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更新日:2022年10月24日

委員長報告

 ただいま議題となりました議案、認第1号ないし認第23号、すなわち令和3年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の決算認定の件につきまして、決算特別委員会における審査の経過及び結果をご報告申し上げます。

 当委員会は、去る9月30日に設置されて以来、11回にわたり、鋭意審査を行ってまいりました。審査におきましては、議会が果たすべき監視・評価機能の重要性を十分に踏まえつつ、令和3年度予算が、議決の趣旨・目的に沿って適正かつ効率的に執行されたのか熱心な議論が展開されました。

 令和3年度は、5期20年にわたって知事を務められた井戸前知事が勇退され、県政の刷新を掲げる齋藤知事が誕生し、本県にとって大きな転換の年となりました。

 そうした中、数次にわたる補正予算によって、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策や社会経済活動の再開を見据えた経済活性化対策などが実施されました。当委員会では、これら新型コロナウイルス感染症対策等への評価だけではなく、コロナ禍からの創造的復興を目指し、本県が今後どのように取り組んでいくのかについても議論がなされました。

 審査に際して、委員各位から述べられた意見等を、まず、「財政状況」、次に、「安全安心な兵庫づくり」、「交流の新展開」、「兵庫の強みを活かした産業の育成」、「多様な兵庫人材の活躍」、「新たな兵庫への道筋」の5本の柱からなる「令和3年度県政の重点施策」の2つの区分でご報告申し上げます。

 第一は、財政状況についてであります。

 まず、令和3年度一般会計については、歳入3兆1,700億円、歳出3兆1,373億円となり、新型コロナウイルス感染症対策の経費増等により、歳入歳出とも2年連続で、過去最大を更新しました。

 公営企業会計については、病院事業において、新型コロナウイルス感染症の影響による減収は、診療報酬の増額や空床補償等により概ね補填され、経常損益は28億円の黒字、純損益は32億円の黒字となっております。

 企業庁の所管事業会計のうち、昨年度赤字であった水道用水供給事業では、新型コロナウイルス感染症対策として実施した給水料金減免の解消に伴って、収入が増加したこと等により、純損益が32億円の黒字へ転換しました。同じく、地域整備事業では、土地売却収益の増により、純損益は2億円の黒字へ転換され、これにより、企業庁の収益的収支を有する5事業会計は、いずれも黒字を確保しております。

 また、流域下水道事業会計については、企業会計を適用した平成30年度以降、黒字が確保されております。

 令和3年度の一般会計決算は、企業業績の回復による法人事業税などの県税収入の増や新型コロナウイルス対策関連事業の歳出不用などから、実質収支は、過去最大となる218億円の黒字となり、普通交付税減額精算や、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金活用事業等の実績減に対する国庫返納金などの精算を考慮しても、34億円の黒字が確保されました。

 しかしながら、単年度の実質公債費比率は、本年3月に策定された県政改革方針の財政フレームで見込まれた15.4パーセントを0.2ポイント下回ったものの、健全化判断比率である3ヵ年平均の実質公債費比率は、前年度の14.9パーセントと比較すると0.3ポイント悪化しています。

 将来負担比率についても、県政改革方針の財政フレームの見込み319.7パーセントを4.6ポイント下回り、前年度の337.3パーセントと比較して22.2ポイント改善しましたが、依然として、全国ワースト1位の高い水準にあります。

 加えて、県政改革方針の財政運営指標では、令和7年度、実質公債費比率が18パーセントを超過するなど、本県財政は、厳しい状況が続くことが見込まれます。このような状況を踏まえ、今後とも危機感を持って、より堅実な財政運営に努めることが求められました。

 また、このような状況の中で、実質収支の大幅改善という数値が出ると、県民に県の財政状況が好転したようなイメージを与える恐れがあるため、わかりやすい情報の発信を心掛けるべきとの意見が述べられたところであります。

 あわせて、より強固な財政基盤を確立するための財政基金等の積み増しや「選択と集中」、「ワイズ・スペンディング」の考え方を徹底した財政支出、イノベーション型行財政運営を図る事業レビューによる効果的な施策展開、産業や県民生活の基盤となる公共インフラの計画的な整備や投資事業のリターン評価を踏まえた適切な意思決定など、ポストコロナを見据えた県政改革方針の実現に向けた効率的な取組により、将来にわたって夢と希望が持てる社会を目指すことが求められたところです。

 一方、自主財源の確保については、県内市町への徴収に関する技術支援などの個人県民税の滞納対策の強化等により、令和3年度の県税徴収率は99パーセントと、目標とする全国平均と同率となり、引き続きの税収確保への取組が求められました。

 また、県民の協力のもとに得られる貴重な財源である法人事業税超過課税の事業者及び県民への理解を踏まえた事業展開や県税の納税キャッシュレス化への拡充、企業版ふるさと納税制度の推進などの取組が求められました。

 このほか、SDGs投資など新たな県債の発行への積極的な姿勢、国民健康保険制度の安定化に向けての県・市町一体となった取組、中小企業高度化資金の収入未済額縮減に向けた取組強化などについて多岐にわたる意見が述べられたところであります。

 第二は、「令和3年度の県政の重点施策」についてであります。

 一つ目の柱「安全安心な兵庫づくり」については、通常医療とコロナ対応を棲み分けた持続可能な医療提供体制の確保、自然災害に備える社会基盤の整備、地域防災力強化に向けた防災リーダーの育成と個別避難計画の制定、水道事業における施設の老朽化対策、医師や看護師の安定的確保に向けた対策の推進、県立病院を中心とした広域連携医療体制の確立、ヤングケアラーの支援体制の構築、こども家庭センターにおける児童の個別事情に配慮した受入ルールの確立、介護・医療・予防が一体となった重層的支援体制の構築、公共交通のバリアフリー化の推進、交通安全施設の適切な維持管理などが求められました。

 二つ目の柱「交流の新展開」については、産業振興・地域振興を見据えたひょうごフィールドパビリオンの発展的展開、デスティネーションキャンペーン等を活用した新しい観光戦略の推進、スポーツクラブ21ひょうごにおける指導者の確保や運営体制の強化、神戸空港の国際化を見据えた総合的な交通ネットワークの強化、社会経済活動を支える高規格道路の整備などが求められました。

 三つ目の柱「兵庫の強みを活かした産業の育成」については、市町の連携による商店街の活性化に向けた事業展開、ポストコロナを見据えた金融機関の伴走支援の充実、本県の屋台骨であるものづくり産業や地場産業への支援、豊かな海の再生に欠かせない漁場整備の推進、農林水産業の持続的な発展のための県産県消の推進、スマート農業の更なる促進、シビックプライドの醸成につながる活力ある地域づくり、温暖化対策における再生可能エネルギー導入の推進、エネルギーの安定供給確保の観点からの水素社会の実現に向けた取組などが求められました。

 四つ目の柱「多様な兵庫人材の活躍」については、県立学校・特別支援学校の環境整備の早期実現、コロナ禍における子供の体力低下防止対策の強化、いじめの早期発見に向けたSNSを活用した取組、中小企業DX人材育成とリカレント教育の持続的発展、総合的な子供・子育て支援の推進、青少年の健全育成に向けた取組強化、収益化を実現した持続可能な農福連携の促進、女性が活躍できる環境づくりの推進、パートナーシップ制度を活用した取組の検討などが求められました。

 五つ目の柱「新たな兵庫への道筋」については、次世代型産業団地における地域人材の活用につながる企業誘致の促進、住宅ストックの有効活用や地域の活性化を促進する空き家対策、オールドニュータウンの再生のための各種施策の展開、大胆かつ斬新で優先度の高い課題に絞った地域創生戦略の推進、県庁舎等再整備を含めた元町エリア全体の魅力向上に向けたまちづくりの検討などが求められました。

 このほか、県民ボトムアップ型県政の基本姿勢の推進、スポーツ行政を所管する部局の在り方、新型コロナウイルス感染拡大防止協力金の適正な調査、旧統一教会及びその関連団体と県との関係と今後の関わり、県立病院が公立病院として果たすべき役割、(株)夢舞台を県が保有継続する意義、商工会の経営指導員配置基準の見直し、人の流れを引き寄せるツールとしての医療ツーリズムの前向きな検討などについて意見が述べられたところであります。

 以上、冒頭申し上げた二つの観点から、特に議論があった事項について ご報告を申し上げました。

 県当局におかれましては、議会の意見を十分尊重され、兵庫が目指す新しい県政の実現、地域が抱える様々な課題解決に向け、県政改革方針のもと、新しい発想や手法で必要な対策を検討し、時代の変化や県民の要請に的確に対応し、県民とともに新たな兵庫県政を創りあげる取組が進められるよう強く望むものであります。

 最後に、表決の結果について申し上げます。

 認第1号、認第2号、認第4号、認第5号、認第10号、認第11号、認第15号ないし認第18号、認第20号、認第22号、認第23号、以上13件につきましては、賛成多数をもって、また、認第3号、認第6号ないし認第9号、認第12号ないし認第14号、認第19号、認第21号、以上10件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。

 議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、決算特別委員会の審査報告を終わります。

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 議事課

電話:078-362-9403

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaigijika@pref.hyogo.lg.jp