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更新日:2022年3月30日
ただいま議題となりました議案のうち、第1号議案ないし第23号議案、第49号議案につきまして、予算特別委員会における審査の経過並びに結果をご報告申し上げます。
当委員会は、去る3月1日に設置され、一般会計、特別会計及び公営企業会計の総額が前年度についで過去2番目となる4兆2,500億円の「令和4年度当初予算案」並びに「兵庫県行財政運営方針の変更案」について、鋭意審査を行ってまいりました。
令和4年度は、引き続き、新型コロナウイルス感染症への対策が急務であり、大学等の専門機関と連携した調査研究や、これまでの検証・データ分析により得られた科学的知見や専門家の意見を施策に反映することにより、感染拡大防止と社会活動の両立という困難な課題を克服していく必要があります。
その上で、コロナ禍を乗り越えた先に希望を持ち、コロナ前よりも安全で活力に満ちた兵庫、県民が将来への夢や希望を持ち続けられる社会を構築していかなければなりません。
あらゆる環境がめまぐるしく変化する中、経済・社会動向などを十分見極めた持続可能な行財政基盤の確立が求められます。
昨年8月に就任以来、齋藤知事は、様々な課題に対して、新しい時代を切り拓らいていく「躍動する兵庫」の実現に向けた取組を展開してきました。
令和4年度予算は、齋藤知事のもと、オープンで、誰も取り残さない、県民ボトムアップ型県政の推進に基づく「躍動する兵庫」に向けた予算として編成されたものであり、審査においては、「令和4年度の県政の重点施策」の5つの柱「新たな価値を生む経済の構築」、「安全安心社会の先導」、「未来を創る人づくり」、「個性を磨く地域づくり」、「県政運営の改革」のもと、どのような施策を展開していくのか、あわせて、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻による世界経済への影響を踏まえ、いかに適切な行財政運営を進めるべきか、終始熱心な議論が展開されました。
審査に際して委員各位から述べられた意見等を、まず、「令和4年度の県政の重点施策」、次に「財政運営」、最後に「行財政運営方針の見直し」の3つの区分でご報告申し上げます。
第一の「令和4年度の県政の重点施策」についてであります。
一つ目の柱「新たな価値を生む経済の構築」については、中小企業の経営改善・成長力強化への支援の充実、産業用地の早期完売に向けた積極的な企業誘致の促進、SDGsの取組に向けた企業・大学との連携の強化、チャレンジHYOGO就職大作戦の展開、兵庫型奨学金返済支援制度の充実、兵庫デスティネーションキャンペーンを活用した新しい観光戦略の推進、学校給食を含めた県産食材の販路拡大、水素社会実現に向けた取組の強化、石炭火力発電所の段階的削減、瀬戸内海の再生に向けた豊かな美しい海づくりの推進などが求められました。
二つ目の柱「安全安心社会の先導」については、新型コロナウイルス感染症対策の更なる強化や、その対策を踏まえた病院の運営、がん対策の推進、てんかん地域診療体制の整備、ヤングケアラーの支援体制の構築、補聴器購入支援制度創設に向けた状況調査の実施、介護職員等の社会的養護従事者の処遇改善などが求められました。
また、災害等の危機に備えた管理体制の強化、特殊詐欺における高齢者に対する防犯対策の強化、社会基盤整備事業の強化促進、景観配慮型防潮堤工事の安全性の確保と住民不安の解消などが求められました。
三つ目の柱「未来を創る人づくり」については、子宮頸がんワクチンの接種再開に向けた環境づくりの推進、サポートチーム設置などによる学校問題への総合的な支援、学校の設備環境の改善、特別支援学校における統合問題の丁寧な検討やこころのバリアフリーの推進、高校生に対する効果的かつ適切な性教育の実施、朝鮮学校への補助金の適切な執行などが求められました。
四つ目の柱「個性を磨く地域づくり」については、元町周辺再整備グランドデザイン等の検討・県庁舎整備の見通し、eスポーツを通じた地域課題解決への調査・検討、大阪・関西万博の効果を取り込む施策、芸術文化センター開館15周年事業の展開、デジタルデバイト解消、などが求められました。
五つ目の柱「県政運営の改革」については、ひょうごビジョン2050の実現に向けた取組の推進、地域創生戦略の見直し、株式会社夢舞台の事業基盤を改善する取組、外部有識者による事業レビューの評価方針の検討、県民参加型動画投稿選手権の開催による県政情報発信の強化、自由で創造的な発想を意見交換する学生未来会議の開催などが求められました。
第二は、「令和4年度の財政運営」についてであります。
本県の財政状況をとりまく環境は、グローバル経済の中にあって、長期化するコロナ禍に加え、ウクライナ情勢など世界情勢の変化に左右されることから、経済の先行きは更に不透明になっているものの、選択と集中の徹底や、有利な財源や地方財政制度を活用することにより、令和4年度当初予算の収支均衡は確保されました。
しかし、歳入では、中長期的な税収の見通しは予断を許さず、震災関連県債残高も、令和3年度で約2,500億円に上ることから、引き続き厳しい状況が続くものと考えられます。
このような状況下においては、行財政運営方針に基づき適切な運営を図りつつも、県政の羅針盤としてまとめ上げた「ひょうごビジョン2050」に掲げた大切にすべき価値観「包摂」と「挑戦」を両輪とする躍動する兵庫の実現に向けて、新たな取組を積極的に展開することが求められました。
そのためにも、自主財源の根幹をなす県税収入の確保策が大切であります。その取組として、本年度導入した預金照会オンライン化サービスを活用した銀行預金等の差押、自動車等の公売の徹底など、効率的な対策が求められました。
さらには、県税収入未済額の約8割を占める個人県民税の滞納対策では、市町の徴収能力向上を図るため、県と市町が連携した徴収体制の強化に努めることが求められました。
このほか、収入の確保に向けた取組として、企業目線に立った企業版ふるさと納税事業の取組、ふるさとひょうご寄附金による積極的な財源確保対策、県が資産として保有する持ち株の売却、Park-PFI導入による施設収益の一部還元、民間を活用した住宅用地分譲の促進、デジタルサイネージを活用した広告収入などが求められました。
第三は、行財政運営方針の見直しについてであります。
齋藤知事は、躍動する兵庫の実現のため、「行財政運営方針」の見直しを行い、職員一人一人の創意工夫を生かしつつ、持続可能な行財政基盤を確立する「県政改革方針」を本定例会に提案されました。
その中で示された新たな財政フレームでは、経済成長率をベースラインケースに見直し、税収や財政指標を堅実に見込むとともに、県債管理基金への内部・外部基金の集約の解消等に加え、投資事業については、地域財政計画の伸びを踏まえた上限が設けられました。
しかし、これらの見直しを行ってもなお、令和10年度までに総額140億円の収支不足が生じる見込みであることから、今後とも歳入歳出両面について毎年度の見直し等により、収支均衡を目指すとともに、財政指標の改善に取り組む必要があります。
加えて、人口減少や少子高齢化への対応、コロナ禍により一気に加速したデジタル化の促進など、時代の潮流を乗り越えるため、収支均衡と将来負担の軽減に不断の努力を続け、時代の変化に的確に対応しながら、適切な行財政運営を推進することが求められました。
また、県債の発行については細心の注意を払いつつ、引き続き、低金利下での資金調達に有利な市場環境を生かした超長期債の積極的な発行やグリーン化を推進する本県の施策を広くPRできるSDGs債の発行に取り組む一方、震災関連県債の償還については、東日本大震災の復旧・復興事業における地元負担を実質ゼロにする措置と同様の効果が図れるよう引き続き国に要望することなどが求められました。
このほか、ゼロベースからの公社等の見直し検討、長期保有土地の積極的な利活用の促進、ひょうご障害者総合トレーニングセンター(仮称)の今後の展開、行政サービスの視点による阪神北県民局・阪神南県民センター統合の検討、神戸市と連携してきた神戸マラソンに対する県の関与と支援の検討、三宮再整備事業等の将来的な見通し、AI・RPA導入による業務の効率化、保健所・医療体制に関わる財政措置などについて、意見、要望が述べられました。
さらに、県政改革の推進に当たっては、参画と協働の理念に基づく県民に対する丁寧な説明、市町との連携・協調を大切にした十分な協議・調整の必要性についての意見がありました。
以上、冒頭申し上げた三つの観点から特に議論が集中した事項についてご報告申し上げました。県民の皆様のご協力のもと、兵庫が一丸となってコロナ対策に徹底して取り組むとともに、ポストコロナ時代にふさわしい「躍動する兵庫」の実現に向け、議会の意見を十分に尊重され、県民ニーズに的確に対応した実効ある施策が展開されることを望むものであります。
次に、表決の結果について申し上げます。
第1号議案、第2号議案、第4号議案、第5号議案、第10号議案、第15号議案ないし第18号議案、第20号議案、第22号議案、第23号議案、第49号議案、以上13件につきましては、賛成多数をもって、また、第3号議案、第6号議案ないし第9号議案、第11号議案ないし第14号議案、第19号議案、第21号議案以上、11件につきましては、全会一致をもって、いずれも原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
また、3月28日に提出のあった「令和4年度予算案の編成替えを求める動議」については、賛成少数で否決された次第であります。
なお、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決したもののうち、第1号議案、第4号議案については、少数意見の留保がありましたので、併せて報告いたします。
議員各位におかれましては、何とぞ当委員会の決定どおりご賛同を賜りますようお願い申し上げまして、予算特別委員会の審査報告を終わります。
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