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更新日:2020年10月22日

委員長報告

 ただいま議題となりました議案、認第1号ないし認第23号、すなわち令和元年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の決算認定の件につきまして、決算特別委員会における審査の経過及び結果をご報告申し上げます。
 当委員会は、去る10月1日に設置されて以来、11回にわたり、鋭意審査を行ってまいりました。
 審査におきましては、議会が果たすべき監視・評価機能の重要性を十分に踏まえつつ、令和元年度予算が、議決の趣旨・目的に沿って適正かつ効率的に執行されたのか熱心な議論が展開されました。
 特に11年にわたった行財政構造改革の成果を生かしつつ、適切な行財政運営を推進するために策定された行財政運営方針のもと、令和元年度に、すこやか兵庫の実現に向けて、どのように施策を展開し、どのような効果が得られたのか、さらには、新型コロナウイルス感染症への対応への評価はもとより、ポストコロナ社会を見据えてどのように取り組むべきか等について議論がなされました。
 審査に際して、委員各位から述べられた意見は、まず、「財政状況」について、次に「すこやか兵庫の実現」の観点から、ご報告申し上げます。
   
 第1は、財政状況についてであります。   
 まず、令和元年度決算の概要において、一般会計については、企業業績の伸びの鈍化などにより、県税収入が減少したことなどから、実質収支では黒字を確保したものの、実質単年度収支は12年ぶりに赤字となりました。
 公営企業会計については、病院事業において、丹波医療センターの開院に伴う一時的な収支悪化などに加え、新型コロナウイルス感染症に伴う入院病床の確保、受診控え等の影響により、純損益は約40億円の赤字となっております。
企業庁の収益的収支を有する5事業会計及び流域下水道事業会計については、いずれも黒字を計上しております。

 令和元年度の決算においては、収支均衡をはじめ、行財政運営方針に掲げた6つのフロー指標で目標を概ね達成するとともに、ストック指標も含め財政フレームの枠内を維持しております。
 一方で、震災関連県債残高が約3,200億円、行革期間中に発行した財源対策債残高が約2,800億円と県債残高は他府県よりも依然高い水準にあり、本県の財政を圧迫する要因となっております。

 また、新型コロナウイルス感染症による消費低迷や景気悪化により、今後の県税収入が、令和2年度は1,000億円を超える減、令和3年度は約2,000億円減となる可能性があります。このような中、増大する社会保障関係費への対応はもとより、地域の経済活性化や雇用確保などの施策展開が求められ、一層厳しい財政状況に陥るものと考えられることから、国へ適切な財政措置を要望するとともに、財政フレームの見直しをはじめ、事務事業や行政サービスのあり方の検討が求められました。
 加えて、投資的経費については、県庁舎等再整備や但馬空港滑走路延長などの大型事業のあり方や公費負担の削減の検討、ポストコロナ社会への対応を図る分野への優先的配分などが求められました。

 今後の財政運営に当たっては、県債残高の総額が4兆9,118億円、将来負担比率が338.8%と依然として全国ワーストの水準であることへの対応に加え、ストック指標のコロナ禍による更なる悪化への配慮が求められました。
 また、行政需要の増大が懸念される中、経常収支比率の目標達成を意識しながら、財政の弾力性を高めるとともに、今後も悪化すると見込まれる実質公債費比率の低下に向けて、フロー指標についても適切な管理が求められました。

 自主財源の確保については、納税方法の多様化や市町の徴収能力向上への支援などにより、全国平均を上回る徴収歩合や収入未済額の更なる縮減への取組、さらには、法人事業税超過課税や県民緑税について、県民へ事業内容や効果を丁寧に説明を行った上での延長の検討が求められました。

 このほか、効果的な債権管理による収入未済額の縮減、基金の運用利回りの向上、県債引受基盤の強化、ふるさとひょうご寄附金やネーミングライツの一層の拡大による収入確保対策のほか、コロナ禍により納税が困難な方への配慮、狩猟税の減額、消費税減税、美術品等取得基金における適切な評価、公用車選定のあり方などについて意見が述べられたところであります。

 次に、事務の執行に当たって、市町連携と二重行政の解消に向けて前例にとらわれない取組を進めるとともに、県民に信頼される事務執行のための適正な内部管理や、厳しい財政環境下で業務を遂行する職員への配慮が求められました。
 さらには、財務諸表の活用などにより公共施設等の効率的な維持管理に取り組むほか、制度導入から10年以上が経過した指定管理者制度について、新規事業者が参入しやすい環境整備が求められました。
               
 第2は、「すこやか兵庫の実現」に係る県政重点施策についてであります。
 まず、「安全な基盤の確立」については、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に続く自然災害に備える社会基盤の整備、ひょうご防災ネットの活用など防災情報提供体制の強化、再生可能エネルギーの導入拡大など地球温暖化対策の一層の推進、人と野生動物の共生を目指した鳥獣害対策、犯罪被害者への支援、県民の安全を守る精強な警察官の育成、県と市町が連携した新型コロナウイルス感染症拡大防止の取組などが求められました。

 次に、「安心な暮らしの実現」については、妊娠・出産・子育て環境の整備、不妊治療や不育症治療の推進、AYA世代へのがん対策の推進、児童虐待防止のためのこども家庭センターの職員増などによる機能強化、コロナ禍における看護師や介護人材の確保への取組、感染症から県民の命を守る重要な役割を担う県立病院の経営改善、原因の分析による早急な自殺防止対策の推進、薬物など依存症対策の強化などが求められました。

 次に、「地域の元気づくり」については、次世代産業の育成や産業立地の促進、金融支援や人材確保など中小企業支援施策の拡充、商店街の活性化、雇用・就労支援など、ポストコロナの時代に向けた産業活性化の取組が求められました。また、新規就農者の定着支援など農業の担い手の確保、農福連携など都市農業の振興、播磨科学公園都市や潮芦屋地区の魅力向上、空き家対策の総合的な推進、コロナ禍での芸術文化の振興などが求められました。

 次に、「全員活躍社会の構築」については、次世代の兵庫を担う若者の県内就職の促進、高齢者や引きこもり者などへの就労支援、ジェンダー平等の視点を踏まえた男女共同参画の一層の推進、幼児期教育の推進、ICTをより一層活用した教育の推進、タブレット端末購入の負担軽減の検討、教職員の多忙化の解消と不祥事防止への対応などが求められました。

 次に、「交流・環流の促進」については、地域連携DMOひょうご観光本部を中心とした観光の活性化、ポストコロナを見据えたインバウンド誘客戦略の見直し、気運が高まる首都圏等からの移住促進につなげる情報発信の強化、地域活性化や経済発展に資する基幹道路整備の推進、地域公共交通を担う鉄道・バス事業者への支援などが求められました。

 次に、「新たな兵庫の展開」については、社会情勢の変化を踏まえた地域創生戦略の推進、兵庫2030年の展望における戦略の見直し、ポストコロナ社会にふさわしい新ビジョンの検討、行政手続のデジタル化・簡素化に向けたマイナンバーカードの普及促進、戦略的な広報の推進などが求められました。

 以上、冒頭申し上げた二つの観点から、特に議論があった事項について ご報告を申し上げました。
 県当局におかれましては、議会の意見を十分尊重され、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた行財政全般にわたる必要な対策を徹底して検討し、ポストコロナの時代にふさわしい新しい兵庫の実現に向けて、実効ある施策の展開を強く望むものであります。

 最後に、表決の結果について申し上げます。
 認第1号、認第2号、認第4号、認第5号、認第7号、認第10号、認第11号、認第15号ないし認第18号、認第20号ないし認第23号、以上15件につきましては、賛成多数をもって、また、認第3号、認第6号、認第8号、認第9号、認第12号ないし認第14号、認第19号、以上8件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。

 議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、決算特別委員会の審査報告を終わります。

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 議事課

電話:078-362-9403

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaigijika@pref.hyogo.lg.jp