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更新日:2019年10月25日
ただいま議題となりました議案、認第1号ないし認第23号、すなわち平成30年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の決算認定の件につきまして、決算特別委員会における審査の経過及び結果をご報告申し上げます。
当委員会は、去る10月2日に設置されて以来、11回にわたり、鋭意審査を行ってまいりました。
審査におきましては、議会が果たすべき監視・評価機能の重要性を十分に踏まえつつ、平成30年度予算が、議決の趣旨・目的に沿って適正かつ効率的に執行されたのか熱心な議論が展開されました。
特に平成30年度は、県政150周年の節目を迎え、地域創生を本格化させるとともに、新たな兵庫づくりの実現に向けて、どのように施策を展開し、どのような効果が得られたのか、また、11年にわたった行財政構造改革の総仕上げとしてどう取り組んだのか等について議論がなされました。
審査に際して、委員各位から述べられた意見は、まず、「財政状況」について、次に「新時代にふさわしいすこやか兵庫づくり」の観点から、ご報告申し上げます。
第1は、財政状況についてであります。
まず、平成30年度決算の概要において、一般会計については、行革推進債の発行等の財源対策を行わなかったため、厳しい財政運営となり、実質収支、実質単年度収支の黒字額は昨年度から減少し、単年度収支も赤字となったものの、行革の大きな目標である収支均衡は達成されました。
公営企業会計については、病院事業において、加古川医療センター等における一部診療科の医師数減少による減収や神戸陽子線センターの本格稼働による費用増等があり、経常損益で赤字を計上したものの、旧こども病院の土地・建物の売却益等により、純損益は黒字となっております。
企業庁の収益的収支を有する4事業会計及び流域下水道事業会計いずれも黒字を計上しております。
平成30年度の決算においては、収支均衡など財政運営における8つの目標が達成され、行財政構造改革の取組が一定の成果として現れたと言えます。しかしながら、震災関連県債残高は約3,600億円、行革期間中に発行した財源対策債残高は約2,900億円にのぼり、今後もこれらの償還が続くことから、昨年度、議会に設置した「行財政構造改革調査特別委員会」での調査を踏まえ議決した行財政運営に関する条例並びに行財政運営方針に基づき、今後も収支均衡を維持しながら、社会保障関連経費の増嵩や消費増税による影響、さらには世界経済の動向などにも注視しつつ、本県が目指すすこやか兵庫の実現に向けて施策を展開していくことが求められました。
また、県民の安全安心を確保するため、地震や津波、風水害対策としての県土強靱化に加え、道路整備やインフラ施設の老朽化対策など、県民の要望に応えられる社会基盤の適切な維持管理が求められました。
今後の財政運営に当たっては、県債残高の総額が4兆8,953億円、将来負担比率が339.2%と依然として高い水準であることから、一層の改善が求められるとともに、安定的、持続的な県民サービスが行えるよう、経常収支比率を抑制し、財政の弾力性を確保することが求められました。
また、実質公債費比率は今後も増加すると見込まれていることから、公債費の負担軽減対策が求められるとともに、予算の経済的・効率的な執行はもとより、予算編成後の事情変更なども想定しておくことが求められました。
自主財源の確保については、平成30年度の県税収入が7,149億円と当初予算に比べ83億円の減となっていることから、令和元年度当初予算額7,380億円の収入を確保することに加え、県税収入の大幅な伸びが期待できない中、これまで以上に適正かつ公平な課税対策・徴収対策の両面から取り組むことが求められました。
課税対策では、法人県民税超過課税の適切な事業展開と事業者及び県民への理解促進、ゴルフ場利用税の堅持、宿泊税やパチンコ税の導入など税制研究会の設置による課税自主権の検討、不正軽油の流通阻止などについて意見が述べられたところであります。
また、徴収対策では、特に収入未済額の8割以上を占める個人県民税の徴収率の向上のため、平成30年度から実施している特別徴収の一斉指定について、引き続き事業者等へ周知徹底を図るとともに、各市町への支援や連携した取組が求められました。
次に、職員数が削減される中、県職員力の強化を図るとともに、外部委託やICT技術の積極的な導入など効率的・効果的に業務を進めるとともに、県として必要な業務を見極め、持続可能な行財政運営を図ることが求められました。
また、指定管理者制度については、制度導入から10年以上が経過し、応募事業者の減少や指定管理者が固定化している実態を踏まえ、競争原理が働き、県民サービスの更なる向上を図る取組が求められました。
加えて、長期保有土地については、今後の負担軽減を図るため早期に解消を目指すとともに、地元の意向を踏まえて取得した用地はその経緯なども踏まえ、地元市町とも協議調整の上、利活用方策の検討を進めることが求められました。
このほか、国への社会保障関係費の財源確保の働きかけ、基金の効果的な運用、超低金利・フラット化する金融情勢を生かした超長期債の発行、国への返還を視野に入れた社会福祉協議会の生活福祉資金貸付金原資の適正な運用、債権の適切な管理・回収、企業のインセンティブとなるネーミングライツの拡充、ふるさとひょうご寄附金の拡充、公共施設の更新・老朽化対策に資する県有施設等整備資金の活用や資産老朽化比率の算出、本年10月からの消費税率の引き上げなどについて意見が述べられたところであります。
第2は、「新時代にふさわしいすこやか兵庫づくり」に係る県政重点施策についてであります。
まず、「安全安心な基盤の確保」に向けて、防災先進県として地震・津波、台風や高潮等大規模災害への十分な対策、災害時の避難者に対する支援の強化、県民緑税を活用した災害に強い森づくり、食料自給率向上に向けた取組、保育人材の確保等子育て環境の充実、薬物乱用防止対策、医師の地域偏在・診療科偏在の是正や看護職員の確保など地域医療体制の構築、がんゲノム医療や患者支援など更なるがん対策の検討、事業所のニーズに沿った障害者就労支援、特別支援学校の環境整備や支援の充実、適正配置に向けた警察組織の再編整備、サイバー犯罪や特殊詐欺への対策強化、パワハラ等の積極的な事件化、就職差別撤廃をはじめとした人権対策の推進などが求められました。
次に、「未来へ続く地域活力の創出」については、中小企業振興条例に基づく中小企業支援施策の充実、若者・女性・シニアなどの起業・創業への支援、企業の流出防止対策も含めた産業立地の推進、基幹産業としての農業の確立に向けたスマート農業や県産ブランド力強化の取組、人と自然の共生につながる鳥獣害対策、海岸漂着物対策などが求められました。
次に、「兵庫人材の活躍推進」については、第3期ひょうご教育創造プランに基づく兵庫を担う人づくり、私立高等学校等生徒に対する就学支援、教職員に対する資質向上やハラスメント対策、外国人介護人材の受入体制の整備や外国人児童生徒への学習支援などが求められました。
次に、「交流・環流を生む兵庫五国の魅力向上」については、兵庫五国連邦(U5H)プロジェクトなど広報活動の推進、カムバックひょうごセンターの利用者拡大への取組、地域活性化につながる地域再生大作戦の展開、空き家を含めた既存住宅の利活用促進、ツーリズム人口の拡大に向けたインバウンド誘客の推進、ひょうごわくわく館の効果的な事業展開、スポーツ立県ひょうごの実現に向けた取組、県立美術館・博物館のPRや所蔵品の有効活用、播磨科学公園都市の魅力向上などが求められました。
次に、「地域の自立」については、県政150周年事業を一過性の取組で終わらせるのではなく、得られた成果を今後の県政に生かすことが強く求められました。さらに、兵庫の目指すべき姿として昨年策定された「兵庫2030年の展望」の実現に向けて、地域の活性化につながる新たな地域創生戦略を策定するよう求められました。
また、兵庫規制改革推進会議の活用や外部の新たな技術・発想を取り込むことにより、県民ニーズに沿った行政サービスの提供が求められました。
以上、冒頭申し上げた二つの観点から、特に議論があった事項について ご報告を申し上げました。
県当局におかれましては、議会の意見を十分尊重され、兵庫県行財政運営方針のもと、県民の理解と協力を得ながら適切な行財政運営を推進していくとともに、地域創生を更に推し進め、すこやか兵庫を実現していけるよう、県民ニーズに的確に対応した実効ある施策の展開を強く望むものであります。
最後に、表決の結果について申し上げます。
認第1号、認第2号、認第4号、認第5号、認第10号、認第11号、認第15号ないし認第18号、認第20号ないし認第23号、以上14件につきましては、賛成多数をもって、また、認第3号、認第6号ないし認第9号、認第12号ないし認第14号、認第19号、以上9件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。
議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、決算特別委員会の審査報告を終わります。
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