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更新日:2023年10月23日
ただいま議題となりました議案、認第1号ないし認第23号、すなわち令和4年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の決算認定の件につきまして、決算特別委員会における審査の経過及び結果をご報告申し上げます。
当委員会は、去る9月28日に設置されて以来、11回にわたり、鋭意審査を行ってまいりました。審査におきましては、議会が果たすべき監視・評価機能の重要性を十分に踏まえつつ、令和4年度予算が、議決の趣旨・目的に沿って適正かつ効率的に執行されたのか熱心な議論が展開されました。
令和4年度予算は、オープンで、誰も取り残さない、県民ボトムアップ型県政を基本に「躍動する兵庫」の実現に向けた施策を推進するため、齋藤知事のもとで編成されました最初の予算です。
また、数次にわたる補正予算によって、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けたワクチン接種体制の整備、物価高騰の影響を受ける県民生活の支援のほか、県民の安全・安心の基盤づくりのための社会基盤の充実・強化などが実施されました。
当委員会では、世界的なインフレ、エネルギー価格の高騰、さらに円安が加わり、引き続き不安定な経済状況にあって、先を見通すことが難しい環境の中で、本県が今後どのように取り組んでいくのかについても議論がなされました。審査に際して、委員各位から述べられた意見等を、まず、「財政状況」、次に、「新たな価値を生む経済の構築」、「安全安心社会の先導」、「未来を創る人づくり」、「個性を磨く地域づくり」、「県政運営の改革」の5本の柱からなる「令和4年度県政の重点施策」の2つの区分でご報告申し上げます。
第一は、財政状況についてであります。
まず、令和4年度一般会計については、新型コロナウイルス感染症対策費の経費等が減少したことにより、歳入・歳出ともに前年比で約5,600億円減少し、歳入2兆6,086億円、歳出2兆5,776億円となり、令和3年度に次いで2番目の規模となりました。
公営企業会計については、病院事業において、新型コロナウイルス感染症の影響による減収は、診療報酬の増額や空床補償等により概ね補填されたものの、はりま姫路総合医療センター開院に伴う患者調整や旧姫路循環器病センターの特別償却等により、経常損益は30億円の赤字、純損益は85億円の赤字となり、その結果、資本合計は、4年連続の債務超過となったことから、更なる経営改善に努めるよう求められました。
また、企業庁の収益的収支を有する5会計及び流域下水道事業会計については、昨年度に引き続き、いずれも黒字確保となりましたが、地域整備事業会計は、今後の資金不足が懸念される状況であり、将来の収支見通しや課題を明らかにし、事業のあり方を早急に検討するよう意見が述べられたところです。
令和4年度の一般会計決算は、企業業績の回復により県税収入等が過去最高となったことに加え、効率的な事務執行等に伴う歳出不用等により、実質収支は過去最大となる227億9,400万円、実質単年度収支は44億2,900万円、後年度の精算分を除いても、実質収支は60億1,200万円の黒字が確保されました。また、令和5年度末の財政調整基金残高は、29年ぶりに100億円を超える見込みになるなど、県政改革の取組は確実にその成果を上げつつあります。
一方で、本県は多額の震災関連県債残高等を抱える厳しい財政状況が続いており、その結果、単年度の実質公債費比率は15.5パーセントで、本年3月に見直しが行われた県政改革方針の財政フレームで見込まれた単年度の比率15.7パーセントを0.2ポイント下回ったものの、前年度と比較すると0.3ポイント悪化し、健全化判断比率である3ヵ年平均の実質公債費比率は、15.2パーセントと、前年と同率となっています。
また、将来負担比率については、県政改革方針の財政フレームの見込み328.9パーセントを2.5ポイント下回ったものの、前年度の315.1パーセントと比較すると、11.3ポイント悪化し、依然として、全国ワースト1位の高い水準にあります。県政改革方針の財政運営指標では、令和7年度、実質公債費比率が18パーセントを超過し、収支不足額は、令和10年度までに255億円となるなど、本県の財政は、今後も厳しい状況が続くことが見込まれます。このような状況を踏まえ、危機感を持った、より堅実な財政運営に努めることが求められました。
このように財政運営指標が悪化しているにも関わらず、単年度の実質収支は平成以降最高という数値が出ると、県の財政状況そのものが好転したとの印象を県民に与える恐れがあるため、他府県の状況と比較するなど、わかりやすく正しい情報の発信を行うことが求められました。あわせて、黒字見込額について、全てを財政調整基金に積まず、事業に活用することができなかったのか、あるいは、県債管理基金の残高回復を優先すべきではなかったのか、その他にも、外部基金を県債管理基金に集約していたこれまでの措置状況に対する是非の検証、包括外部監査において多額の債務超過に陥る可能性が指摘された、ひょうご農林機構の分収造林事業については、これまで果たしてきた多面的な森林の公益的機能を踏まえつつ、現実的な収支見通しに基づいた抜本的な見直し行うこと、資金繰りの悪化した兵庫県森林組合連合会への貸付の是非と県民への説明責任、などについて意見が述べられたところであります。
一方、自主財源の確保に当たっては、県内市町への徴収に関する技術支援などの個人県民税の滞納対策の強化等により、令和4年度の県税徴収率は99.1パーセントと、昨年度と同様に目標とする全国平均と同率となり、引き続きの税収確保への更なる取組が求められました。
また、企業の協力のもとに得られる貴重な財源である法人事業税超過課税の事業者及び県民の理解を踏まえた事業展開、県税納税に係るデジタル化への取組、企業版ふるさと納税制度の推進、工夫を凝らしたふるさと納税の取組、ネーミングライツの更なる拡充、宝くじの販売促進、兵庫県債のブランド向上につながるグリーンボンド債の発行などの取組が求められました。
このほか、廃止を視野に入れた収入証紙の取扱い、新型コロナウイルス拡大防止協力金における債権回収の徹底、県民に対する予算編成過程の公表、県民に信頼される行財政の運営、などについて多岐にわたる意見が述べられたところであります。
第二は、「令和4年度県政の重点施策」についてであります。
一つ目の柱「新たな価値を生む経済の構築」については、企業のニーズを把握した戦略的な企業誘致の推進、新たなビジネス創出に意欲的な起業家支援の拡充、急激な経済状況の悪化に備えた中小企業向け制度融資による支援、中小企業の事業継続への支援、若者・Z世代の労働環境改善に向けた取組の強化、理工系人材獲得を踏まえた施策展開、県内就職・定着に向けた取組、県産農作物の安定供給の確保と販路拡大につながる事業の展開、兵庫県地球温暖化対策推進計画の達成に向けた効果的な取組、充電ステーションの整備促進、などが求められました。
二つ目の柱「安全安心社会の先導」については、医師の育成・確保に向けた取組の強化、粒子線医療センターの患者確保に向けた積極的な取組、医療のDX化の推進、ICTを活用した医療連携ネットワークの構築、全身疾患の予防に直結する口腔ケアの普及を目指した取組、ヤングケアラー支援体制の整備、社会的養護従事者における処遇改善の実施、新たな組織や働き方を前提としたBCPの改定、関西広域連合と連携した効果的な防災対策、盛り土対策を的確に実行するための体制整備、児童虐待の防止につながる児童相談所等との連携の強化、防犯カメラ等先端技術を活用した効率的な犯罪の捜査、警察官の定員と人材確保に向けた取組、公共交通施設のバリアフリー化の促進、道路維持管理の計画的な整備、などが求められました。
三つ目の柱「未来を創る人づくり」については、放課後児童クラブの効果的な支援、地域の実情に応じた産婦健康診査事業・産後ケア事業の展開、里親制度の裾野を広げる取組の推進、国の動向に注視した中学校部活動改革の推進、教員の負担軽減につながるスクールサポートスタッフの拡充、教職員の確保に向けた効果的な取組、授業料無償化に踏み切る県立大学のブランド確立に向けた事業の展開、若者向けの選挙啓発の推進、などが求められました。
四つ目の柱「個性を磨く地域づくり」については、空き家活用への総合的な支援、基幹道路の整備促進、ひょうごフィールドパビリオンの発展的な展開、地域主体のオールドタウン再生に向けた効果的な取組、地域課題をICTの利活用により解決するスマートシティ事業の推進、行政DXの更なる推進、パラスポーツの普及啓発促進、スポーツ振興の広がりを体現するための取組、などが求められました。
五つ目の柱「県政運営の改革」については、組織を活性化する県と民間企業との人事交流の更なる拡充、民間の資金や活力を導入した公園管理・県営住宅に係る事業の展開、全庁広報力の強化に向けた取組、兵庫県公式地域創生インスタグラムを活用した地域活力の創出、などが求められました。
このほか、コウノトリ但馬空港の今後のあるべき姿の検討、地価調査の地点数減少に伴う適正な土地価格形成への影響と課題、有機フッ素化合物PFAS汚染に伴う安全対策と県民血液調査の実施、パートナーシップ制度の実現に向けた検討、株式会社夢舞台の経営状況の改善に向けた取組、コロナ禍を経て目指す教育のあり方、帯状疱疹ワクチン接種補助制度の創設、などについて意見が述べられたところであります。
以上、冒頭申し上げた二つの観点から、特に議論があった事項についてご報告を申し上げました。
県当局におかれましては、議会の意見を十分に尊重し、地域が抱える様々な課題解決に向け、県政改革方針のもと、改革の着実な推進により、時代の変化や県民の要請に的確に対応できる持続可能な行財政運営を確立するとともに、県民の活動を支え、県民とともに歩む県政を創りあげる取組が進められるよう強く望むものであります。
最後に、表決の結果について申し上げます。
認第1号ないし認第23号、以上23件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり認定すべきものと決した次第であります。議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、決算特別委員会の審査報告を終わります。
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