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更新日:2024年10月18日

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令和5年(不)第1号事件の命令概要

兵庫県労働委員会は、令和6年9月19日、標記事件に係る命令書の写しを当事者に交付しました。その概要は次のとおりです。

1 当事者及び申立要旨

  • (1)申立人 X組合
  • (2)被申立人 Y法人
  • (3)申立要旨
    • ア 申立日
      令和5年1月23日
    • イ 請求する救済内容(労働組合法第7条第1・2号)
      • 不利益取扱いの撤回
      • 団体交渉応諾

2 命令要旨

〔主文〕

本件申立てを棄却する。

〔事件概要〕

被申立人Y法人(以下「被申立人」という。)で勤務するA2は、令和4年10月20日に申立人X組合(以下「申立人」という。)に加入した。

本件は、(1)被申立人が第1回の団体交渉を引き延ばしたこと並びに令和4年12月16日及び令和5年1月17日に実施した団体交渉(以下それぞれ「第1回団交」「第2回団交」という。)における被申立人の対応が、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号の不当労働行為に該当し、(2)被申立人がA2の令和4年夏季一時金及び冬季一時金をそれぞれ1か月分としたこと、(3)A2の給料を10号給として格付けしないことが、いずれも同条第1号の不当労働行為に該当するとして、救済申立てがあった事案である。

なお、本件申立て後、被申立人はA2に対し、給料の格付けを令和5年10月15日までは4号給、同月16日以降は3号給として取り扱う旨の同年9月15日付け辞令(以下「9.15辞令」という。)を交付したが、申立人は10号給が相当であるとして、辞令の撤回を申し入れた。

〔判断要旨〕

  • (1) 第1回の団体交渉の実施時期を冬季一時金の支給日を過ぎた令和4年12月16日としたこと並びに第1回団交及び第2回団交における被申立人の対応は、不誠実な団体交渉に該当するか。
    • ア 団体交渉の実施時期について
      団体交渉の期日設定に関する被申立人の対応を総合的に判断すれば、被申立人は誠意を持って対応したものと認められる。
    • イ 第1回団交及び第2回団交における被申立人の対応について
      総合的に判断すると、A2の給料の格付け、一時金の支給額などの主要な労働条件が、申立人の要求どおりの内容で妥結されなかったとしても、第1回団交及び第2回団交において、被申立人が誠実な団体交渉を行っていないとする申立人の主張には理由がない。
  • (2) 被申立人が、A2の令和4年の夏季一時金及び冬季一時金をそれぞれ1か月分としたことは、組合員に対する差別的取扱いに該当するか。
    • ア 夏季一時金について
      被申立人が、A2に対する令和4年夏季一時金の支給時点で、A2が組合員であること等を知っていたとは認められず、同支給を労組法第7条第1号に規定する不利益取扱いに当たるとみる余地はない。
    • イ 冬季一時金について
      一時金の支給額の決定は被申立人の合理的な裁量に委ねられており、個別査定による支給が違法であるとは認められず、かつ、個別査定によるA2の業務評価には、合理性がないとはいえない。
      よって、被申立人が、A2の令和4年冬季一時金を1か月分としたことは、組合員であること等の故をもって行われたものとは認められない。
  • (3) 被申立人が、A2の給料の格付けを10号給としないこと及び9.15辞令を交付したことは、組合員に対する差別的取扱いに該当するか。
    • ア 給料の格付けについて
      A2に給料を1号給とする辞令が発せられた時期は、遅くともA2が申立人に加入した令和4年10月20日より2か月以上前である。
      したがって、被申立人が、A2の給料の格付けを10号給としないことが、組合員であること等を理由としたものではないことは明らかである。
    • イ 9.15辞令の交付について
      9.15辞令の交付は、被申立人がA2の勤務態度を理由として行ったものであり、そのことが被申立人に対して降給の決定に関して認められている裁量を逸脱したり、濫用したりしたものとは認められない。

3 審査の経過

調査7回、審問2回

令和6年9月12日の公益委員会議で、棄却命令を発することを決定

4 命令書全文(PDF形式)

お問い合わせ

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