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更新日:2020年3月23日
ただいま議題となりました議案のうち、第1号議案ないし第23号議案、第43号議案につきまして、予算特別委員会における審査の経過並びに結果をご報告申し上げます。
当委員会は、去る3月2日に設置され、一般会計、特別会計及び公営企業会計の総額3兆9,500億円余の「令和2年度当初予算案」並びに「兵庫県行財政運営方針の変更案」について、鋭意審査を行ってまいりました。
令和2年度は、阪神・淡路大震災から25年が経過し、令和新時代の本格的なスタートとともに、兵庫の新たなステージを切り拓く重要な年であります。兵庫2030年の展望が描く「すこやか兵庫」の実現に向け、地域創生を着実に推進し、人口減少下であっても活力ある兵庫づくりを進めていかなければなりません。
一方で、本県を取り巻く行財政環境は依然として厳しく、新型コロナウイルス感染症による影響により、経済の先行きへの不透明感も一層高まっています。そのような中でも、昨年度策定された行財政運営方針のもと、県民から信頼される持続可能な行財政運営を推進する必要があります。
このことから、審査においては、「すこやか兵庫」の実現に向けて、「安全な基盤の確立」、「安心な暮らしの実現」、「地域の元気づくり」、「全員活躍社会の構築」、「交流・環流の促進」、「新たな兵庫の展開」の6つの柱のもと、どのような施策を展開していくのか、さらには拡大が続く新型コロナウイルス感染症にどう対応していくのか、あわせて令和2年度の財政運営や持続可能な行財政運営がどうあるべきか、終始熱心な議論が展開されました。以下、委員各位から述べられた意見等をご報告申し上げます。
第一は、「すこやか兵庫の実現に向けた県政の重点施策」についてであります。
まず、「安全な基盤の確立」については、県土強靱化のための総合的な治水対策や基幹道路ネットワークの整備、震災の教訓を踏まえた県民の防災意識向上、気候変動に対応する取組の強化、地域住民の声を踏まえた警察署等の再編整備による警察機能の強化などが求められました。
「安心な暮らしの実現」については、こども家庭センターの体制強化と人材育成、十分な実態把握によるひきこもり対策の強化、病院の統合再編を踏まえた地域医療構想の実現、県立病院におけるAYA世代のがん患者への支援やアドバンス・ケア・プランニングの取組などが求められました。
「地域の元気づくり」については、本県経済の持続的成長につながる起業の促進、人口の社会増に資する中小企業支援、スマート農業の導入等による持続可能な農業の育成、県・神戸市協調による県庁舎等再整備の推進、地球アトリエ構想の推進など県立都市公園の魅力向上、ワールドマスターズゲームズ2021関西への県民参加の促進などが求められました。
「全員活躍社会の構築」については、魅力と活力ある県立高校づくり、特別支援教育の更なる充実、業務の見える化による教職員の働き方改革の推進、国際観光芸術専門職大学(仮称)における観光人材の育成、私立高等学校等の授業料軽減補助の拡充、女性が希望する将来を描ける兵庫に向けた方策などが求められました。
「交流・環流の促進」については、インバウンド拡大に向けた更なる取組、地域の文化財の日本遺産を活用した取組、すこやか兵庫の実現のための社会基盤整備の推進、コウノトリ但馬空港のあり方の検討などが求められました。
「新たな兵庫の展開」については、人口減少という本県の最大の課題に対し、第二期兵庫県地域創生戦略の目標である「地域の元気づくり」、「社会増対策」、自然増対策としての「子ども・子育て対策」、「健康長寿対策」の市町と連携した着実な推進、兵庫2030年の展望の実現に向けたリーディングプロジェクトの効果検証による展開、SDGsやAI社会原則を踏まえた県政推進、地域創生戦略など各種計画との位置付けを明確にした新長期ビジョンの検討などが求められました。
また、新型コロナウイルス感染症に対する県民の強い社会不安に対して、県民の生命・健康と生活を守るため、感染拡大の防止、十分な検査体制と感染症病床の確保、医療機関や社会福祉施設等へのマスクの提供、関西広域連合や近隣府県との広域的な連携、昨年12月に議員提案により災害時の事業継続支援を追加した「中小企業の振興に関する条例」に基づく中小企業者への早期の経済対策、終息後の観光関連産業等への支援策の事前検討、学校の一斉休業への丁寧な対応と新学期に向けた準備など、知事のリーダーシップのもと県民への適切な情報発信と迅速な対応が求められました。
第二は、令和2年度の財政運営についてであります。
本県財政は、平成30年度決算において収支均衡などの目標を達成し、構造改革に区切りを付けたものの、震災関連県債や行革期間中に発行した財源対策債の残高が依然高い水準にあり、引き続き厳しい状況にあります。令和2年度当初予算においては、引き続き適切な行財政運営を進め、事業の選択と集中を徹底しつつ、すこやか兵庫の実現に向け、兵庫の未来を切り拓く新たな取組を積極的に展開することが求められました。
さらには、新型コロナウイルス感染症拡大による県税収入の減少も懸念される中、自動車税の収入未済額の縮減や軽油引取税の適正課税に向けた取組はもとより、県民の利便性や収納率の向上につながるキャッシュレス納税の更なる導入など、自主財源の根幹をなす県税収入の確保対策に取り組むことが求められました。
特に、県税収入未済額全体の8割を占める個人県民税については、各市町と一層連携した徴収対策の推進や、平成30年度から実施されている特別徴収の実施率の向上に取り組むとともに、特別徴収に応じない悪質な事業者名の公表の検討が求められました。
このほか、中小企業高度化資金等の適切な債権管理、県営住宅使用料の収納率向上が求められたほか、ふるさとひょうご寄附金については、兵庫の魅力を感じられる返礼品や共感を持ってもらえる魅力的なプロジェクトとなる工夫や取組に加え、高額納税者の控除上限の設定を国へ要望することが求められました。
第三は、行財政運営方針の推進についてであります。
平成30年10月に策定された行財政運営方針について、令和元年度の県税収入の減などの影響により、財政フレームを見直すとともに、県債管理基金を活用した県債残高縮減対策を行い、財政構造のスリム化と将来の公債費負担の軽減を図ること、また、将来負担比率の目標数値を下方修正するとしています。
財政フレームの見直しに対しては、将来負担比率の見直しが、県債償還に対する交付税算入見込額を実額で積み上げたことによる変更であり、見通しをより正確にし、透明性の確保が図られるものとして評価でき、その目標の達成に向けて着実に取り組むことが求められました。
一方、試算の前提条件として国の成長実現ケースではなくベースラインケースを用いて県税収入を算定することや、大型投資事業の優先順位も踏まえた慎重な検討が求められました。また、県庁舎等再整備事業については、財政フレームに与える影響を認識しつつ進めることが求められました。
県債残高については、震災関連県債の償還について国へ支援を求めるなど、縮減を着実に進め、実質公債費比率を下げるとともに、安定的かつ低利な資金調達が行える戦略的な県債発行方針を確立し、後年度の財政を圧迫しないよう努めることが求められました。
このほか、マイナス金利政策下における県債管理基金の効果的な運用、税収の構成を地方消費税に過度に頼らないものとすること、長期保有土地の利活用の促進や利子負担の軽減、行財政運営審議会のあり方などについて、意見、要望が述べられた次第であります。
以上、冒頭申し上げた3つの観点から特に議論が集中した事項についてご報告申し上げました。これからも県民とともにさまざまな課題を乗り越えながら、新時代にふさわしい「すこやか兵庫」の実現に向け、議会の意見を十分に尊重され、県民ニーズに的確に対応した実効ある施策が展開されることを望むものであります。
次に、表決の結果について申し上げます。
第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第10号議案、第15号議案ないし第18号議案、第20号議案ないし第23号議案、第43号議案、以上14件につきましては、賛成多数をもって、また、第3号議案、第6号議案ないし第9号議案、第11号議案ないし第14号議案、第19号議案、以上10件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
また、3月17日に提出のあった「令和2年度予算案の編成替えを求める動議」については、賛成少数で否決された次第であります。
議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、予算特別委員会の審査報告を終わります。
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