は認められない。

  • (2)A1組合員が、同人と親しい約10人のY病院の職員に対してXユニオンへの加入を勧誘した事実、及びその事実を察知してY病院のB1部長及びB2師長がA1組合員に平成28年11月28日頃退職を強要したという事実は認められるか、これらの事実が認められる場合、それはY法人によるXユニオンに対する支配介入に該当するか。

B1部長及びB2師長がA1組合員に退職を強要したという事実を認めることができないことから、その他の事実の存否を判断するまでもなく、労組法第7条第3号の不当労働行為は認められない。

  • (3)B2師長が、平成28年11月28日に病棟会議を開催し、A1組合員をつるし上げた、すなわちB2師長が出席した職員をしてA1組合員に、味方はおらず、孤立無援であることを思い知らせ、退職に追い込む狙いで言葉による精神的暴力をしかけたという事実は認められるか、この事実が認められる場合、それはY法人によるXユニオンの組合員に対する不利益取扱い又はXユニオンに対する支配介入に該当するか。

仮にA1組合員がXユニオンの組合員でなかったとしても、シャドー勤務を行わせるためには、Y法人は同様の説明を行ったものと認められることから、A1組合員が組合員であることを理由として、病棟会議での説明が行われたものとはいえない。Y法人の不当労働行為意思が認められないことから労組法第7条第1号の不当労働行為は認められず、また、同条第3号の不当労働行為も認められない。

  • (4)平成29年2月頃、B1部長及びB2師長が、ユニオンブログを見ないようY病院の職員に周知した事実、及びXユニオンのサポーターを呼び出し恫喝したという事実は認められるか、これらの事実が認められる場合、それはY法人によるXユニオンに対する支配介入に該当するか。

ユニオンブログに関する3階病棟の職員に対するB1部長の発言は、Xユニオンの活動に支配介入するものと認められず、また、Xユニオンが主張するサポーターへの追及、呼出し、恫喝については事実として認められないことから、労組法第7条第3号の不当労働行為は認められない。

3 審査の経過

調査7回、審査2回

令和元年12月24日の公益委員会議で、棄却命令を発することを決定

4 命令書全文(PDF形式)

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