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兵庫県労働委員会は、令和4年9月12日、標記事件に係る命令書の写しを当事者に交付しました。その概要は次のとおりです。
本件は、被申立人Y会社(以下「被申立人」という。)が、(1)申立人X組合(以下「申立人」という。)の組合員2名に対して、令和元年年末一時金及び令和2年夏季一時金(以下、併せて「本件一時金」という。)を、申立人組合員以外の運転手(以下「非組合員」という。)に比べて低額となる2万円支給としたことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号及び同条第3号の不当労働行為に該当し、(2)本件一時金を議題として令和2年7月8日及び同年9月10日に実施した団体交渉(以下「本件団体交渉」という。)において、一時金の支給基準を明らかにしなかったこと、決算書の提示を拒否したこと及び妥結することなく一時金を支給したことが、同条第2号の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事案である。
被申立人が申立人組合員の本件一時金支給を低額としたことには合理的理由があり、反組合的意図に基づくものであるとも認められない。
よって、申立人の組合員であるが故をもってなされた不利益取扱いであるとはいえず、労組法第7条第1号に該当しない。また、申立人の存在を嫌悪し、その弱体化を企図して行われたものとも認められないので、労組法第7条第3号にも該当しない。
決算書の提示を一時金の支給基準の説明のために必要なものではないとして拒否したが、会社の業績は一時金の支給原資に影響していると認められ、会社の業績が分かる資料を何ら示そうとしなかった被申立人の対応に理由があったとは認められない。
本件一時金の交渉が継続しているにもかかわらず、被申立人が一方的に一時金を支給したことは、申立人との団体交渉を軽視したものといわざるを得ず、不誠実な対応であった。
以上のとおり、本件団体交渉における被申立人の対応は、団体交渉に真摯に対応し申立人の理解を求めるものとはいえず、不誠実なものであり、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
調査7回、審問2回
令和4年9月6日の公益委員会議で、一部救済命令を発することを決定
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